日本の再生医療について

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この記事の概要

日本における再生医療は、主に自由診療として提供されており、国内の多くの医療機関で導入が進んでいます。

再生医療の定義と目的

再生医療は、損傷や疾患によって機能が低下した細胞、組織、臓器を再生・修復し、正常な機能を回復させることを目的としています。これにより、従来の治療法では対応が難しかった病態に対して新たな治療の可能性を提供します。

日本における再生医療の現状

iPS細胞の研究と応用

2006年、京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の作製に成功し、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。これを契機に、日本ではiPS細胞を用いた再生医療の研究が加速しています。

  • 加齢黄斑変性の治療: 2014年、理化学研究所のチームがiPS細胞から作製した網膜色素上皮シートを加齢黄斑変性の患者に移植する世界初の臨床研究を実施しました。
  • パーキンソン病の治療: 2018年、京都大学の研究グループがiPS細胞由来の神経前駆細胞をパーキンソン病患者に移植する臨床研究を開始しました。
  • 心筋シートの開発: 大阪大学の研究グループは、iPS細胞から作製した心筋細胞シートを重症心不全患者に移植する治験を進めています。

再生医療製品の実用化

日本では、再生医療製品の開発と実用化が進んでいます。

  • ハートシート: テルモ株式会社が開発した自家培養筋芽細胞シートで、重症心不全の治療に使用されています。
  • ジャスミン: ニプロ株式会社が開発した自家培養軟骨細胞シートで、膝軟骨損傷の治療に用いられています。

再生医療関連企業の動向

日本の再生医療業界には、多くの企業が参入しています。主要な企業として、オリンパス、中外製薬、メディパルホールディングス、ロート製薬、アステラス製薬、ニプロ、富士ソフト、帝人、テルモ、JCRファーマなどが挙げられます。

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お台場海浜公園からレインボーブリッジ

再生医療の課題

再生医療の発展には、以下の課題が存在します。

  • コストの問題: 再生医療は高額な治療費が課題となっています。保険診療であっても、治療内容によっては患者の経済的負担が大きくなる可能性があります。 Saisei Iryou Doc
  • 法規制と実用化の問題: 日本では再生医療に関する法整備が進んでいますが、治療の安全性確保や倫理的課題への対応が求められています。 Saisei Iryou Doc
  • 大量培養技術の確立: 再生医療の普及には、細胞の大量培養技術の確立が不可欠です。安定した供給とコスト削減のための技術開発が進められています。 Prime Minister of Japan’s Office

記事の監修者


皮膚科専門医

岡 博史 先生