緑内障再生医療の最新ニュース 2024年11月現在

診察する男性医師(眼科)

この記事の概要

緑内障は、視神経に障害が生じることで視野が狭くなる疾患で、進行すると失明のリスクが高まります。これまでの治療では、主に眼圧を下げて進行を抑える方法が中心でしたが、再生医療の進展により、損傷した視神経や網膜の再生を目指す新たな治療法が注目されています。ここでは、具体的な事例を交えながら、再生医療の最新の動向をご紹介します。

1. 幹細胞を用いた視神経再生

幹細胞を利用した視神経再生の研究が進んでいます。具体的には、アメリカの研究チームが行った実験では、患者の体から採取した幹細胞を用いて視神経に移植し、損傷した神経細胞の再生を試みています。動物実験で視力の一部回復が確認され、臨床応用への期待が高まっています。この研究では、幹細胞が視神経に定着し、新しい神経細胞を作り出すことで視力を回復する可能性が示されました。 

2. iPS細胞による網膜細胞の再生と移植

日本の京都大学では、iPS細胞を活用した網膜細胞の再生研究が行われています。この研究では、患者自身の皮膚細胞から作成したiPS細胞を用いて網膜の神経節細胞を再生し、これを緑内障で損傷した網膜部位に移植する試みが進行中です。この技術は、視神経の損傷によって視野が狭くなる緑内障患者に対して、新たな希望をもたらすと期待されています。

メガネと視力検査表

3. 遺伝子治療による視神経保護

遺伝子治療を活用した視神経保護のアプローチも、具体的な事例として注目されています。最近の研究では、特定の遺伝子を眼内に導入することで視神経細胞を保護し、損傷の進行を抑える技術が開発されています。この技術を用いた臨床試験が進められており、治療効果が期待される段階に来ています。例えば、遺伝子を使って細胞のストレス応答を改善することで、視神経のダメージを抑制することが可能です。

4. 視神経保護薬の開発

再生医療と併用して、視神経の保護や再生を促進する薬剤の開発も進んでいます。欧州のある製薬会社が開発中の薬剤は、損傷した視神経に作用し、その再生を助ける効果が期待されています。臨床試験の初期段階では、患者の一部で視野の改善が確認され、さらなる研究が続けられています。

記事の監修者


皮膚科専門医

岡 博史 先生