歯茎は再生医療で治療できる?—新しいアプローチで歯周病の改善を目指す

歯科衛生士と男性患者

この記事の概要

歯茎の健康は口腔全体の健康を支える重要な要素ですが、歯周病や加齢によって歯茎が後退したり、損傷を受けることがよくあります。これまでの治療では、歯茎の状態を維持・改善する方法が中心でしたが、再生医療の進展により、損傷した歯茎そのものを再生する治療が期待されています。ここでは、再生医療を用いた歯茎の治療について詳しく見ていきます。

1. 再生医療による歯茎治療の可能性

再生医療では、幹細胞を利用して組織を再生することが可能であり、歯茎の再生もその対象となっています。歯周病などで損傷した歯茎の組織を修復・再生するために、患者自身の細胞や培養された幹細胞を活用し、歯茎の健康を回復させることを目指す治療が研究されています。具体的には、歯周組織再生誘導法(GTR)や幹細胞治療などが行われ、歯茎の組織や骨を再生させるアプローチが試みられています。

2. 幹細胞を用いた歯茎の再生治療

幹細胞を利用した歯茎の再生治療では、患者の骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞を培養して再生を促します。この細胞を歯茎に移植することで、歯茎や歯を支える骨の再生を図ることが可能です。このような治療により、歯周病による歯茎の後退や歯の土台となる骨の損失を抑えることが期待されます。

歯磨きツール

3. 成長因子を利用した再生療法

成長因子を含む特殊な材料を使用する治療法も注目されています。これらの成長因子は、歯茎の再生を促すために使用され、損傷した組織の再生を助ける効果があります。例えば、エナメルマトリックスタンパク(エムドゲイン)を使用して歯周組織の再生を促進する治療法は、日本国内でも一般的に行われています。このような治療は、歯周ポケットの改善や歯茎の回復に有効とされています。

4. 歯茎再生治療のメリットと課題

再生医療を用いた歯茎治療のメリットは、損傷した組織を根本から再生し、健康な歯茎を取り戻すことができる点です。これにより、歯周病による歯のぐらつきや抜歯のリスクを減らし、口腔内の健康を改善することが可能です。しかし、治療には費用がかかる場合があることや、効果に個人差があることも課題とされています。また、すべての患者に適用可能なわけではなく、専門的な診断が必要です。

記事の監修者


皮膚科専門医

岡 博史 先生