RSウイルス感染症
RSウイルス感染症とは
RSウイルスが原因のかぜです。発熱、咳、鼻水の症状が強く長く続きやすく、言わばかぜの王様です。9月頃から早春にかけて流行します。
新生児から6か月齢は重篤になりやすく、とくに新生児は呼吸をしなくなる無呼吸発作が起こることがあります。ひどい無呼吸発作、呼吸困難の悪化は人工換気療法が必要になることがあります。
特に1歳未満の出生体重が軽く小さく生まれた場合や早産児、心臓や肺の基礎疾患、免疫不全があるお子様には重症化リスクが高いと言われています。
非常に感染力が強く、幼稚園や保育所などの施設内感染により、患者の約75%以上が1歳以下のお子様で、2歳までに多くの乳幼児が感染することで知られています。
終生免疫は得られないので何度もかかりますが、とくに1回目は重たくなる傾向にあるので注意が必要です。一方、1回目より2回目、2回目より3回目の方が症状は軽くなっていきます。
重症のRSウイルス感染症に毎年かかることはありません。
診断
1歳以上のお子様では重症化リスクが低く、検査はせずに流行状況と診察で診断することが多いです。
鼻粘膜のぬぐい液による迅速診断検査は、全てのお子様に実施する検査ではありません。
生後1~2ヵ月の赤ちゃんでRSウイルス感染を疑った場合、症状に合わせて規模の大きな病院の小児科に紹介することが第一で、抗原検査は病院で行われることが多いです。
症状
- 潜伏期間:2~8日程度
- 感染経路:飛沫、接触感染
- 経過:発熱、咳、鼻水
症状としては、初めて感染した場合、風邪症状がひどいのが特徴で発熱が1週間続くこともまれではありません。
「ゼーゼー、ヒューヒュー」などの喘鳴(気管支が狭くなり、息を吐くときの呼吸音が聴こえる)をともなった息苦しさ(肩で息をする、横になって休めない)がある場合は酸素投与によって症状の軽減ができる場合があり入院治療を行います。
鼻づまりも呼吸がしづらくなります。呼吸が苦しくなったら抱っこしてあげるだけでも呼吸が楽になります。
生後3か月未満の赤ちゃんの感染では、症状がわかりにくく、診断が困難な場合があります。
哺乳不良や活気がない、無呼吸発作(もともと新生児は10秒の無呼吸は通常の呼吸ですが、20秒近くなると無呼吸発作です)やチアノーゼ(唇の色が悪い)などの症状に注意が必要です。
気を付けてみてほしい症状
- 息を吐くときに「ゼーゼー、ヒューヒュー」と音がする
- 顔色や唇の色が悪い
- 胸がぺこぺことへこむような呼吸をしている
- 呼吸が速く、回数が極端に増えている
治療
有効な治療薬はありません。解熱剤や適宜、症状をやわらげる薬が処方されます。熱がなかなか下がらない、グッタリしているなどといった場合は、入院が必要になることもあります。
入院治療は経口摂取のかわりに点滴、体に酸素をうまくとりこめないときには酸素投与などを行います。そこまででなくても苦しそうにみえる場合は抱っこしてあげると呼吸が楽にできますし鼻づまりで眠れないのにも効果があります。
食欲があるなら、それは重症でない証拠なので、ミルクや母乳で水分をとり、食事をとれる場合は好きな食べ物、飲み物など口に入れてくれるものを探します。
RSウイルスモノクローナル抗体
重症化リスクの高いお子様を対象にシナジスがありますが、保険で使用できる病気、病態が厳しく決められているので主治医から投与スケジュールが指示されます。
体の免疫反応を用いたワクチンではありません。
※対象外の場合は接種することができません。
- 早産児
- 慢性肺疾患(早産、低出生体重児の合併症)
- 先天性心疾患
- 免疫不全
- ダウン症候群(21トリソミー)