ロタウイルス

ロタウイルスとは

乳幼児の急性重症胃腸炎の原因ウイルスの1つです。特に生後6か月から2歳までの乳幼児に多くみられ、5歳までにほとんどのお子様が感染すると言われています。
冬~春にかけて、感染力が強く、繰り返し感染することがあるので、幼稚園や保育所などで流行しやすいため、「乳児冬季下痢症」と呼ばれることもあります。
乳幼児では激しい嘔吐下痢から脱水を起こし重症化することもありますが、ほとんどは感染を繰り返すごとに免疫がつきますので症状は軽くなります。
患児と接触のある大人の30~50%が感染しますが、過去の感染歴により多くの場合、軽症か無症状です。

診断

ロタウイルスに感染すると、便の色や下痢の症状から総合的に診断することが可能です。
ウイルスを特定するために最も多く使われている検査は、便による迅速診断検査です。特に重症な赤ちゃんなどで検査を実施することがあります。

症状

  • 潜伏期間1~3日程度
  • 感染経路経口感染
  • 経過発熱と嘔吐から始まり、1~2日で水様便(白い便)、腹痛

通常、発熱と嘔吐から始まり、続いて頻回の水様性の下痢が続きます。下痢はクリーム色から白色になるのが特徴的です。
胃腸炎症状は数日から1週間程度で改善しますが、乳児では初めてロタウイルスに感染すると症状が重いことがあり、昼間は大丈夫そうでも夜間に急激に悪化して、入院治療が必要になることもありますので注意が必要です。
重症化すると脳症、けいれん、急性腎不全を引き起こすおそれがあります。ロタウイルス脳症では後遺症として、難治性のけいれんが残ることがあります。

治療

ロタウイルスに特効薬はありません。対症療法のみですので、吐き気止めや整腸剤などが処方されますが、下痢は止めてしまうとウイルスが体から排出されないため、下痢止めは使いません。
赤ちゃんが水分を取れずにグッタリしているなどといった場合は、脱水の可能性もありますので、入院が必要になることもあります。
ご家庭では、吐き気や嘔吐がある時は、胃腸が弱っていて飲食物を受け付けないので、一時中止します。乳児もミルクをしばらくやめて、ほしがってもすぐに与えないようにします。
30分~1時間嘔吐がなければ、少しずつ、赤ちゃん用のイオン水などで水分補給し、水分で吐くことがなければ、重湯やおかゆ、柔らかく煮た麺類、バナナなどのフルーツ、 ゼリーやプリンなど消化に良いもの、赤ちゃんはミルクや母乳を少量ずつ、こまめにあげて下さい。再度嘔吐があれば、また最初から始めます。

ロタワクチン

日本では2011年から2012年にかけてロタワクチンの予防接種が可能になりました。2歳未満のお子様がロタウイルスに感染すると10人に1人は入院が必要であり、重症化しやすいためワクチン接種が推奨されています。
ロタウイルス生ワクチンは病原体を弱毒化してシロップに精製した飲むお薬です。接種対象は生後6週から24週までの赤ちゃんです。接種をご希望の場合、早めに医師にご相談ください。