流行性耳下腺炎

流行性耳下腺炎とは

おたふくかぜは、痛みを伴って耳の下や顎の下が腫れる病気です。おたふくに似た顔つきになることが名前の由来です。病原体は、ムンプスウイルスです。
以前は幼児期から学童によくみられた病気ですが、最近は流行がなく、小児期に罹患しないまま成人することが増えています。一度ムンプスウイルスに感染すると終生免疫を獲得し二度かかることはありません。
経過は軽症であることが多いのですが、重い合併症(髄膜炎、脳炎、膵炎、難聴、成人では精巣炎、卵巣炎)が起こることがあります。
成人は感染した場合、症状が重たい傾向があります。お子様が罹患した際に親が感染し重症になることもあります。

診断

主に症状で診断されます。耳下腺・顎下腺の腫れがあり、周囲での流行がある場合に、おそらくおたふく風邪でしょうという診断になることが多いです。
耳下腺炎は他の原因でも起こるので、流行がない場合の正診率は下がります。血液検査で抗体検査をしなければ確定診断には至りません。

症状

  • 潜伏期間2~3週間程度
  • 感染経路飛沫、接触感染
  • 経過発熱1~6日程度、両側または片側の耳下腺が腫れる。
    発症後1~3日がピーク、1週間程度で消える。

主な症状は、発熱と唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)の腫脹、痛みで、唾液腺の腫脹は片側から始まり、数日して反対側も腫脹することが多いです。
ものを噛む時に痛みを訴えることがあり、他の唾液腺なども腫れることがあります。発熱や耳下腺の腫脹、痛みはないこともあります。
明らかな症状のない患者は乳児で多く、30%ほどいると言われており、年齢とともに低下します。また、頻度は少ないのですが、難聴を合併することがあり、永続的な障害となることもあります。
発生頻度は、0歳以下は少なく、4歳が最も多く、続いて5歳、3歳の順に少なくなります。3~6歳で約60%を占めます。

治療

ウイルス感染のため、抗菌薬は効果がなく、解熱剤や痛み止め、患部の冷却などの対症療法のみになります。通常は9日以内で治癒します。
日本では、1歳以上の子どもに対する任意予防接種(自費)として生ワクチンの接種が可能です。集団保育施設の利用前に接種することをお勧めします。
予防接種の効果は、おたふくかぜの流行があればあるほど高まる(ブースター効果)ので、現在のように流行がない場合は予防接種の効果は早くなくなってしまいます。数年に1回は追加接種する必要があります。
ヒトへの感染力は耳下腺腫脹の1~2日前から腫れた後の5日間続くと言われています。小中学校(保育園、幼稚園、高校、大学、専門学校はこれに準じます)は、耳下腺・顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、全身状態が良好になるまで出席停止です。