麻疹(はしか)
麻疹(はしか)とは
麻疹ウイルスによって飛沫感染するウイルス感染症の中で、一番強い感染力を持ち、麻疹ワクチン未接種の赤ちゃんが多くかかります。
症状は発熱と感冒様症状からはじまり、2~3日高熱が続いた後に一度少し解熱しますが、すぐにまた高熱になります。再度高熱が出る時に口の中にコプリック斑という特有の発疹が出現します。
日本は2012年3月に国内から排除されたと認定され、その後、国内の患者数は少なくなっていますが、麻疹の抗体がない状況で流行している国へ渡航した人が感染して帰国後に発症する報告が見られています。
感染するとほぼ100%発病します。
診断
典型的な症状と特徴的な発疹に基づいて診断します。迅速診断キットはありません。
症状
- 潜伏期間:10~12日間程度
- 感染経路:飛沫、接触、空気感染
- 主な症状:38℃以上の発熱、咳・鼻水、眼の充血、めやに、口の中に白い水疱(コプリック斑)と全身に赤い発疹
始めは、発熱、咳や鼻水、目の充血、めやになどです。高熱が数日出て1度下がった後、再度、高熱が出ます。その際に口の中にコプリック斑という特有の発疹が出現し、それと同時に全身に赤い発疹が広がるのが特徴です。熱は1週間以上続く人もいます。
かゆみはなく、3~5日程度で解熱し、発疹は褐色(色素沈着)になって消えていきます。
はしかにかかった人の1000人に1人くらいの割合で脳炎を合併することがあり、重い後遺症が残る場合もあります。また、感染後5~10年後に亜急性硬化症全脳炎(SSPE)という同じ麻疹ウイルスによる難病を発症することがあります。
数年の潜伏期間を経て、数か月から数年の経過でゆっくりと神経症状が進行します。現在も治療法が確率されておらず、数年から十数年で死に至る予後の悪い病気です。
治療
有効な治療薬はありません。解熱剤や適宜、症状をやわらげる薬が処方されます。熱がなかなか下がらない、グッタリしているなどといった場合は、入院が必要になることもあります。
予防はワクチン接種です。麻疹の抗体を持ったお母さんからの免疫が赤ちゃんに受け継がれ、生後1年ほど持続しますが、その後は予防接種を受けないと麻疹にかかります。そのため、MR(麻疹風疹)ワクチン接種は1歳と5~6歳で定期接種になっています。
必ず医師と相談して2回打ちましょう。95%以上の接種率を維持できれば流行を抑えることができると言われています。麻疹は1度かかれば、基本的に2度かかることはありません。
熱が下がってから3日間経過し元気があれば登校可能です。その際は、治癒証明書が必要になることがありますので、学校や保育所にお問い合わせ下さい。