母子手帳、赤ちゃん手帳と呼ばれる母子健康手帳。母子手帳はいつもらえるか、どこで申請・交付できるのか、また必要書類や使い方など気がかりな妊婦さんも多いことでしょう。この記事では母子手帳のもらいかたや、もらった後の記入法を医師が解説いたします。
この記事のまとめ
母子手帳は妊娠・出産・育児などお母さんと赤ちゃんの健康状態を記録することで、お母さんと赤ちゃんの保健指導に役立てるのと同時に、育児手帳の役割を果たしています。母子手帳は既婚・未婚を問わず、妊娠が確定した際に誰でも無償でもらうことができます。母子手帳をもらうタイミングは、妊娠6〜11週目を目安にすると良いでしょう。
母子手帳(赤ちゃん手帳)とは?
母子手帳とは一般的に母子手帳、赤ちゃん手帳または親子手帳と呼ばれており、正式名称は母子健康手帳といいます。
母子手帳(赤ちゃん手帳)は、妊娠・出産・育児など、お母さんと赤ちゃんの健康状態を記録することで、お母さんと赤ちゃんの保健指導に役立てるのと同時に、育児手帳の役割を果たしているといえるでしょう。
母子手帳の前半部分は、妊娠・出産までの記録、出生した子どもについては小学校入学までの定期健康記録、予防接種(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・麻疹など)、歯の検査の記録欄があり、これらは厚生労働省令で定められています。なお母子手帳の後半部分は、各市町村によって異なります。
母子手帳は、何のためにもらうの?
母子手帳は、妊娠中から出産までの記録から乳幼児期まで、母子の健康に関する重要な情報が一冊にまとめられたものです。
妊娠中はもちろん、産後間もないお母さんと赤ちゃんは、健康状態に問題がなくても突然、体調急変などを引き起こすケースも少なくありません。万が一の際、母子手帳に記入された記録により、かかりつけ医以外の医師であっても、ひと目でお母さんと赤ちゃんのこれまでの健康状態の経過確認ができることから、迅速かつ適切な治療に役立つでしょう。
また、母子手帳には妊婦検診・乳児検診・保健指導・予防接種・母子保健サービスの記録などが記載されます。これらの母子に関する情報が一冊にまとめられているため、外出時や転居時なども母子手帳の記録をもとに、継続的な診察およびケアを受けることが可能となります。
母子手帳にはお母さんと赤ちゃんの健康の記録のほか、妊娠中から乳幼児期までに役立つ豆知識が書かれています。また、医師の記載欄以外にお母さんや保護者の方向けの自由欄があるため、妊娠・出産時の様子や赤ちゃんの成長など、印象的な出来事を綴ることができます。
例えば「初めての寝返り」「初めて発した言葉」など何を書くかは自由です。これらのことから、母子手帳は保健的な意味だけでなく、お母さんと赤ちゃんをつなぐ大切な思い出の一冊といえるのかもしれません。
母子手帳いつもらった?もらわないとどうなるのか
妊娠・出産を迎えたにも関わらず、母子手帳を発行していないことは、お母さんと赤ちゃんの健康を大きく左右します。妊娠が確定したら、母子手帳がいつからもらえるのか、どうやってもらえるものなのかを早めに調べると良いでしょう。
緊急時に必要
妊婦中や、産後間もないお母さんや赤ちゃんの身体はとてもデリケートです。外出先などで突然、体調が急変することも少なくありません。母子手帳にはお母さんと赤ちゃんの健康に関する情報が記載され、かかりつけ医以外でも迅速に適切な診察を行うことができます。これらのことから、母子手帳は妊娠中や赤ちゃんが1歳未満の間は常に携帯するよう心がけましょう。
小学生・中学生の予防接種の管理に必要
一般的に必要とされている定期予防接種の中には、小学生・中学生に進学した際、追加接種が必要なものがあります。母子手帳の予防接種記録は、接種を行った医療機関や、接種時期などの情報が記載され、将来の追加接種時の管理に重要です。
海外渡航に必要
旅行や留学など海外渡航の際に、過去の予防接種記録が必要となります。地域によって推奨される予防接種の種類は異なることから、母子手帳に記載された予防接種歴はとても重要な情報であり、予防接種の証明書ともいえるでしょう。
母子手帳は未婚でももらえる
母子手帳は既婚・未婚を問わず、妊娠が確定した際に誰でも無償でもらうことができます。妊娠が確定したら申請・交付を必ず行ないましょう。
母子手帳の申請と交付
母子手帳の申請と交付には必要な書類や申請書の書き方など、それぞれの自治体によって異なります。母子手帳申請の際に必要な持ち物・窓口の時間などは、早めに確認を行なうことが大切です。
母子手帳はいつもらう?
母子手帳をもらうタイミングは、妊娠11週までにと厚生労働省により推奨されています。「いつまでに申請すればいいか」「妊娠何週までに必要か」など、母子手帳の申請や受け取りの時期に悩む妊婦さんは、一般的に申請・交付が多いとされる、妊娠6〜11週目を目安にすると良いでしょう。また、赤ちゃんの心拍確認前は流産リスクがあることから、心拍確認の後に母子手帳をもらう妊婦さんも少なくありません。
母子手帳と一緒に妊婦健康診査の受診票(補助券)が交付されます。妊婦健康診査受診票がないと、各市町村の妊婦健診の際、公的補助を受けることができません。公的補助は期間をさかのぼって精算はできないため、妊娠11週までを目安に母子手帳の申請を行うと良いでしょう。
交付までにかかる時間
母子手帳の申請から交付までにかかる時間は、各自治体や受け取り方法によって異なります。母子手帳をもらうには、どんな書類が必要で何課で申請を行えばいいのか、また申請からどのくらいで交付されるのかなど、早めに確認を行ないましょう。
母子手帳はどうやってもらう?
母子手帳は医療機関では申請・交付はされません。住民登録のある市町村での申請・交付となります。また窓口への申請以外にも、郵送やオンライン申請も可能とされています。
母子手帳は、どこでもらえる?
母子手帳はお住まいの地域にある役所や各自治体にて申請・交付となります。各自治体の窓口での申請以外にも郵送やオンライン申請が可能とされますが、それぞれ申請方法や交付時期が異なるため事前に確認を行ないましょう。また、役所や各自治体によって土日や祭日の窓口開庁が異なるため、ご注意ください。
母子手帳をもらうまでの流れ
母子手帳の申請から交付までは既婚・未婚を問わず、一般的に以下の通りとなります。
妊娠発覚 ➡ 受診(妊娠確定) ➡ 赤ちゃん心拍確認(妊娠6~11週)➡ 住民票のある自治体窓口へ(もしくは郵送・オンライン申請)➡ 母子手帳の受取り
母子手帳をもらうために必要な持ち物
母子手帳を申請する際に必要な書類などは、各自治体によって異なります。申請前日までに必要な持ち物をしっかり確認しましょう。また、母子手帳は代理人による申請や受け取りも可能となります。
母子手帳をもらう際に必要な持ち物
- 写真付きの本人確認書類
- 個人番号が確認できるもの(マイナンバーカードなど)
- 妊娠の診断を受けた医療機関の診察券
- 妊娠届出書(妊娠届/妊娠証明書)
※各自治体によって異なります。
代理人が受け取る際に必要な持ち物
- 妊婦本人の個人番号を確認できるもの(マイナンバーカードなど)
- 代理権が確認できるもの
- 法定代理人の本人確認ができるもの(免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
- 委任状
代理人が母子手帳をもらう場合、委任状が必要となります。書式は自治体により異なることから、ホームページや問い合わせをして確認しましょう。
母子手帳の手続きは郵送・オンラインでもできる
母子手帳の申請の手続きは窓口以外に、郵送やオンラインによる手続きが可能です。現在の住まいが住民票のある地域から離れている、また妊娠中の感染症などが不安な場合は郵送やオンライン申請が便利でしょう。ただし、窓口による手続きと交付時期が異なるケースがあります。事前に確認を行ないましょう。
母子手帳の使い方
母子手帳は、お母さんと赤ちゃんの健康に関するさまざまな情報が記載されています。妊婦健診の際に必要となるため忘れたり、なくしたりすることのないよう注意しましょう。
母子手帳の中身に記入されること
妊娠中の母子手帳には医療機関により、妊婦さんの体重・血圧・尿検査(尿蛋白数値など)のほか、胎児の体重や身長といった発育状態が、妊婦健診記録として記入されます。
出産時は出産日時・分娩の種類・出血量・赤ちゃんの体重や身長などが記入され、出産後は赤ちゃんの成長や健康状態、予防接種歴などが記録されます。とくに予防接種の時期や種類は将来、必要とされるためとても重要です。
妊婦健診は妊娠週数ごとに4週間検診・2週間検診・1週間に1回の検診とされています。母子手帳は妊婦健診の初回から最後まで持参しましょう。検診内容は医療者による記入となります。妊婦健診のあとは記入してない枠がないかなど、確認することも大切です。
母子手帳には医療者の記入欄以外に、お母さんや保護者の方による自由欄があります。赤ちゃんの日々の成長を記録することで、将来の思い出となるでしょう。
成長の経過
母子手帳には成長曲線、もしくは発育曲線といわれる曲線グラフが記載されています。成長曲線とは平均的な発育基準値と、赤ちゃんの発育状態がどれほど離れているかを、ひと目で確認することができる曲線グラフのことです。月に1回程度、赤ちゃんの身長や体重を測定し、グラフに記録することで健やかな成長の経過を確認することができます。
予防接種の記録
赤ちゃんの予防接種は半年の間に15回以上となります。予防接種が必要な時期や、何のための予防接種であるかをしっかり確認しましょう。予防接種歴は母子手帳に、接種日・医療機関・予防接種の種類が記録されます。
健康状態
母子手帳には赤ちゃんの発育状態のほかに、栄養や病気などの健康状態が記録されます。母子の健康状態が、妊娠中から出産後まで継続的に記録されていることから、どこの医療施設でも適切な診察や指導を行うことができます。
検診や病院の受診に母子手帳は必要?
母子手帳にはお母さんと赤ちゃんの健康状態などが記録されています。医療者がひと目で継続的な検査結果を確認・追記する母子手帳は、検診や受診の際に必ず必要です。また、外出先などで体調の急変や、不慮の事故があった場合に母子手帳を携帯していると、迅速で適切な診断を行うことができることから常に持ち歩くよう心がけましょう。
妊婦健診で母子手帳を忘れてしまったら
妊婦健診の際に母子手帳を忘れてしまった場合、すぐに医療機関の受付に申し出ましょう。なお補助券や無料券を使用する検査は当日に受けることができません。
また乳幼児の予防接種の際も、母子手帳が必要となります。
母子手帳をなくしたらどうすればいい?
母子手帳は、お母さんと赤ちゃんの健康状態が継続的に記された大切なものです。万が一、母子手帳をなくしてしまった場合は、すぐに母子手帳を申請した自治体窓口へ出向き、再発行の手続きを行ないましょう。また再発行のために必要な書類などは、各自治体によって異なります。
母子手帳はいつまで持ち歩く?
1歳までは検診や予防接種など母子手帳を必要とすることが多いことから、一般的に1歳頃までを目安として、母子手帳を持ち歩くと良いでしょう。
マタニティマークについて
マタニティマークとは、2006年から厚生労働省が推進している妊娠をしていることを表すマークです。妊婦さんが安全で快適に公共交通機関を利用できるようにする目的、妊婦さんが外出先で急病、不慮の事故などが起こった際、妊娠していることが一目でわかるようにという目的があります。マタニティマークをもらえる場所は主に2か所になります。
- 母子手帳交付や自治体の窓口
母子手帳の交付窓口など、自治体の窓口で無料でもらえます。母子手帳を申請する際に自治体へ確認しましょう。
- 都市部の駅
首都圏や都市部の駅でもマタニティマークの無料配布を行っています。家族も配布対象のため、夫やパートナー、両親などが受け取りが可能です。しかし悪用防止のため、母子手帳の提示を求められる場合もあるようです。また、駅によってはマタニティマークの配布を行っていないことがあるため事前に確認しましょう。
母子手帳をもらったらNIPT(新型出生前診断)の検討を
NIPT(新型出生前診断)とは、母体血液のみで胎児の染色体異常による先天性疾患リスクを知ることができるスクリーニング検査のことです。
ヒロクリニックNIPTによるNIPT(新型出生前診断)はエコー検査で妊娠を確認後、母子手帳があればどなたでも検査を受けていただけます。また、ヒロクリニックNIPTでは体調が不安定な妊婦さんのために申込みから問診・検査結果までをオンラインで行うことが可能です。
NIPT(新型出生前診断)や赤ちゃんの染色体異常などについて、分からないことがありましたらヒロクリニックNIPTへ何でもご相談ください。より健やかな妊娠と出産のために、NIPT(新型出生前診断)に精通した医師とスタッフが丁寧にご説明いたします。
【参考文献】
- 厚生労働省
- 外務省HP – 海外居住の邦人向け母子健康手帳について
Q&A
よくある質問
母子手帳についてのよくある質問です。
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Q多胎(双子・三つ子など)の場合、母子手帳はどうなる?母子手帳は、子ども1人につき1冊となります。双子であれば2冊、三つ子であれば3冊の母子手帳が交付されます。
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Q母子手帳をもらった後に流産したらどうする?母子手帳をもらった後に流産および死産となった場合、母子手帳の返却義務はありません。
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Q海外在住の場合、母子手帳はどうなる?これまでは日本大使館・総領事館などで母子手帳の無償配布が行われていました。しかし、現在は新型コロナウイルス感染症やデジタル化推進の影響により、外務省PDFダウンロード形式の受け取りへと移行されています。
なお、お母さんの中には「可愛い母子手帳ケースを買うため、これまでの母子手帳が欲しい」という方も多くいらっしゃいます。どうしても手帳で欲しい場合、インターネットで購入することが可能です。詳しくは外務省ホームページをご覧ください。
母子手帳、赤ちゃん手帳と呼ばれる母子健康手帳。母子手帳はいつもらえるか、どこで申請・交付できるのか、また必要書類や使い方など気がかりな妊婦さんも多いことでしょう。この記事では母子手帳のもらいかたや、もらった後の記入法を医師が解説いたします。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業