誰でも初めての妊娠は、何をしなければならないのか、どんな準備が必要なのか、わかりませんよね。しかし、妊娠した時にやるべきことを知らないままだと、困ってしまうことも。この記事では、妊娠したとわかってから出産直前までにやるべきことを解説します。
この記事のまとめ
妊娠しているかもと感じたら飲酒や喫煙、カフェインの摂取などを控えましょう。妊娠超初期は赤ちゃんの生育に重要な時期であるため、飲酒や喫煙などをすると、早産や流産、低体重などのリスクが増加してしまいます。また規則正しい生活習慣や感染症にかからないように注意することも必要です。
はじめに
妊娠したら、あとは出産まで妊娠前とまったく同じような生活をしていれば良いかというと、そうではありません。
お腹にいる赤ちゃんや妊娠によって体に変化が起きている自分のために、やるべきことがあります。
やるべきことは妊娠前から出産直前まで、それぞれの時期ごとに異なるため、注意が必要です。
また、やるべきことはお母さんだけではなく、夫にもあります。
この記事では、それぞれの時期ごとや夫のやるべきことを解説していくので、夫婦で一緒に参考にしてください。
妊娠前にやるべきこと
妊娠をしたい方が妊娠前にやるべきことは、生活習慣や環境などの見直しです。
睡眠不足や運動不足、ストレスがかかる状況などは、妊娠をするために悪影響になると考えられています。
そのため、規則正しい生活習慣やストレスのかからない環境作りなどをして、妊娠しやすいように見直すことが大切です。
また、妊娠前の行動がお腹の中の赤ちゃんに悪影響をおよぼす可能性があることを知っておきましょう。
具体的には、以下の行動に注意が必要です。
- 喫煙
- 飲酒
- カフェイン摂取
- 過度なダイエット
- 過度な薬の服用
飲酒やカフェイン摂取については、妊娠前はほとんど影響がないとされています。
しかし、妊娠に気づかずに飲んでしまう可能性があるため、なるべく妊活中から控えたほうが良いでしょう。
行動や生活習慣などの見直し以外にも、妊娠前には妊娠や出産に影響をおよぼす可能性がある検査を受けておくことも重要です。
受けておきたい検査としては、以下の検査があります。
- 経腟超音波検査
- 風疹抗体検査
- 感染症検査
- 性感染症検査
- 子宮頸がん検査 など
妊娠前の検査はブライダルチェックともいわれており、婦人科といった医療機関で必要な検査をセットで受けられます。
妊娠がわかったらやるべきこと
妊娠がわかってからやるべきことは、妊娠の時期によって異なります。
妊娠の時期は大きくわけて、次の4時期です。
- 妊娠超初期
- 妊娠初期
- 妊娠中期
- 妊娠後期
次からは、妊娠の時期ごとにやるべきことを解説します。
妊娠超初期にやるべきこと
妊娠超初期は、医学的に定められている時期ではありませんが、一般的に妊娠0週〜3週ごろまでの時期です。
この時期は妊娠検査薬で感知できる量のホルモンが分泌されていないことも多く、妊娠検査薬を使用しても陰性とでてしまうことがあります。
しかし、妊娠によってお母さんの体にはさまざまな変化が起きるため、妊娠のきざしに気づくかもしれません。
妊娠超初期にあらわれる体の変化としては、次の変化があります。
- 少量の出血
- 腹痛や腰痛
- おりものの量や色の変化
- 風邪を引いた時のようなだるさ
- イライラしたり、気分が落ち込んだりする
- 便秘や下痢が増える
- 常に眠くなる
- 食欲がなくなったり、増えたりする など
妊娠超初期にやるべきことは、上記の症状や体の変化から妊娠してるかも?と感じたら、妊娠前にやるべきことと同様に飲酒や喫煙、カフェインの摂取などを控えましょう。
妊娠超初期は赤ちゃんの生育に重要な時期であるため、飲酒や喫煙などをすると、早産や流産、低体重などのリスクが増加してしまいます。
そのため、妊娠のきざしを感じたら、生活習慣や体調管理に気をつけましょう。
妊娠超初期にやるべきことリスト
- 禁煙
- 禁酒
- カフェインを控える
- 過度な薬の服用(医師に相談する)
- 規則正しい生活習慣
- 感染症にかからないように注意する
妊娠初期にやるべきこと
妊娠初期は、妊娠13週6日までの時期です。
先に紹介した妊娠超初期は、医学的には妊娠初期の期間に含まれます。
妊娠超初期を過ぎると、妊娠検査薬で正しい反応がでてくるようになります。
妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科を受診して、正確に妊娠しているか確認しに行きましょう。
妊娠しているとわかったら、自治体に妊娠届出書を提出します。
妊娠届出書を提出することで、母子健康手帳が交付され、妊婦検診費の助成や出産育児一時金などのサポートが受けられるようになります。
また、自治体ごとに独自の支援制度を用意している場合もあるため、お住まいの自治体の支援制度を確認してみましょう。
妊娠が判明してからは、母子の健康状態を確認するために定期的に妊婦検診がおこなわれます。
医師に指示された通院のペースで妊婦検診を受診しましょう。
妊娠初期にやるべきことリスト
- 妊娠検査薬で検査する
- 産婦人科を受診して妊娠の診断をしてもらう
- 妊娠が確定したら自治体に妊娠届出書を提出する
- 母子健康手帳を受け取る
- 自治体ごとの助成・支援制度を確認する
- 妊婦検診を受ける
- 出産する病院を決めておく
- 体調に不安があるときには職場に伝えておく
NIPT(新型出生前診断)は妊娠初期から受けられます
妊娠すると、新しい命が宿った嬉しさとともに、お腹の中にいる赤ちゃんが健康に生まれてきてくれるかと、心配になる気持ちもあるかもしれません。
赤ちゃんが健康に生まれてきてくれるか知りたいという方におすすめの検査が、NIPT(新型出生前診断)です。
NIPT(新型出生前診断)は、エコー検査で妊娠が確認できたらすぐにできる検査で、母体から採血するだけで生まれる前の赤ちゃんの健康をチェックできます。
赤ちゃんの染色体に異常がないか調べることにより、ダウン症候群やエドワーズ症候群、パトウ症候群などのリスク評価が可能です。
妊娠中期にやるべきこと
妊娠中期は、妊娠14週〜27週6日までの時期です。
妊娠初期に辛かったつわりが段々と落ち着いてきて、お腹も徐々に大きくなってきます。
状態が安定して流産のリスクが下がることから、一般的に安定期といわれるころです。
妊娠中期になったら、分娩予約をしておきましょう。
分娩予約は早めにしておかないと、予約が埋まってしまい希望する産院で分娩することができない可能性も。
希望する産院が決まったら、なるべく早く、遅くとも妊娠中期までには分娩予約をしておいた方が良いでしょう。
また、妊娠中期は状態が安定していることから、体重管理や出産に向けた体づくりのためにマタニティ向けの運動をすることがおすすめです。
運動施設や産院などで、マタニティスイミングやマタニティヨガなどの妊婦向けの運動プログラムが開催されています。
また、マタニティスイミングやマタニティヨガ以外にも、自分でウォーキングするのも良いでしょう。
妊娠中期にやるべきことリスト
- 分娩予約をする
- 妊婦向けの運動をおこない、体重管理や出産に向けた体づくりをする
- 職場への報告や仕事の引き継ぎなどをおこなう
妊娠後期にやるべきこと
妊娠後期は、妊娠28週以降〜出産までの時期です。
お腹がだいぶ大きくなり、赤ちゃんに圧迫されることで頻尿や吐き気などの症状に悩まされることもあるでしょう。
妊娠後期になると、出産までいよいよです。
出産後の生活を夫婦で相談したり、赤ちゃんの名前を考えたり、産後のことを具体的に考えていきましょう。
また、仕事をしているお母さんは産休に入る時期であるため、産休や育休の手続きを職場でする必要があります。
ほかにも、出産で希望することや陣痛中の過ごし方など、希望する出産計画を立てるバースプランを作成しておくこともおすすめです。
妊娠後期にやるべきことリスト
- 赤ちゃんの名前を考える
- 出産後の生活を考える
- 出産に必要な着替えや母子手帳などの準備をしておく
- 産休や育休の手続きをする
- バースプランを作成する
出産直前にやるべきこと
出産直前になると、赤ちゃんとの対面までもう少しです。
いつ生まれてくるのかタイミングがわからないため、不安を感じてしまう方も多いでしょう。
しかし、いつ来るかわからない出産の時まで、ずっと不安な状況では気疲れをしてしまいます。
そのため、着替えや母子手帳などの入院・出産準備を整えたら、落ち着いて過ごせるように好きな音楽を聞いたり、映画を観たりして過ごすのもおすすめです。
安心して出産に望めるように、準備をしておきましょう。
出産直前にやるべきことリスト
- 着替えや母子手帳などの入院・出産準備の確認
- 産院へ行く手段や道順の確認
- 落ち着いて過ごせるアイテムの準備
夫がやるべきこと
出産と聞くと、お母さんばかりがやるべきことが多いように感じるかもしれません。
しかし、夫にもやるべきことがあります。
特に心身ともに疲労する過酷な出産を乗り越えたお母さんのダメージは、交通事故にあったレベルとも称されるほどです。
そのため、夫は妻が安心して出産できるように、産後はゆっくりと体を休められるようにサポートしましょう。
夫がやるべきことリスト
- 家事などの日常生活のフォロー・サポート
- 体に痛みがある時のマッサージ
- 出生届の提出
- 児童手当や健康保険証などの各種申請
- 必要な赤ちゃん用品の買い出し
準備時に注意すること
出産準備では、自分たちの身の回りの準備をすることはもちろん、必要な各種手続きや職場への連絡が大切です。
ここでは、準備時に注意することとして、各種手続きと職場への連絡について詳しくみていきましょう。
各種手続き
赤ちゃんが生まれた後には、提出しなければならない各種手続きがあります。
手続きには期限があるものもあるため、事前に確認しておき、提出期限内に提出できるように準備しておきましょう。
産後の各種手続きには、以下の手続きがあります。
手続き | 対象者 | 期限 | 手続き先 |
出生届 | 全員 | 出産日を含めて14日以内 | 市区町村役場 |
児童手当金 | 全員 | 出産日を含めて15日以内 | 現住所の市区町村役場 |
健康保険加入 | 全員 | 出生後、すみやかに | 各種健康保険の窓口 |
出産育児一時金 | 全員 | 受け取り方法によって異なる | 病院または各健康保険組合の窓口 |
出産手当金 | 会社員 | 産休開始の翌日から2年以内 | 勤務先 |
高額療養費制度 | 自己負担限度額を超えた人 | 診療を受けた月の翌月の初日から2年以内 | 健康保険組合の担当窓口 |
上記以外にも必要に応じて手続きが求められる場合があるため、事前にどのような手続きが必要になるのか確認して、方法を調べておきましょう。
職場への連絡
仕事をしている方は、妊娠したら職場への連絡が必要になってきます。
しかし、安定期に入る前だと自然流産をしてしまう可能性があるため、職場全体に連絡するのは考慮したほうが良いでしょう。
ただし、安定期に入る前でもお母さんの体にはつわりやだるさなどの症状で、仕事が辛くなることがあります。
その場合には、上司や仕事で協力を得られる方に伝えておき、周囲からのサポートを受けられるようにしておくと安心です。
出産後はできるだけ早く、職場に出産報告をしましょう。
報告が遅れて、隠すつもりがなくても発覚したような形で知られてしまうと、職場の方からの心象が悪くなってしまう可能性も。
育児休暇や出産手当などの手続きのためにも、早めに報告しておくことをおすすめします。
まとめ
妊娠したかも?と感じてから、出産するまでのやるべきことについて解説しました。
初めての妊娠だと、どのような準備をすれば良いのか、何をすれば良いのかわからないことも多いでしょう。
妊娠してからは、それぞれの時期ごとにやるべきことがたくさんあります。
本記事を参考にして、各時期ごとのやるべきことを確認しておきましょう。
また、お腹の中にいる赤ちゃんの染色体に異常がないか調べるNIPT(新型出生前診断)は、エコー検査で妊娠が確認できたらすぐに受けられます。
赤ちゃんに染色体異常がないか心配な方は、やるべきこととともにNIPT(新型出生前診断)も検討してみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
- JAM – エビデンスに基づく助産ガイドライン 妊娠期・分娩期・産褥機2020
- 日本産科婦人科学会 ・日本産婦人科医会- 産婦人科診療ガイドライン 産科編2020
誰でも初めての妊娠は、何をしなければならないのか、どんな準備が必要なのか、わかりませんよね。しかし、妊娠した時にやるべきことを知らないままだと、困ってしまうことも。この記事では、妊娠したとわかってから出産直前までにやるべきことを解説します。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業