ターナー症候群(モノソミーX)とは…赤ちゃんの親なら知るべきこと【医師監修】

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性染色体異常の1つ、ターナー症候群について解説しています。 女の子がいる家庭、または妊娠している方にとって、ターナー症候群の知識は有益です。 その理由は、親として子どもにすべき行動がわかるからです。

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この記事のまとめ

ターナー症候群は出生女児の1000~2500人に1人の割合で発生する難病で性染色体のXが1つ失われた状態です。お腹の中でターナー症候群となった女児の多くが自然流産になります。ターナー症候群になるかは、母親のお腹の中にいる段階で決まり、生まれてから後天的にはなりません。ターナー症候群を治す方法はありませんが対症療法で症状を治療したり緩和することができます。

出生前診断が税込4.5万~26.4万円

ターナー症候群の知識は、あなたの赤ちゃんの人生を変えます

『生まれてくる赤ちゃんが、元気で健康じゃなかったら』

『女の子は、どんな病気をもって生まれてくる可能性があるの?』

このような心配を解決します。

本記事は、ターナー症候群ついて(モノソミーX)を解説します。
※以下、ターナー症候群と表記。

悩みの解決にターナー症候群の知識が必要な理由は、親として赤ちゃんにしてあげられることがわかるからです。

本記事は、

  • 性染色体異常をカンタンに理解したい人
  • 赤ちゃんの親になる人
  • 生まれてきてくれた赤ちゃんのため、ターナー症候群をカンタンに理解したい人

にとって役立つ記事です。
ターナー症候群に関するブログは、医学の専門知識を必要とするものが大多数。
本記事は医学の基礎知識をあまり必要とせず、読みすすめられる内容になっています。

ターナー症候群の知識がなければ、あなたの子どもを苦しめてしまう可能性があります。
なぜなら、ターナー症候群の名前すら聞いたことがないレベルだと、通院や治療の選択ができないからです。

たとえば、ターナー症候群には、さまざまな病気のリスクがあります。
そのリスクに親が早く気づいて、治療を受けさせ回避できる可能性もあります。

知識があれば、病気の発症リスクも抑えられ、子どもを快適に過ごさせてあげられるでしょう。

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ターナー症候群の概要

難病であり、自然流産となる胎児がおおい

出生女児の1000~2500人に1人の割合で、発生する難病。

母親のお腹の中にいる段階で、さらに高い頻度で発生しています。
お腹の中でターナー症候群となった女児の大部分は、自然流産になります。

ターナー症候群になるかは、母親のお腹の中にいる段階で決まり、生まれてから後天的にはなりません。

女性や女児の病気、ケア次第で寿命は健常人と変わらない

ターナー症候群は女性や女児のみの病気で、男性や男児にはおこりません。

後述するように、さまざまな特徴や合併症が存在しますが、治療次第でふつうの生活ができます。

治療を受けていれば、介護や看護などは必要としないでしょう。

しかし、合併症を常に警戒し、検査などを定期的に受けさせる必要があります。

通称はたくさんあるが、すべてターナー症候群

本やインターネット、さまざまなメディアで、

  • ts症候群
  • turner症候群(syndrome)
  • ターナー病

と表記があります。

以上はすべてターナー症候群です。

ターナー症候群の概要

特徴や知的障害の有無など

ターナー症候群にみられる特徴を紹介します。
ターナー症候群ならば、下記に列挙する特徴すべてが現れるわけではありません。

1つの人もいれば、複数の特徴がある人もいます。

特徴(見た目や症状など)

乳幼児期

  • 上のまぶたが垂れ下がっている、眼瞼下垂
  • 後頭部の髪の生え際が低い位置にある、毛髪線低位
  • ほくろが多い
  • 爪の発育が悪い

の特徴にくわえ、リンパ浮腫や翼状頸(よくじょうけい)が確認されています。

リンパ浮腫

手の甲や足の甲が腫れるリンパ浮腫。
リンパ液がたまり、むくんだ状態です。
むくんだ部分が重く感じます。
関節に近い部分がむくむと、関節がまげにくくなり生活の質(QOL)に影響するでしょう。

翼状頸(よくじょうけい)

首筋に翼のような余分な皮膚がついており、首が太くみえるのが特徴。
ボディビルダーやプロレスラーのような太さの首が、小さい身体についているような見た目です。

青年期

ターナー症候群の青年期の特徴は、

  • 低身長や肥満
  • 首の後ろのたるみ
  • 思春期に第二次性徴がない
  • 不妊症

低身長で無治療なら、平均身長は138cm前後です。

思春期がないとは成長期に生理がこない現象で、乳房や膣、子宮などに変化がありません。

ターナー症候群において不妊症になる理由は、卵巣が結合組織に置きかわるからです。
これは卵子の発育がないことをしめし、性腺形成不全といわれます。
卵子がなければ、妊娠できません。

知的障害は稀、しかし、注意欠如・多動症や学習障害が確認されている

言語能力の知能検査において、異常はみられません。
しかし、学習障害として、視覚情報や空間の認識が苦手。
具体的には、数学を苦手とする事例がおおくみられます。

注意欠如・多動症とは、ADHDの名前で知られている脳の病気です。

ADHDは、

  • 注意がそれやすい
  • 一つの物事に集中できない
  • 興味のあるもの以外には関心をしめさない

の行動があります。

たとえば、小学生であれば授業中に座ったままでいられないなど。

合併症

脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)

青年期に10%の割合で、脊柱側弯症がみられます。
脊柱側弯症とは、脊柱がまがっている状態。

人を真正面からみると脊柱はまっすぐですが、脊柱側弯症では左右のどちらかにまがっています。

これによって見た目は、肩甲骨や肩の高さが違ってみえます。

日々の生活の影響は、呼吸器や神経を圧迫により、痛みがでたり息苦しくなったりするそうです。

骨粗しょう症と骨折

骨粗しょう症とは、骨の中身がスカスカになる状態です。

骨の中身がスカスカになると、骨の強度が弱くなり、少しの刺激で骨折しやすくなります。

高血圧

高血圧とは、血圧が高いのを意味します。
血圧は、血管の内側にかかる力です。

血圧が高いといけない理由は、血管を消耗しやすいからです。
さらに、高血圧は心臓が過剰に血液を流しているので、心臓にも負担がかかります。

高血圧によって、

  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 脳出血

など生命を脅かす病気へつながる可能性があります。

難聴

ターナー症候群では、中耳炎をおこしやすく、くり返しやすい特徴があります。
中耳炎をくり返していると、難聴になりやすくなるといわれています。

腎臓の異常

ターナー症候群では腎臓の形が、健常と異なる場合も確認されています。
腎奇形といわれ、腎不全の原因です。

糖尿病

糖尿病は、体内のインスリンの量が少ないか、まったくなくなってしまう状態。
さらに、インスリンが体内で働きにくい現象もふくめます。

インスリンは血糖値を下げる役割をしています。
インスリンがなければ血糖値は高いまま。

高血糖は全身の臓器にさまざまな障害をあたえ、

  • 心臓病
  • 脳卒中
  • 失明
  • 足の切断

など重大な疾患へつながる可能性があります。

発育性股関節形成不全

赤ちゃんの股関節が発育の段階で脱臼している、または不安定。
くわえて、股関節がうまく成長しない過程もふくみます。

赤ちゃんの段階で現れやすく、歩き方が変だったり、歩けなかったりするケースもあります。

大動脈縮窄症(だいどうみゃくしゅくさくしょう)

心臓からでる血管が途中で細くなっている状態が、大動脈縮窄症です。

青年期まで無症状の事例もありますが、ひどいと乳幼児は心不全になった報告もあります。
大動脈縮窄症の特徴は、高血圧状態です。
高血圧状態は、

  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 心不全

の危険性があり、寿命は健常人より短くなる傾向があります。

性腺悪性腫瘍

小児のガンの1つで、ターナー症候群では卵巣にガンができます。
やがて進行すれば、卵巣以外の骨盤や骨盤の外にまでガンができます。

多臓器の自己免疫性疾患

自己免疫性疾患とは、自分の身体を攻撃してしまう病気です。
攻撃する理由は、自分の身体を異物と認識してしまい、排除しようとするからです。

ターナー症候群だけではなく、他の染色体異常を併せもっていると、多臓器の自己免疫性疾患が発症しやすくなります。
他の染色体異常とは、部分的2qモノソミーとトリソミー10pです。

セリアック病

セリアック病の患者は、ターナー症候群である頻度が高いと報告がありました。

セリアック病とは、グルテンを食べたときに腸の粘膜に炎症がでてしまう疾患。
グルテンは小麦にふくまれています。
代表的な食品は、パンやパスタです。

腸の粘膜に炎症がおこると、

  • 下痢
  • 低栄養による成長不良
  • 満腹感が常にある
  • 体重が減る

の症状が確認されています。

対症療法や予防で、ふつうに生活できる可能性がある

2021年現在、ターナー症候群を治す方法はありません。

なぜなら、ターナー症候群を治すには、染色体そのものを新しくする必要があるからです。
そのような治療法は未だ発見されていません。

しかし、ターナー症候群によって現れる症状を治療したり、緩和できたりします。

代表的な対症療法

対症療法とは、病気の原因を解決するわけではありません。
病気によって現れる症状をなくしたり、ゆるくしたりする方法。
たとえば、風邪による頭痛をなんとかするために、痛み止めを飲むのは対症療法です。

成長ホルモン療法

低身長に対する治療が、成長ホルモン療法です。
ターナー症候群と診断され、低身長がみられる際に投与されます。

成長ホルモンの治療を受ければ、平均の身長は145cm以上になる報告があります。

エストロゲン療法

思春期をこさせるための治療です。
エストロゲンとは女性ホルモンで、投与よって思春期がくると、二次性徴が訪れます。

女性の二次性徴は、

  • 乳房が発達
  • 丸みを帯びた身体つきになる
  • 初経(はじめての生理)
  • 子宮の発達

日本小児内分泌学会薬事委員会のガイドラインによれば、12歳未満で治療を開始すると、低身長になりやすい可能性があるとされています。
参考:ターナー症候群におけるエストロゲン補充療法ガイドライン

低身長がみられる場合、成長ホルモンの治療とバランスをとって行うのが好ましい治療です。

ターナー症候群の治療

妊娠するには、卵子提供

ターナー症候群の女性は、ほとんど妊娠できません。
妊娠するために確率の高い方法は、卵子提供です。

卵子提供を視野にいれるのなら、成長ホルモンやエストロゲン療法をしておく可能性があります。
なぜなら、妊娠・出産に耐えられる身体をつくるためです。

ターナー症候群において、成長ホルモンやエストロゲン療法で不妊治療はできません。

しかし、低身長や子宮の発達がなければ、出産や妊娠を耐えられない身体になります。

卵子提供を視野にいれるのであれば、成長ホルモンやエストロゲン治療で、妊娠できる身体へ近づける必要があるでしょう。

定期的な検査で、合併症を予防

親のあなたが、どれだけ子どもに対処してあげられるかで、子どもの生活の質(QOL)が変わります。
合併症は発症するまでは検査し、予防するしかないからです。

たとえば、生活習慣への配慮によって、糖尿病を予防できます。
発育性股関節形成不全は、早期で発見できれば手術せず治せるでしょう。
定期的に検査や通院などで、病気を早期発見できます。

子どもが苦しむ前に、治療を開始してあげたいですよね。

なぜおこる?【性染色体が1つしかないから】

性染色体は、性別を決定する染色体

性染色体とは、生物がもつ染色体の1つ。

染色体とは、生物を構成する物質の情報がある場所。
この情報を元に人間を構成する物質がつくられます。

性染色体は染色体のうち性別(男か女か)を決定する染色体です。

性染色体はX染色体(以下X)とY染色体(以下Y)の2種類があり、XとYをどのように組みあわせるかで性別が決まります。
具体的には、

  • XXが女性
  • XYが男性
  • YYは存在しない
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ターナー症候群はモノソミーXが原因

モノソミーXの状態は人体に必要な物質が足りなくなるからです。
その結果、ターナー症候群の症状や特徴が身体に現れます。

モノソミーXとは、性染色体のXが1つ失われた状態です。
通常、女性の性染色体はXXとされ、Xが2つある状態。
しかし、異常によってXが1つ失われてしまうケースがあります。

たとえば、自転車のタイヤは基本2つですよね。
もし、後輪のタイヤがなくなったとしたら、不具合がおこります。
性染色体も同じで、2つのうち1つ失われたら、女性の身体にさまざまな影響があります。

ターナー症候群は遺伝するとはかぎらない

その理由は、ターナー症候群は偶然おこる、性染色体異常だからです。

卵子の提供により、ターナー症候群の女性が妊娠したとしましょう。
その子孫もターナー症候群である可能性は、非常に低確率になります。

言い方を変えれば、両親が染色体異常でなくても、ターナー症候群の赤ちゃんが生まれる可能性はあります。
両親が不健康だったり、高齢出産だったりするのは、ターナー症候群の原因とはなりません。

診断方法や診療科

病院の何科を受診すべきかは、年齢や誰が検査するかにより異なります。

出産前の母親なら、出生前診断をしているクリニック、または産婦人科や遺伝子診療科。
お子さんの場合は小児科ですが、15歳以降は内科の受診が一般的です。

ターナー症候群の診断

特徴的な見た目(リンパ浮腫や翼状頸など)が確認されたら、ターナー症候群を疑います。
見た目でわからなければ、思春期に生理がこないときまで疑われないケースもあるでしょう。

見た目を疑った後の診断には、染色体検査が行われ、染色体異常があるかどうかの確認がされます。
検査を受ける側がされることは、採血。

染色体異常と特徴的な症状が1つ以上みられれば、ターナー症候群と診断されます。

その後、心臓に異常がないかをチェック。
心エコー検査や心臓MRI検査をします。

出産前に知りたいなら、NIPT(新型出生前診断)

出産前に女の子がターナー症候群かを確かめるには、性染色体の数を推定する検査をしてみましょう。

NIPTとは新型出生前診断のこと
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非侵襲的出生前診断
新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血した血液から胎児の、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、1...

【参考文献】

性染色体異常の1つ、ターナー症候群について解説しています。 女の子がいる家庭、または妊娠している方にとって、ターナー症候群の知識は有益です。 その理由は、親として子どもにすべき行動がわかるからです。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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