妊娠がわかったら週数に応じて妊婦健診を受けましょう。妊婦健診は赤ちゃんとママの健康状態を知り、安心して出産するために欠かせません。今回は妊婦健診のスケジュール、検査内容をくわしく解説します。気になる妊婦健診の費用も合わせてご紹介します。
この記事のまとめ
妊婦健診は赤ちゃんとお母さんのための定期健診です。赤ちゃんの成長・発達が順調か、母体の健康状態に問題がないかを調べます。妊娠初期の受診間隔は毎月1回・4週間に1回、妊娠中期の受診間隔は毎月2回・2週間に1回、妊娠後期の受診間隔は1週間に1回とさらに短くなります。血圧測定や尿検査、体重測定、採血、腹囲・子宮底長の測定、超音波検査をします。
妊婦健診とは
妊婦健診は赤ちゃんとママのための定期健診です。赤ちゃんの成長・発達が順調か、ママの健康状態に問題がないかを調べる妊婦健診。ひどいつわりによる脱水や栄養不良、貧血や妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病は、ママの健康だけでなく赤ちゃんの成長発達にも影響をあたえます。
また、赤ちゃんの病気や成長の遅れなども妊婦健診で発見できれば、妊娠中に治療が受けられたり、NICU(新生児集中治療室)など専門病院での出産を調整したりできます。
さらに妊婦健診では、健診だけでなく妊娠中の生活や出産、育児に関する相談や指導も受けられます。妊婦健診は母子保健法第13条でもその必要性を規定していて、少子化対策の1つとして国や地方自治体も力を入れているのです。
妊娠したら妊婦健診を受けましょう
妊娠がわかったら産婦人科を早めに受診しましょう。受診時に胎児の心拍が確認できたら、その後の診察は「妊婦健診」となり定期的に通院します。妊娠がわかって1回目の受診が妊娠8週ごろのケースでは、出産予定日までの標準的な妊婦健診の回数は計14回です。
妊婦健診助成について
順調な妊婦さんでも14回も受診しなければならない妊婦健診。少しでもママの負担を減らすために「妊婦健康診査費用補助券」という助成制度があります。くわしく解説します。
妊婦健診は保険適用?補助券を利用するには
妊婦健診は保険の適用外で診察や検査の費用は自費です。その理由は「妊娠は病気ではない」からです。
健診1回あたりの自己負担額は5000円〜1万円と高額です。妊婦健診の費用を助成するために「補助券」があります。補助券は市区町村の窓口で妊娠届けを提出すると母子健康手帳とともに交付されます。そのため妊娠が確定するまで、補助券は使用できません。
最近では「受診券」で費用助成をおこなっている自治体も増えています。受診券と補助券の違いを簡単にご紹介します。
受診券 | 毎回の検査項目が示されている券を、妊婦が医療機関に持参して健診を受ける |
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補助券 | 補助額が記載された券を、妊婦が医療機関に持参して健診を受ける。検査項目は医療機関が判断する。 |
また、2017年時点で回数に制限なく補助を受けられる市区町村は全国に24か所あります。
まれに妊婦健診に保険が適応される場合があります。それは妊婦健診で「異常が見つかったとき」です。異常が見つかった場合の検査や治療には、保険が適応される場合があります。ほかにも、もともとママが婦人科系の病気を持っていて継続した治療を受けている場合にも保険が適応される場合があるため、受診の際に確認しましょう。
また、里帰り出産の場合には負担額が変わる可能性があるため、お住いの市区町村に問い合わせてください。
補助券の対象となる検査について
補助券に記載されている検査項目は公費負担の対象です。時期や回数に応じて対象項目はことなります。東京都保健福祉局のホームページでは、補助対象となる検査項目と受診勧奨時期を以下としています。
引用:東京都保健福祉局 – 妊娠がわかったら
妊婦健康検査 検査項目 受診勧奨時期 1回目 問診、体重測定、血圧測定、尿検査(糖、蛋白定性)、血液検査、血液型(ABO型、Rh(D)型)、貧血、血糖、不規則抗体、HIV抗体、梅毒(梅毒血清反応検査)、B型肝炎(HBs抗原検査)、C型肝炎、風疹(風疹抗体価検査) 2~14回目 問診、体重測定、血圧測定、尿検査、保健指導 毎回 数等に応じ各回1項目を選択 クラミジア抗原 妊娠初期から30週 経腟超音波 妊娠20から26週 HTLV-1抗体 妊娠30週までに 貧血 妊娠28から32週、36週以降 血糖 妊娠24から28週 B群溶連菌 妊娠33から37週 NST(ノン・ストレス・テスト) 妊娠36週以降 妊婦健康診査受診票と一緒に利用 子宮頸がん検診 妊娠初期
また、超音波検査は補助券が使用できる回数が市区町村によって異なるため、注意が必要です。
妊婦健診の頻度
妊婦健診の頻度は母子保健法で以下と決められています。
妊娠初期~23週6日まで | 4週間に1回 |
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妊娠24週(第7か月)以降 | 2週間に1回 |
妊娠36週(第10か月)以降 | 1週間に1回 |
受診頻度はあくまでも目安でママと赤ちゃんの状態によって異なります。
妊婦健診のスケジュール
妊婦健診のスケジュールもくわしく見ていきましょう。以下に標準的な健診スケジュールを紹介します。助産所で出産する方や、里帰り出産をする方は受診回数が増える可能性があります。
妊娠初期~23週
妊娠初期の受診間隔は毎月1回・4週間に1回が目安です。
妊娠24週~35週
妊娠中期の受診間隔は初期よりも短くなり、毎月2回・2週間に1回が目安となります。
妊娠36週~出産まで
妊娠後期はいつ赤ちゃんが産まれてもよい時期です。ママ・赤ちゃん双方の出産準備が整っているかを調べるために、受診間隔は1週間に1回とさらに短くなります。
妊婦健診の内容
妊婦健診ではママと赤ちゃん双方の状態を確認します。具体的にどのような検査があるのか、順に解説します。
検査項目
ママの状態をチェックする検査項目は以下です。
- 血圧測定
- 尿検査
- 体重測定
- 採血(検査項目は妊婦健診の補助券の内容を含む)
次に赤ちゃんの状態をチェックする検査項目を紹介します。
- 腹囲・子宮底長の測定
- 超音波検査
そのほかに、妊娠経過中は次のような検査をおこないます。
妊娠初期~23週6日まで | 採血(血液型・血糖検査・抗体検査)、子宮頸がん検診 |
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妊娠24週(第7か月)以降 | ブドウ糖負荷試験、B群溶血性連鎖球菌検査 |
妊娠36週(第10か月)以降 | NST(ノン・ストレス・テスト) |
ブドウ糖負荷試験は、採血結果で血糖値が高いママがおこなう検査です。ブドウ糖を飲んで採血をおこない妊娠糖尿病になっていないかを調べます。
NST(ノン・ストレス・テスト)は、妊娠後期のママに必ずおこなう検査です。ママのお腹にセンサーをつけて、赤ちゃんの心拍数や子宮の収縮の回数を調べます。
胎児スクリーニング検査
さまざまな妊婦健診の項目を紹介しましたが、これ以外にも「胎児スクリーニング」とよばれる検査があることはご存知でしょうか?多くのママに選ばれている胎児スクリーニングをくわしく解説します。
胎児スクリーニング検査とは
胎児スクリーニング検査は、一般的な妊婦健診よりもくわしく赤ちゃんの状態を調べる検査です。スクリーニング検査は赤ちゃんの病気の可能性が「高い」か「低い」かがわかります。病気の可能性が高い場合には、より精密な検査がおこなわれます。
胎児スクリーニング検査は、超音波検査で診断します。妊婦健診よりも長い時間をかけて、赤ちゃんの内臓や脳、全身の骨格などの異常がないかをチェックします。
検査がおこなわれる時期は、妊娠20週前後が目安で費用は自費です。
NIPT(新型出生前診断)について
まれに、超音波検査だけでは赤ちゃんの異常を発見できないケースもあります。代表的なものは「染色体の異常」です。染色体の異常には、21トリソミー(ダウン症)や18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)があります。これらの染色体の異常の可能性が高いかは、NIPT(新型出生前診断)という検査で調べることができます。
NIPT(新型出生前診断)の検査項目や精度はクリニックごとに異なります。ヒロクリニックNIPTのNIPT(新型出生前診断)であれば、ダウン症だけでなく性染色体の異常や全常染色体全領域部分欠失・重複疾患についてもよりくわしく高精度に検出できます。
NIPT(新型出生前診断)をもっと知りたい方は、以下もご参照ください。
まとめ
妊婦健診はママと赤ちゃんの状態を把握し、安心して妊娠・出産・育児をおこなうために欠かせません。健診の自己負担を軽減するために補助券や受診券などの制度がありますので、ぜひ活用してください。
妊婦健診よりもくわしく赤ちゃんの状態を知りたい方には、胎児スクリーニング検査がおすすめです。超音波検査だけでなくNIPT(新型出生前診断)を合わせておこなうと、より多くの病気のリスクに気づける可能性が高くなります。ヒロクリニックNIPTの一部の院(東京駅前院・名古屋駅前院・博多駅前院)では、NIPT(新型出生前診断)と合わせて超音波検査(エコー検査)もおこなえます。総合的に赤ちゃんの状態を知りたい方は、ぜひご来院をご検討ください。
【参考文献】
- 厚生労働省 – 妊婦に対する健康診査についての望ましい基準(平成二十七年三月三十一日) (厚生労働省告示第二百二十六号)
- 厚生労働省 – 妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について
- 厚生労働省 – 「“妊婦健診”を受けましょう(リーフレット)」
妊娠がわかったら週数に応じて妊婦健診を受けましょう。妊婦健診は赤ちゃんとママの健康状態を知り、安心して出産するために欠かせません。今回は妊婦健診のスケジュール、検査内容をくわしく解説します。気になる妊婦健診の費用も合わせてご紹介します。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業