妊婦さんの花粉症、対策方法は?【医師監修】

妊婦さんの花粉症、対策方法は? 女性 花粉症 写真

「花粉症だけど、妊娠中も薬を飲んでもいいの?」「妊娠中でもできる花粉症対策が知りたい」とお悩みの方に向けて、この記事では花粉症の治療薬が胎児に与える影響や妊婦でもできる花粉症の対策方法について解説しています。

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はじめに

妊娠中は薬を服用することに対してとても神経質になります。「もしかしたら赤ちゃんに影響があるかもしれない」と考えると、安易な服用はできません。しかし、花粉症のシーズンは薬を飲まずにはいられないほど症状がつらいと感じる方が多いのではないでしょうか。

目のかゆみや鼻水、鼻詰まりに悩まされ、ティッシュペーパーが手放せない生活を送っている方もいるかもしれません。「胎児に影響がないなら、花粉症の薬を飲んで楽になりたい」と思う方も多いはずです。

そこで今回は、妊娠中に花粉症の治療薬を服用すると胎児に影響があるのか、妊婦でもできる花粉症対策の方法にはどのようなものがあるのかなどについて解説します。

妊娠中の花粉症対策

妊娠中は普段よりも鼻の粘膜が腫れやすいため、今までなんともなかった方が花粉症を発症したり、もともと花粉症があった方でいつもよりひどい症状が見られたりすることがあります。

そのようなときは、薬を使う前にまず簡単なセルフケアを行ってみましょう。少し工夫をするだけで、花粉症の症状を和らげることができます。

予防とセルフケア

妊娠中に花粉症と付き合っていくうえで大事なのが、まずはしっかり予防を行うことです。花粉症の症状をゼロにすることは難しいですが、予防を行えば症状を軽減できます。では、効果的な予防方法をいくつか見ていきましょう。

  • ポリエステルなど花粉がつきにくい素材の衣類を着用する
  • メガネや花粉症用のゴーグルを着用する
  • マスク+インナーマスクを着用する
妊娠中の花粉症対策

毛織物は花粉が付着しやすいため、外出するときはポリエステルなどの化学繊維でできた衣類がおすすめです。表面が滑らかであるため、花粉がつきにくく、吸い込む花粉の量を減らせます。

メガネや花粉症用のゴーグルの着用もおすすめです。専用のゴーグルも販売されていますが、一般的なメガネをかけるだけでも目に入る花粉の量を2分の1から3分の1まで減らせます。

マスクも花粉症の予防に効果的です。吸い込む花粉の量を約3分の1から6分の1まで減らせます。花粉症の症状が出て鼻詰まりがつらいときは、蒸しタオルを使うのもよいでしょう。鼻を温めると、鼻孔が広がり血流が良くなるため鼻詰まりが解消されます。

花粉症治療による胎児への影響

ポリエステル素材の衣類を着用したりメガネを使ったりしても花粉症の症状がおさまらない方もいるでしょう。そのようなときは、薬を使った対策も考えていくことになります。

しかし「妊娠中はできるだけ薬を飲みたくない」「目薬を使っても大丈夫?」「胎児への影響が気になる」と心配に思う妊婦さんも多いはずです。

妊娠中の花粉症治療薬の使用について

妊娠中に花粉症の薬を使ってはいけないということは決してありません。安全性が確認されている薬もありますので、妊娠期間や症状に合わせて適切な薬を選択して治療していきます。

ただし、自己判断で市販の花粉症治療薬を使用するのはおすすめできません。妊娠週数や赤ちゃんの状況、母体の状況によっては使用が適さないものがあります。「妊娠中は使用しないように」もしくは「相談してから購入するように」と注意書きされている商品がほとんどです。

妊娠中の花粉症治療薬の使用

妊娠初期

妊娠初期は赤ちゃんの器官が作られていく時期のため、薬の服用には慎重にならなければいけません。花粉症の薬の添付文書には、ほとんどが「有益性を上回る場合に使用して良い」と記載されています。

ただし、妊娠初期は赤ちゃんが薬の影響を受けやすいため、原則として内服薬の処方は行われません。重症の花粉症の方や、鼻水や目のかゆみ、熱などの症状が出て生活に支障が出るような方には点鼻薬や点眼薬が処方されることがあります。点鼻薬や点眼薬は局所的な作用のため胎児に影響が少ないとされています。

妊娠に気づかず花粉症の薬を服用してしまったら

人によっては妊娠していることに長い期間気がつかないケースもあるでしょう。そのため、うっかり花粉症の薬を飲んでしまう方もいます。妊娠していることに気がついたらすぐに服用を中止し、なるべく早めに産婦人科医に相談してください。

その際に、どの薬をどれくらいの期間飲んでいたのかを伝えることが大切です。催奇形性の可能性が高いものは花粉症の薬のなかにはありません。しかし、花粉症の薬を飲んでしまった場合は念のため赤ちゃんの成長を慎重に見守っていきましょう。

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妊娠中期以降

妊娠中期以降になると、使用できる薬の幅が広がります。妊娠5か月を過ぎると、ロラタジンやセチリジン、フェキソフェナジンなどの使用が可能です。それぞれオーストラリア医薬品評価委員会による基準では下記の表のように分類されています。

B1は催奇形性が観察されておらず動物を使った実験でも障害の発生が増加したというデータがないもの、B2は催奇形性は確認されていないものの、動物実験でのデータはまだ不足しているものです。

このほか、症状に応じて漢方薬や頭痛薬、うがい薬、注射などが治療に使われることがあります。花粉で頭痛や咳がひどいときは我慢せず相談してみてください。

薬の名前オーストラリア基準の分類
ロラタジンB1
セチリジンB2
フェキソフェナジンB2

レーザー療法

レーザー療法とは、レーザーを当てることで鼻粘膜を変性させてアレルギー反応を軽減する治療です。花粉症はもちろん、鼻炎の治療にも用いられています。レーザー療法は赤ちゃんに影響を与えることが少ないため、妊婦さんご自身の体調が安定していれば妊娠中でも受けることが可能です。

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授乳中の花粉症対策

授乳中は基本的に妊娠中ほど気にせず薬の服用ができます。たとえばロラタジンやセチリジンは、愛知県薬剤師会が発行している「妊娠・授乳と薬」には「安全」と記載されています。ただし、服用するときは自己判断で市販薬を使わずに必ず耳鼻科等で相談してから処方してもらうようにしてください。

まとめ

妊娠初期は赤ちゃんの器官が形成される大切な時期のため、基本的に内服薬の使用はできません。妊娠5か月を過ぎると使用できる薬の種類が増えます。花粉症の症状が気になる方は、あらかじめレーザー治療を受けておくなど対策をしておくと良いでしょう。

ポリエステル素材の衣類を着たりメガネを着用したりすることも症状を抑えるのに効果があります。産婦人科や耳鼻科等の医師と相談しながら、うまく花粉症の季節を乗り越えましょう。

【参考文献】

Q&A
よくある質問

妊娠中の花粉症についてよくある質問をいくつかまとめました。参考にしてみてください。

  • Q
    妊娠すると花粉症が悪化するって本当?
    個人差がありますが、妊娠中は花粉症の症状が悪化する方がいます。免疫機能が低下したり、鼻の粘膜がむくみやすいことが原因です。
  • Q
    病院に行く場合は何科を受診すれば良い?
    まずは産婦人科を受診しましょう。赤ちゃんや母体の様子を見ながら適切な対応をしてくれます。

    耳鼻科や眼科、内科などを受診する場合は必ず妊娠中であることを医師に伝えてください。
  • Q
    花粉症の薬はNIPT(新型出生前診断)に影響する?
    花粉症の薬がNIPT(新型出生前診断)に影響することはありません。ただし、NIPTを受ける際は服用している薬について伝えておく必要があります。

「花粉症だけど、妊娠中も薬を飲んでもいいの?」「妊娠中でもできる花粉症対策が知りたい」とお悩みの方に向けて、この記事では花粉症の治療薬が胎児に与える影響や妊婦でもできる花粉症の対策方法について解説しています。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

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記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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