妊娠中の変化していく身体に合わせて時にはファッションやヘアスタイルは調整が必要なことがあります。妊娠中でも注意をすればおしゃれは存分に楽しめますので、美容院で気分転換、リラックスをしてマタニティライフを楽しみましょう。
この記事のまとめ
妊婦さんが美容院でカット、カラーやパーマをかけるのは基本的に問題ありません。カラー、パーマ液が頭皮から浸透して、赤ちゃんに悪影響を与えるという医学的根拠は今のところありません。しかし妊娠中の皮膚はデリケートな状態であり、今まで使っていたカラーやパーマなどの薬剤でかぶれることがあります。またカラーやパーマ液のにおいで気持ち悪くなったりすることがあるので気分が悪くなった際には我慢せずに休憩などするようにしましょう。
はじめに
妊娠中は嬉しいことも多い中、様々な悩みや不安で戸惑うこともあると思います。ファッションやヘアスタイルは、変化していく妊娠中の身体に合わせて時には調整が必要なことがあります。今回は妊婦さんが美容院へ行く場合の注意点などに注目していきたいと思います。
妊娠中の美容院、ベストなタイミングとは
妊娠中には急な体調の変化には気をつけなければなりません。つわりや貧血がある妊婦さんの場合は、立っていても座っていても辛いことがあります。
妊娠後期では最後の美容院は出産する間際に行きたいと考えることもあるかもしれませんが、お腹が大きくなると長時間同じ体位でいることが大変に感じることがあります。お腹が張りやすいという妊婦さんもいます。体調が良いと思って行ってみても、気分が悪くなったり、腰が痛くなったり、足がむくんでつらくなることがあるかもしれません。
また妊娠初期であっても妊娠中であるということを事前に美容院へ伝えておくと良いでしょう。妊娠中、美容院へいつまでいけるかという制限はありませんが、当日の体調をみながら美容院へ行くと良いでしょう。
妊娠初期、妊娠後期でも美容院へ行けますが、安定している妊娠中期はベストなタイミングと言えるでしょう。
妊娠中に美容院に行くと胎児に影響がある?
妊婦さんが美容院へ行くのは基本的に問題ありません。 カットはもちろん、カラー、白髪染め、パーマ、トリートメントも影響ないと言われています。
胎児の健康状態はNIPT(新型出生前診断)で検査
NIPT(新型出生前診断)とは、お母さんから採血した血液から胎児の21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)などの染色体異常を調べる検査のことです。従来の血液による出生前診断と比較しても、感度・特異度から見ると検査自体の精度がきわめて高いとされています。
NIPT(新型出生前診断)はお母さんの腕からの採血で検査ができるため、流産のリスクがなく安全な検査と言えます。またエコー検査で妊娠が確認できたらすぐに受けることが可能なため、赤ちゃんの状態を早く知ることができます。
妊娠中に美容院でパーマやカラーをしても良い?
美容院で心配に思う事として、カラーやパーマが赤ちゃんに悪影響を及ぼさないのかという事があると思います。妊婦さんが美容院でカット、カラーやパーマをかけるのは基本的に問題ありません。カラー、パーマ液が頭皮から浸透して、赤ちゃんに悪影響を与えるという医学的根拠は今のところありません。
妊娠中は皮膚がデリケート
妊娠中の皮膚はデリケートな状態であり、今まで使っていたカラーやパーマなどの薬剤でかぶれることがあります。皮膚トラブルが起きた場合、皮膚科への通院が必要となることがあり、妊娠中には使える薬も限られてしまいますので注意が必要です。いつもと違うように感じたらすぐに使用を止めるようにしましょう。
妊娠中はにおいに敏感
カラーやパーマ液のにおいで気持ち悪くなったりすることがあります。自分が使っていなくても、他のお客さんのカラーやパーマの薬液のにおいで気持ち悪くなる可能性もあります。美容師さんに事前に妊娠していることを伝え、気分が悪くなった際には我慢せずに休憩などするようにしましょう。妊婦さん個人個人で状況や体調は異なりますので、体調が良い時期を見計らって行くと良いでしょう。
薬液が地肌につかないように
カラーをする際は地肌にカラー剤があまりつかないように美容師さんに頼むことで、地肌をクリームで保護してくれたり、地肌につかない塗り方をしてくれるといった対処をとってくれることが多いので担当の美容師さんへ聞いてみましょう。
市販のパーマやカラー剤は使っても良い?
カラー、パーマ液が頭皮から浸透して、赤ちゃんに影響を与えるという医学的根拠は今のところありませんので、市販の物を使うということも問題ありません。しかしながら市販のカラー剤は、一般の人でも色むらなく染められるように、薬剤が強めとなっています。その分、肌荒れの原因となるということは知っておくと良いでしょう。美容院で施術する方が安心かもしれません。
妊娠中の美容院の選び方
いつも通っている顔見知りの美容院があればそちらを選ぶことが良いと思いますが、これから美容院を選ぶ場合の、妊婦さんならではのポイントをご紹介します。
座ってできるシャンプー台がある
シャンプー台にも色々な種類があり、フルフラットのベッドのようになるタイプや、座った体勢でシャンプーができるところもあります。腰痛や背部痛がある妊婦さんには座ってできるシャンプー台の方が負担が少ないでしょう。事前に電話で確認するか、WEBサイトで確認してみてください。
通院しているクリニック、病院の近くを選ぶ
妊娠中は急に何が起こるかわかりません。通院しているクリニックや病院の近くにある美容院を選ぶと、何かあった時にすぐに受診できるので安心です。
妊娠中に美容院に行く際の注意点
妊娠初期の体調に注意
美容院に行く時期は特に制限はありませんが、妊娠初期はにおいに敏感になったり、つわりがあることがあるので、体調をみながら行くと良いでしょう。妊娠初期であっても妊娠していることを伝えましょう。美容院によっては、妊婦さんに配慮してくれたり、施術時間を短くしてくれたりすることがあります。
無理はしない
何かあれば我慢せずに早めに伝えましょう。体調がすぐれない時は、無理をしないことが大切です。休憩が必要な場合は遠慮せずに伝えると良いでしょう。美容院は空調がきいている場合が多いので、寒く感じたらブランケットを借りて足元から冷えないようにしましょう。
長時間同体位での施術は避ける
お腹が大きくなると長時間同じ姿勢をとるのがつらく、腰痛や背部痛、お腹が張り、むくみやすくなる人もいますので、休憩を入れながらの施術をしたほうが良いでしょう。カットとカラー、パーマを別日にするなど長時間の施術にならないように気をつけましょう。
妊娠中期、妊娠後期では仰向けの姿勢に注意する
妊娠中期以降は、仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)に注意が必要です。仰臥位低血圧症候群とは、妊婦さんが仰向けで寝ることによって子宮の重みで体の右側にある大きな静脈が圧迫され、急激に低血圧になり、気分が悪くなる、意識が薄れるなどの症状が起こることです。
美容院でリクライニングでシャンプーをする際などは、①上半身を少し起こした状態にする②右腰の下にタオルなどを置くなど、完全に仰向けの状態にならないようにすると安心です。
もしも仰向けで寝ていて何か不快な症状があった場合には、右側の静脈の圧迫をやわらげるように体の左側を下にして横向きに寝て下さい。
妊娠中に美容院へ行く際の持ち物
妊娠中の持ち物には母子手帳、健康保険証、タクシー会社の電話番号、かかりつけの病院の電話番号、緊急連絡先など、急な体調の変化が起こっても対応できる準備をしておくと良いでしょう。
予約時に妊娠中だと伝えるべき?
まれに妊婦さんをお断りする美容院があるとのことで、妊娠していることは隠して行こうと思う方もいるかも知れませんが、妊娠中であることは予約の際にきちんと伝えておきましょう。
妊娠中は同じ姿勢を取り続けることや、仰向けになることなどで体調不良になる恐れがあります。予約の際に伝えておけば、お店側も妊婦さんを迎える準備を整えておくことができます。お互い気持ち良く施術を終えるためにも、美容院には妊娠中であることを伝えた上で予約しましょう。
まとめ
妊娠中でも注意をすれば制限なくおしゃれは存分に楽しめます。おしゃれは自信や満足感を高める効果があるため、体調と向き合いながら妊娠中に美容院で気分転換、リラックスしマタニティライフを楽しみましょう。
【参考文献】
- 国立研究開発法人国立環境研究所 – 「妊娠期のパーソナルケア製品使用と男児新生児の泌尿器異常との関連」について
- 日本救急医学会 – 仰臥位低血圧症候群
妊娠中の変化していく身体に合わせて時にはファッションやヘアスタイルは調整が必要なことがあります。妊娠中でも注意をすればおしゃれは存分に楽しめますので、美容院で気分転換、リラックスをしてマタニティライフを楽しみましょう。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業