妊娠中はお腹の赤ちゃんのことが気がかりで、身体を動かすことを不安に思う妊婦さんが多くいらっしゃいます。この記事では妊娠中の運動不足がもたらすデメリットや、おすすめする運動、また妊娠初期の流産と運動の関係性についてを医師が説明いたします。
妊婦は運動しても大丈夫?
妊娠が確定すると多くの妊婦さんは、身体を動かすことが流産につながるのではないかと不安に思うことでしょう。これまで日常的にスポーツやトレーニングを行なっていた方も、妊娠と同時に運動をやめてしまう妊婦さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、日本産科婦人科学会も妊婦の適正な運動は健康増進につながり、適度な運動を継続するよう推奨しています。国内だけでなく、アメリカやカナダなどの産科婦人科関連学会も同様の推奨をしています。
妊娠中の激しい運動はもちろん厳禁ですが、適切な妊娠時期や運動量であれば胎児に影響を与えることはありません。むしろ体重管理や、妊娠中に起こりがちな便秘解消など、さまざまなメリットがあります。
妊婦が運動するべき正しい時期とは
妊娠中は運動を控える時期と、適切な運動を積極的に行なうべき時期があります。妊娠が確定し、お腹の赤ちゃんに影響を与えることなく運動が行える時期は、いつからであるかを覚えておくことで、妊娠中の運動不足を防ぐことができるでしょう。
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妊娠初期
妊娠初期とは妊娠13週6日までを指します。
流産を経験した妊婦さんの中には、妊娠初期に身体を動かしてしまったことを悔やむ方も少なくありません。しかし、妊娠初期の流産は多くの場合、胎児の染色体異常が原因とされ、母体の運動量が影響することはほとんどないといえるでしょう。
妊娠初期に身体を気づかうことは大切です。しかし、よほど激しい運動でない限りウォーキングや軽いスポーツであれば問題ありません。
妊娠中期
妊娠中期とは妊娠14週0日〜27週6日を指します。
妊娠16週からは一般的に安定期といわれる時期です。妊娠初期と比べ体調が安定し、つわりが治まる時期とされています。安定期を迎えたら医師や助産師に相談の上、軽い運動を取り入れることが大切です。
「妊娠中、流産が怖くて運動しなかった」「食べづわりで体重が増加してしまった」など、運動不足などで適切な体重管理(ダイエット)がなされないことにより、糖尿病や妊娠高血圧症候群を引き起こす妊婦さんも少なくありません。
糖尿病や妊娠高血圧症候群を引き起こすと入院、または流産の原因となります。安定期を迎えたら、身体に負担のかからない軽い運動やエクササイズ、できる範囲で散歩などを取り入れてみましょう。
妊娠後期
妊娠後期とは妊娠28週以降を指します。
妊娠後期ともなると、お腹が大きく張り出し運動どころか、身体を動かすことが大変という妊婦さんも少なくありません。しかし、出産時や出産後はかなりの体力を必要とします。筋力低下を防ぐためにも、体調を考慮しながら自宅で可能な軽い筋トレや、室内でのマタニティエクササイズなどを取り入れるのも良いでしょう。
妊娠中の運動がもたらすメリット
妊娠中に行なう適切な運動は、妊婦さんに大きなメリットがあるといえます。
妊娠期間はホルモンバランスの影響で心と身体がとても不安定となり、メンタルの不調では「気分が落ち込む」「出産に対して不安や恐怖を感じる」などが多く、身体的な不調では「不眠」「動悸」「便秘」など、さまざまな不調があらわれます。
妊娠中の運動は筋力低下を防ぐことや体重管理のほかに、妊娠期間に落ち込みがちな気分を解消するなど妊婦さんには多くのメリットがあります。
また、運動により血流が上がることで胎児へ多くの酸素を供給するため、母体だけでなくお腹の赤ちゃんの健康にも効果があるといえるでしょう。
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妊婦の運動不足にどんな影響がある?
妊婦さんの運動不足には、さまざまなデメリットが挙げられます。
妊娠以前から肥満傾向であった場合、妊娠中の運動不足により体重管理ができず、糖尿病や妊娠高血圧症候群を引き起こすことも少なくありません。一方、妊娠以前は適正体重、もしくは痩せ型であった方も妊娠により運動を控え、著しく体重が増加してしまう妊婦さんもいらっしゃいます。
また、妊娠中は胎児の重さにより、骨盤底筋(こつばんていきん)に負荷がかかります。骨盤底筋とは骨盤の底部を覆う筋肉のことです。大腸や子宮、膀胱が下がらないようにハンモックの役割を持つほか、尿道・膣・肛門など排泄をコントロールする筋肉群となります。
骨盤底筋を鍛えることで、妊娠時または出産後の尿漏れなども防ぐとされています。骨盤底筋を鍛えるためには、膣と肛門をギュッと上に引き上げ収縮と弛緩を数回繰り返すのみです。イスに腰をかけた座位もしくは立位など、自身がらくな状態で行ないましょう。
その他には流産を恐れるあまり身体を動かさず自宅に閉じこもり、妊娠中の不安定なメンタルがより悪化してしまうケースも多くみられます。
妊娠中の適度な運動は出産後の体力にも大きな影響を与えます。妊娠前より適度な運動を習慣とし、妊娠初期から妊娠後期まで体調を考慮した軽い運動を続けることが、母体と赤ちゃんの健康に必要といえるでしょう。
運動不足が招く妊婦の健康への悪影響
- 糖尿病
- 妊娠高血圧症候群
- 心肺機能低下
- 筋力低下
- 血行不良
- 肩こり
- 腰痛
- メンタルの不調
- 出産後の体力低下
妊娠中にできる体重管理やトレーニング
妊娠初期から妊娠後期まで、妊婦さんの体重管理におすすめのスポーツやトレーニングはさまざまです。最近では、妊婦さん向けのマタニティエクササイズや、マタニティスイミング、ヨガなど、妊婦さんの体調や体型を気づかった運動も多くあります。
これら妊婦さん向けのエクササイズサロンには、看護師や助産師資格をもったスタッフが在籍する施設もあるため、突然の体調不良などに備え、事前に問い合わせをすると良いでしょう。
室内でできるおすすめの運動と適切な運動量
妊娠中期(安定期)に入り運動を始めたくても感染症や、外出先での体調不良が不安な妊婦さんは、室内での運動がおすすめです。中でも踏み台昇降運動は、ウォーキングに似た有酸素運動の効果を得られるとされています。
踏み台昇降運動の注意点として、必ず手すりなどにつかまり身体を支えて行ないましょう。身体に無理のない高さで約5〜10分を目安に運動すると良いでしょう。
転倒が不安な妊婦さんは、足踏みだけでも十分に運動効果があります。足を動かすことで血行が促され、むくみを軽減するとされています。
妊娠中の運動の注意点
妊娠以前より、スポーツや筋トレなどを習慣にしていた妊婦さんの中には「安定期に入ったらすぐに運動を始めたい」「妊娠以前より筋肉を落とすことは避けたい」と、いわゆる”運動しすぎ妊婦さん”がいらっしゃいます。
妊娠中の運動は体調を考慮して無理のない程度に行ないましょう。また、運動中と運動後は水分をしっかり摂取することも大切です。
運動を始めて異常な量の、おりものや出血が見られた際は、必ずかかりつけの病院で診察を受けましょう。
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妊娠初期の流産リスクを知るためにNIPT(新型出生前診断)
妊娠初期の流産はおもに胎児の染色体異常が原因となり、運動などの影響は少ないとされています。ヒロクリニックNIPTのNIPT( 新型出生前診断)はエコー検査で妊娠を確認後すぐに胎児の染色体異常による先天性疾患リスクを知ることが可能です。
NIPT(新型出生前診断)は、母体より採血を行なうのみのスクリーニング検査となります。そのため、胎児への直接的な侵襲(ダメージ)はありません。母体血のみで診断が可能なNIPT(新型出生前診断)ですが、ダウン症(21トリソミー)において感度・特異度ともに99.9%と高い検査精度とされています。
ヒロクリニックNIPTのNIPT(新型出生前診断)では、さまざまなプランをご用意しております。染色体について分からないことや、ご自身に最適なプランにお悩みの際はNIPT(新型出生前診断)に精通した医師やスタッフに何でもご相談ください。
NIPT(新型出生前診断)により妊娠初期に、胎児の染色体異常のリスクを知ることは母体の健康リスクを早期に知ることでもあります。
NIPT(新型出生前診断)と無理のない運動を習慣に、健やかな妊娠期間を過ごしましょう。
【参考文献】
- MSDマニュアル – 妊娠中の高血圧
- 国立健康・栄養研究所 – 食生活の10のポイント
妊娠中はお腹の赤ちゃんのことが気がかりで、身体を動かすことを不安に思う妊婦さんが多くいらっしゃいます。この記事では妊娠中の運動不足がもたらすデメリットや、おすすめする運動、また妊娠初期の流産と運動の関係性についてを医師が説明いたします。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業