不妊治療で妊娠する確率と種類【医師監修】

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不妊治療は、ステップを踏みながらおこなう、いろいろな方法があります。そこで気になるのが妊娠確率ではないでしょうか。この記事では、どれくらいの確率で妊娠するか疑問の方に向けて、妊娠する確率や不妊治療の種類などを詳しく解説しています。

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不妊治療とは

不妊治療とは、妊娠を希望しているにもかかわらず、一定の期間が経っても赤ちゃんを迎えられない場合に行う治療のことです。不妊の原因は、女性にも男性にもある可能性があります。

近年では不妊治療を行う件数が増えている傾向にあり、2017年には日本全国で56,000人もの赤ちゃんが不妊治療を経て誕生しました。2022年4月からは不妊治療が保険適用になったこともあり、金銭的負担がこれまでよりも少なくなっています。

不妊治療とは

不妊治療はいつからはじめる?

避妊をしていないのに一定期間が経っても授からない場合は不妊症の可能性を考えましょう。日本産科婦人科学会ではこの「一定期間」を「1年程度」と定義しているため、1年経っても妊娠しない場合に不妊治療を始めるのが一般的です。

ただし、子宮内膜症があったり骨盤腹膜炎などの既往歴があったりする場合は妊娠しにくいことがわかっています。

また、加齢も妊娠しづらくなる要因の一つです。何歳までに治療を始めるべきという決まりはありませんが、1年待つことで妊娠のチャンスを逃してしまうこともあるため、状況によっては早めに治療したほうがよいケースもあります。

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不妊治療の流れ

不妊治療は①タイミング法、②人工授精、③体外受精、④顕微授精の流れで進めていくことが一般的です。状況に応じて、より効果的な治療法にステップアップしていきます。

ただし、必ずしもこの流れで行われるわけではありません。不妊の原因や治療を始めるときの年齢に応じて、適切な治療から開始されます。また、治療を始めたからといって、最後のステップまで行う必要もありません。

不妊治療の種類

甲状腺ホルモンやインスリンの働き方、女性ホルモンの分泌量などが血液検査でわかることが多いため、検査の結果に応じて適切な治療から始められます。

では主に4種類ある不妊治療で、それぞれ具体的にどのような治療を行うのでしょうか。

タイミング法

タイミング法とは、排卵日を予測してもっとも妊娠しやすい排卵日前に性交渉のタイミングを取る治療です。卵子の寿命は排卵後から24時間しかないため、タイミングはとても重要な要素となります。

基礎体温を記録して黄体期のサイクルをチェックしたり、排卵検査薬を用いたりすればおよその排卵日は予測できるでしょう。

しかしタイミング法は、これらの方法とはやや異なります。

妊娠を成立させるためには受精能が高い卵子が必要になるため、よい卵子が排卵されるように排卵誘発剤を使ったり、卵子の発育を補助する治療や超音波を使って卵胞の大きさを確認したりして、タイミングを取ることが一般的です。

人工授精

人工授精は、排卵するタイミングに合わせて子宮内に精子を送り込むことで妊娠の成立を目指します。「人工」という名前はついていますが、子宮内に精子を注入した後の流れは自然妊娠やタイミング法と大きな違いはありません。

自然妊娠やタイミング法は、膣から子宮内まで精子が移動する必要がありますが、人工授精では初めから子宮内に精子を直接注入します。そのため、卵子と精子が出会う確率を高めることが可能です。

体外受精

体外受精は、採取した卵子を精子と受精させて受精卵を作り、細胞分裂をくり返して発育した状態で体内に戻して妊娠の成立を目指します。卵巣に針を刺して採卵するため、人によっては痛みを伴うこともありますが、麻酔を使って痛みを抑えた状態で採卵することも可能です。

できるだけ多くの卵子を十分に成熟させるために、ホルモン剤を使用して排卵をコントロールしながら治療を進めていきます。排卵をコントロールする方法にはいくつか種類があるため、生理周期の状態を見て適切なものを選ぶことが大切です。

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顕微授精

顕微授精では、状態が良好な精子を一つ選別して卵子に直接注入し、妊娠成立を目指します。ほかの不妊治療では妊娠の可能性が極めて低いと判断された場合に行われる治療です。

体外受精や顕微授精も保険適用となり、費用が自己負担3割になりますが、ほかの治療とは違い治療を行える年齢や回数に制限があるのでよく確認しておきましょう。

体外受精

不妊治療で妊娠する確率と年齢について

ここからは、日本産科婦人科学会が発表しているデータをもとに、不妊治療で妊娠する確率を年齢ごとにわけてご紹介します。治療を行う際の参考にしてみてください。

20代の不妊治療で妊娠する確率

20代で不妊治療を行った場合、妊娠して出産に至る確率は次のとおりです。

年齢出産率
25歳20.9%
26歳20.8%
27歳19.3%
28歳19.8%
29歳19.9%

出典:厚生労働省 不妊治療における年齢別の出産率と流産率

ちなみにダウン症児が生まれるリスクは、28歳では1053人に1人です。不妊治療をしているかどうかでダウン症になる確率は変わりません。

30代の不妊治療で妊娠する確率

30代で不妊治療を行った場合、妊娠して出産に至る確率は次のとおりです。

年齢出産率
30歳19.9%
31歳19.4%
32歳19.1%
33歳18.1%
34歳17.7%
35歳16.3%
36歳15.4%
37歳14.2%
38歳11.6%
39歳10.2%

出典:厚生労働省 不妊治療における年齢別の出産率と流産率

徐々にですが、年齢を重ねるにつれて出産率が低くなっていることがわかります。

ダウン症になる確率も年齢とともに上がることが特徴です。30歳では952人に1人となっていますが、38歳では175人に1人と約5倍も確率が上がります。

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40代の不妊治療で妊娠する確率

40代で不妊治療を行った場合、妊娠して出産に至る確率は次のとおりです。

年齢出産率
40歳7.7%
41歳5.3%
42歳3.7%
43歳2.0%
44歳1.3%
45歳0.6%

出典:厚生労働省 不妊治療における年齢別の出産率と流産率

もともと不妊治療をしているかどうかは関係なく、40代になると妊娠する確率は急激に低下します。一方でダウン症になる確率は40歳で106人に1人、44歳では38人に1人となるため、NIPT(新型出生前診断)を検討される方も少なくありません。

非侵襲的出生前診断
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不妊治療で流産する確率と年齢について

流産は不妊治療を行っているかどうかにかかわらず、約8〜15%で見られます。では、不妊治療を行っている場合はどのように数字が変化するのでしょうか。

20代の不妊治療で流産する確率

20代で流産する確率は次のとおりです。一般的に言われる流産の確率と大きな差は見られません。

年齢流産率
25歳13.1%
26歳16.0%
27歳16.8%
28歳17.2%
29歳18.3%

出典:厚生労働省 不妊治療における年齢別の出産率と流産率

30代の不妊治療で流産する確率

30代後半になってくると、流産率の上昇が見られます。年齢によって流産率が上がるのは、卵子の構造が不安定になることで染色体異常が現れやすくなるためです。

年齢流産率
30歳16.3%
31歳17.3%
32歳19.2%
33歳21.1%
34歳19.9%
35歳20.3%
36歳22.1%
37歳24.0%
38歳27.8%
39歳30.4%

出典:厚生労働省 不妊治療における年齢別の出産率と流産率

40代の不妊治療で流産する確率

40代になると、さらに流産率は上昇します。43歳以上になると半数以上の方が流産を経験することになるため、妊娠の継続はかなり難しいと言わざるを得ません。

年齢流産率
40歳35.1%
41歳42.3%
42歳46.5%
43歳55.2%
44歳58.1%
45歳64.6%

出典:厚生労働省 不妊治療における年齢別の出産率と流産率

まとめ

不妊治療で妊娠し、出産する確率は25歳では20.9%、35歳では16.3%、45歳では0.6%です。年齢とともに妊娠する確率は下がっていくため、不妊かもしれないと気になり始めたら、できるだけ早めに治療を始めることが望まれます。

不妊治療はまずタイミング法を行い、人工授精、体外受精、顕微授精とステップアップしていくことが一般的です。不妊治療によってダウン症などの染色体異常になる確率は変わりませんが、心配な方は妊娠後NIPT(新型出生前診断)を行うことも検討してみてください。

非侵襲的出生前診断
新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血した血液から胎児の、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、1...

不妊治療は、ステップを踏みながらおこなう、いろいろな方法があります。そこで気になるのが妊娠確率ではないでしょうか。この記事では、どれくらいの確率で妊娠するか疑問の方に向けて、妊娠する確率や不妊治療の種類などを詳しく解説しています。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

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記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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