妊娠中に赤ちゃんのことを調べることができる出生前検査。それぞれの検査で結果がいつわかるのかご紹介し、その中でも早く結果を知ることができるNIPT(新型出生前診断)について、調べられる項目や受検対象者など、詳しくご説明いたします。
はじめに
妊婦さんの中には、子どもを妊娠してとても楽しみな反面、健康に育っているか、何か障害がないか心配になる方も多いのではないでしょうか?また、赤ちゃんの性別が気になってしまう方も多いと思います。
今回の記事では、そんな時に妊娠中にできる検査とその結果がいつわかるかについて解説いたします。
非侵襲型出生前診断の結果はいつわかるか
妊娠中にできる検査は数種類あります。それぞれ検査できる内容や結果がわかる時期が異なりますので、ご説明いたします。
妊婦検診の結果はいつわかるか
妊婦健診では赤ちゃんの様子を初期のうちは経腟エコー、妊娠中期以降は経腹エコーで調べます。結果は健診中にわかるものですが、エコーで診るため他の検査に比べ精度は十分ではありません。
羊水検査の結果はいつわかるか
羊水検査は確定診断ですが、羊水を採取するため、流産や死産のリスクがあります。
検査は、妊娠15週以降になると受けることができます。羊水を採取したら、胎児の細胞を増やすために2週間ほど培養する必要があります。その後検査を行うことになるので、結果が出るまで早くても3週間程度の期間がかかります。
NIPT(非侵襲型出生前診断)の検査結果はいつわかるか
NIPT(新型出生前診断)は母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査で、母体血胎児染色体検査とも呼ばれます。母親から採取した血液を使って21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)などの染色体異常の疑いがないかを調べる検査です。
母親の血液で検査をするため安全に行うことができるうえ、ほかの非確定的検査と比べて陽性・陰性の的中率が高いのが特徴です。
NIPT(新型出生前診断)の多くは海外の検査機関で検査を行うため、結果が出るまでに1〜2週間ほどの期間がかかります。
NIPT(非侵襲型出生前診断)の病院による違い
一般的に結果を聞くまで2週間ほどかかるNIPT(新型出生前診断)ですが、医療機関によっては国内の検査機関で検査を行い、結果を早く出してくれる場合もあります。
ヒロクリニックNIPTでは、95%の方が採血から8日以内(※一部プランを除く)に結果をお送りしております。
NIPT(新型出生前診断)には年齢制限があるの?
NIPT(新型出生前診断)の年齢制限が撤廃されました
以前まで、認証施設ではNIPT(新型出生前診断)の対象者を「出産予定日時点で35歳以上」と年齢制限を定めていました。これは母親の年齢が上がるにつれ、染色体異常の発生率が上がることが理由と考えられます。
しかし、2022年2月18日に日本医学会より公布された指針により、この年齢制限は撤廃されました。現在では年齢に関わらず、ご自身の希望で受検を検討することができます。
どんな人がNIPT(新型出生前診断)の受検を検討すればいいの?
日本医学会の指針によると、NIPT(新型出生前診断)の受検が選択肢となる妊婦について、本検査の対象となる疾患の発生頻度が高くなる以下の状態とされています。
- 高年齢の妊婦
- 母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された妊婦
- 染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある妊婦
- 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が13トリソミーまたは 21トリソミーとなる可能性が示唆される妊婦
- 胎児超音波検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された妊婦
ただし、これらの状態にある妊婦が必ずしもNIPT(新型出生前診断)を受検する必要性があるわけではなく、ご自身の意思が尊重されます。
また、対象疾患の発生頻度によらず、適切な遺伝カウンセリングを実施しても胎児の染色体数的異常に対する不安が解消されない妊婦については、十分な情報提供や支援を行った上で受検に関する本人の意思決定が尊重されるべきであるとされ、年齢制限などの条件によらず、本人の意思があれば受検できるようになりました。
NIPT(新型出生前診断)の検査費用は?
NIPT(新型出生前診断)の検査費用は、どのくらいかかるのでしょうか。
NIPT(新型出生前診断)は保険適用外ですので、医療機関によって費用が異なりますが、おおむね8万円〜20万円が相場になります。
NIPT(新型出生前診断)の認証施設では、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)についての可能性について調べます。
一方、非認証施設ではそれらに加え、その他の染色体についても調べられる事が多く、さまざまなプランが用意されていることが多いです。
NIPT(新型出生前診断)はいつから始まった?
NIPT(新型出生前診断)いつから始まったのか
そもそもNIPT(新型出生前診断)はどのような検査なのでしょうか?これまでの歴史をみていきましょう。
NIPT(新型出生前診断)が導入される以前は出生前診断というと、超音波検査、絨毛検査、羊水検査、母体血清マーカー検査(クアトロテスト)、コンバインド検査でした。
1997年に母親の血漿内に胎児由来のDNAが存在することが明らかとなり研究が進められ、母親の血液で染色体異常を調べることができるNIPT(新型出生前診断)が実施できるようになりました。
NIPT(新型出生前診断)日本ではいつから始まったのか
日本では2013年4月にNIPT(新型出生前診断)が導入されました。
NIPT(新型出生前診断)と従来の出生前診断の違い
ではNIPT(新型出生前診断)と従来の出生前診断ではどのような違いがあるのでしょうか?
まず超音波検査ですが、妊婦健診で行うように腹部にプローブという器具をあてて画像で判断を行うものです。流産などのリスクがなく、形態異常を見つけるには有用ですが、染色体異常を見つける精度はあまり高くありません。
超音波検査で異常が見つかった場合、他の検査で詳しく調べることになるケースが多いでしょう。
絨毛検査は妊娠早期の胎盤から絨毛を採取し、染色体の形や数を調べる検査です。確定的検査であるため、正しく検査できれば染色体異常の有無を確定することができますが、絨毛を採取するため、流産・死産のリスクが1%ほどあります。妊娠11〜14週に検査を実施することができます。
羊水検査は母体の羊水を採取し、その中にある胎児の細胞を調べる検査です。確定的検査のため、正しく検査できれば染色体異常の有無を確定することができます。しかし、腹部を針でさして羊水を採取するため、感染症が起きる可能性があり、流産のリスクが0.3%ほどあるとされています。妊娠15〜16週に検査を実施することができます。
母体血清マーカー検査(クアトロテスト)は、母親の血清中のマーカーを測定することで、胎児に染色体異常がある確率を算出する検査です。精度は70~80%ほどで、妊娠15~17週に検査を実施することができます。
コンバインド検査は、超音波と採血による血清マーカー検査を組み合わせて行う検査です。超音波検査では、首のむくみ(NT)を測定します。感度は80~85%前後と考えられており、検査は11~13週に行います。
NIPT(新型出生前診断)は母親の血液内にある胎児由来のDNAを調べる検査です。血液を採取するだけなので、絨毛検査・羊水検査のような流産リスクはありません。また、感度99.9%、特異度99.90%と精度も非常に高いのが特徴です。妊娠6週と他の出生前診断より早い時期から検査することが可能です。
- 感度…出産後に陽性であった人のうち検査が陽性であった確率
- 特異度…出産後に陰性であった人のうち検査が陰性であった確率
NIPT(新型出生前診断)で 性別がわかる確率は?
NIPT(新型出生前診断)リスクがなく、染色体異常について高い確率でわかる検査ということがわかりました。では妊婦さんなら誰もが気になる性別についてはどうなのでしょうか?
NIPT(新型出生前診断)は胎児由来のDNAで検査を行うため、赤ちゃんの性染色体を調べれば性別も判断することができます。
ただし、NIPT(新型出生前診断)の認証施設では、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)についての可能性のみ調べます。性別を知りたい場合は、性別判定を行っている認可外施設を検討するようにしましょう。
NIPT(新型出生前診断)で性別はいつわかるか
通常超音波検査では妊娠5か月ごろ(妊娠16週~)に性別がわかることが多いと言われています。
一方NIPT(新型出生前診断)は妊娠6週から検査ができます。性別も判断することが可能です。
NIPT(新型出生前診断)の性別判定の精度は高いのか
NIPT(新型出生前診断)ではどのくらいの確率で性別が判定できるのでしょうか。NIPT(新型出生前診断)では胎児由来のDNAで調べるため、99%とかなり高い確率で性別を判断することができます。
出生前に性別がわかることのメリット
このようにNIPT(新型出生前診断)を行えば、従来より早く性別を知ることも可能です。性別を早く知ることができれば、名前を考えたり、出産後の準備をしたりするのも早く始めることができます。何より「男の子かな?女の子かな?」とあれこれ考えてしまう時間を短縮できることもメリットですね。
出生前検査を受ける場合に注意しておきたいこと
出生前検査は多くの人が陰性の結果を期待し、安心するために受けようと思うものでしょう。しかし、低い確率ではありますが、陽性の結果が出る場合があります。
陽性と出た時にどうするのかをあらかじめ想定して、検査を受けるか検討しましょう。
まとめ
出生前検査についてお伝えしました。従来の出生前検査は、精度が低かったり、リスクがあったりするものでしたが、年齢制限も撤廃され、より受検しやすくなったNIPT(新型出生前診断)を選択することでそのデメリットを補うことができます。
染色体異常がないかを調べたい、赤ちゃんの性別を早めに知りたい方は検査結果を早く知ることができるヒロクリニックNIPTをぜひご検討ください。
【参考文献】
- 公益社団法人日本産科婦人科学会倫理委員会 – 母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針
- 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会 – NIPT 等の出生前検査に関する情報提供及び 施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針
Q&A
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QNIPT(新型出生前診断)の結果はいつ知ることができますか?ヒロクリニックではオプションによって最短翌日に結果が出ます。通常は95%の方が8日以内(※一部プランを除く)に 結果を受け取ることができます 。医療機関や検査を行う研究所によって異なりますが、一般的には採血から1〜2週間後に結果を知ることができます。
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QNIPT(新型出生前診断)を受ける最適な時期はいつですか?ヒロクリニックではエコー検査で胎児が確認できましたらNIPT(新型出生前診断)検査を受けるができます。一般的に妊娠10週目以降に受けることが推奨されています。これにより、精度の高い結果を得ることができます。
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QNIPT(新型出生前診断)の結果の信頼性はどれくらいですか?NIPTは非常に高い精度を誇りますが、非確定検査の為100%ではありません。NIPTが陽性の場合、羊水検査の受検を推奨しています。
妊娠中に赤ちゃんのことを調べることができる出生前検査。それぞれの検査で結果がいつわかるのかご紹介し、その中でも早く結果を知ることができるNIPT(新型出生前診断)について、調べられる項目や受検対象者など、詳しくご説明いたします。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業