NIPT(新型出生前診断)にリスクはあるの?【医師監修】

NIPT(新型出生前診断)にリスクはあるの? 妊婦 写真

近年、受検している人が増えているNIPT(新型出生前診断)。この記事では、NIPTの特徴やリスクについて解説します。

妊娠15週目までの方はまだ間に合います
気になるNIPTの費用について

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この記事のまとめ

NIPTで行われるのは妊婦さんの採血のみなので、リスクはほとんどありません。またNIPTのほかにも非確定的検査には超音波検査や母体血清マーカー検査、コンバインド検査もありますがいずれもほとんどリスクなく検査を受けることができます。

妊娠18週目までの方はまだ間に合います

NIPT(新型出生前診断)ってどんな検査?

NIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの血液を採取してその中に含まれる胎児のDNAのかけらを調べる検査です。DNAは遺伝子情報が詰まった設計図のようなもので、染色体という細胞に含まれています。染色体にある遺伝子は、父親と母親の両方から受け継がれるものです。染色体に異常があると、お腹の赤ちゃんが先天異常を持って生まれる可能性があります。

NIPTは、母体からの採血のみで検査ができ、胎児への直接的な侵襲(ダメージ)がないので、「非侵襲性出生前遺伝学的検査」「無侵襲的出生前遺伝学的検査」等ともよばれます。

非侵襲的出生前診断
新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血した血液から胎児の、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、1...

NIPT(新型出生前診断)で分かること

先天異常は、妊娠した年齢にかかわらず起こる可能性があり、新生児全体の3〜5%にみられるといわれています。このうち先天異常の25%程度を占めるのが染色体異常による染色体疾患です。

NIPT(新型出生前診断)では、主にダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)パトウ症候群(13トリソミー)の3つの染色体、施設によっては、すべての染色体異常の可能性について調べる事も可能です。

新型出生前診断で分かること

具体的な3つの先天異常の特徴は以下のようになります。

ダウン症候群(21トリソミー)
症状 成長障害、筋肉の緊張の低下、特徴的な顔貌
≪合併症≫ 心臓の病気、消化器の奇形、そのほか甲状腺や耳鼻科の病気など
予後について 多くの場合、支援クラスや特別支援学校に通う。美術など才能が優れていることもある。
寿命はおよそ50~60歳。
エドワーズ症候群(18トリソミー)
症状 胎児期からの成長障害、呼吸や摂食に障害がみられる
≪合併症≫ 心臓の病気、消化管の奇形、関節の拘縮など
予後について 身体や知能の発達の遅れがみられる。呼吸の補助が必要になることがある。
妊娠中に胎児が死亡するケースが多い。出産後1カ月で亡くなるのが50%、1年でなくなるケースが90%
パトウ症候群(13トリソミー)
症状 成長障害、呼吸や摂食に障害がみられる
≪合併症≫ 口唇口蓋裂、心臓の病気、目の病気など
予後について 身体や知能の発達の遅れがみられる。呼吸の補助が必要になることがある。
出産後1年以内に亡くなるケースが90%
NIPT(新型出生前検査)でわかる疾患
ヒロクリニックのNIPTは、胎児の染色体の数の異常の他、全常染色体全領域部分欠失疾患や全常染色体全領域部分重複疾患、微小欠失症候群といった染...

NIPT(新型出生前診断)はいつから受けられる?

NIPT(新型出生前診断)は、一般に妊娠10週0日から受検することができます。出生前診断にはいくつか方法がありますが、その中でもヒロクリニックNIPTは妊娠約6週(超音波検査で妊娠が確定した時期)という早い時期から検査ができます。

ヒロクリニックNIPTでは採血から通常2〜6日(一部プランを除く)で結果をお届けしているため、妊娠の早い時期に検査を終えることができます。

新型出生前診断のリスクについて

NIPT(新型出生前診断)を受けるうえで、母子の健康に悪影響を与えないか気になる人は多いでしょう。検査で行われるのは妊婦さんの採血のみなので、リスクはほとんどありません。

腕などに注射針を刺すときに、多少の痛みを感じますが、体にとって大きな影響を与えることはないでしょう。NIPTは、母子ともにリスクを気にせずに安心して受けることができます。

確定的検査はリスクをともなう

かなり低いリスクで行えるNIPT(新型出生前診断)ですが、検査で陽性になったときは、確定診断のために確定的検査を行う必要があります。これは、まれに偽陽性になることもあるためです。
※NIPTの感度は、21番染色体の検査で96.5%といわれています。

確定的検査は、母子に負担がかかるため流産などのリスクをともないます。具体的な検査には以下のものがあります。

絨毛(じゅうもう)検査

検査方法はお腹に直接針を刺す方法と、膣からカテーテルを使用して検体を採取する方法があります。流産のリスクが1%ほどあり、そのほかにも出血や破水を起こすことがあります。

妊娠早期の胎盤の一部にある絨毛という細胞を採取して調べる検査です。絨毛は妊娠の初期の胎盤の一部に含まれている細胞です。検査は妊娠11〜14週に行います。

絨毛検査はエコーで胎児の位置を確認しながら行われますが、技術的に難しく、実施している医療機関が少ないのが特徴です。

羊水検査

妊婦さんのお腹に針を刺して、羊水を採取する検査です。羊水は胎児が飲んだり排尿したりするため、胎児由来の細胞が含まれています。検査では羊水に含まれる細胞を培養した後、遺伝子の解析を行うため、結果が出るまでに3週間ほどかかります。

羊水検査は絨毛検査よりもリスクが低い検査ですが、0.2~0.3%の確率で流産や破水が起こすことがあります。実施時期は妊娠15~18週です。

 なお、NIPT(新型出生前診断)の確定検査は、検査で陽性になったときに必ず受けなければいけないものではありません。絨毛検査や羊水検査は、親御さんのご希望によって行われます。

確定的検査
絨毛検査 確定診断 腹部等に針を刺すため、流産のリスクがある(1%)。妊娠10~13週に実施。
羊水検査 確定診断 腹部に針を刺すため、流産のリスクがある。(0.3%)妊娠15~18週に実施。

ほかの出生前診断のリスクについて

NIPT(新型出生前診断)の費用面、確定的検査のリスク面が気になり、そのほかの検査方法について知りたいと思う方もいるでしょう。ここではNIPT以外の検査のリスクについてみていきます。

超音波検査(エコー検査)

超音波検査は妊婦健診でも行われる検査で、エコー検査とも呼ばれています。具体的には、妊婦さんのお腹に超音波の出る機器を当てて、反響を画像化します。検査中は、妊婦さんもモニターを一緒に確認することができます。

超音波検査は、主にお腹の赤ちゃんの成長や発育について確認するために行われます。その一方で、超音波検査によってお腹の赤ちゃんの異常が見つかることもあるため、広い意味で出生前診断のひとつといえます。

また、妊娠中期に胎児超音波スクリーニング検査を行うこともできます。この検査では通常の妊婦検査よりも時間をかけて超音波検査を行うことで、胎児に問題がないかどうかを確認していきます。

検査そのものは超音波により非侵襲的に行われるので、お腹の赤ちゃんにリスクを与えることはありません。検査にあたって妊婦さんの腹部にジェルを塗るので、冷たさを感じることがあります。

検査で異常が見つかった場合は、診断を確定するために確定検査を受ける必要があります。

母体血清マーカー検査

血液検査によって胎児の先天異常の可能性の有無を調べます。NIPT(新型出生前診断)と同じように、検査は妊婦さんへの採血のみなので、母子にとってリスクの少ない検査です。

検査では、以下の病気の可能性について知ることができます。

  •  ダウン症候群(21トリソミー)
  • エドワーズ症候群(18トリソミー)
  • 二分脊椎症、無脳症などの神経管閉鎖障害(開放型神経管奇形)

母体血清マーカー検査は妊婦さんの血液中に含まれる成分を調べますが、どの成分を調べるかによって種類があります。具体的な母体血清マーカ―検査には以下のものがあります。

クアトロテスト

妊婦さんの血液に含まれる4つの成分(hCG・AFP・uE3・インヒビンA)について調べる検査です。

トリプルマーカーテスト

妊婦さんの血液に含まる3つの成分(hCG・AFP・uE3)について調べる検査です。 

クアトロテストとトリプルテストについてですが、2つの検査の精度に大きな差はありません。検査の精度とは陽性の的中率のことをいいます。

ただ血清マーカー検査の結果は確率で表記されるため、検査結果の解釈が難しいといえます。また、検査はあくまでスクリーニング(振り分け)を目的としており、診断のためには確定検査を受ける必要があります。

NIPT(新型出生前診断)の採血

コンバインド検査

母体血清マーカー検査と超音波検査の2つを行う検査です。採血とエコー検査の組み合わせなので、母子にとってほとんどリスクはありません。

採血では、妊婦さんの血液に含まれる2つの胎児由来の成分(hCG・PAPP-A)を調べます。コンバインド検査では、以下の先天異常の可能性について知ることができます。

  • ダウン症候群(21トリソミー)
  • エドワーズ症候群(18トリソミー)

以上のように、NIPT(新型出生前診断)をはじめ、診断に至らない「非確定的検査」は、ほとんどリスクなく検査を受けられます。一方、非確定的検査で陽性になったときは、リスクのある確定的検査によって診断を得ることができます。

改めて、NIPTをはじめとする非確定的検査をまとめてみます。 

非確定的検査
NIPT(新型出生前診断) ダウン症候群(21トリソミー)
パトウ症候群(13トリソミー)
エドワーズ症候群(18トリソミー)
採血のみなのでリスクがほとんどない。妊娠9週以降に実施。
超音波検査 ダウン症候群(21トリソミー)を含む重大な先天異常の有無の評価 妊婦健診でも行われる検査で、リスクがほとんどない。
胎児の先天異常の可能性の評価は、妊娠11~13週頃に実施。妊娠19~20週、28~30週にも成長や発育や、心臓や骨の病気がないかをみる。
母体血清マーカー検査 ダウン症(21トリソミー)
エドワーズ症候群(18トリソミー)
神経管閉鎖障害(開放型神経管奇形)
採血のみなのでリスクがほとんどない。妊娠15~18週以降に実施。
コンバインド検査 ダウン症候群(21トリソミー)
18トリソミー
超音波検査と採血を組み合わせた検査で、リスクがほとんどない。妊娠11~13週頃に実施。
母体血清マーカーの特徴とNIPT(新型出生前診断)との比較
妊娠の比較的早い週数から受けられるNIPT(新型出生前診断)と母体血清マーカーは胎児に21トリソミー(ダウン症候群)や18トリソミー(エドワ...

非認証施設で受けるNIPT(新型出生前診断)にリスクはある?

NIPT(新型出生前診断)を受けることができる施設には、認証施設のほかに非認証施設があります。

非認証施設といっても違法性があるわけではなく、認証施設ではできない検査を行うことができるメリットもあります。認証施設のNIPTで調べられるのは、ダウン症候群(21トリソミー)パトウ症候群(13トリソミー)エドワーズ症候群(18トリソミー)の3疾患のみですが、非認証施設では常染色体(1〜22番染色体)や性染色体の数的異常、欠失・重複といった構造的異常についてなど、施設によっては、より詳しい検査項目を調べることも可能です。

また、同じ検査内容でも認証施設より安価に検査を受けられることもあります。

ご自身のニーズに合わせて、受検する施設を選んでみましょう。

遺伝カウンセリングについて

遺伝カウンセリングとは、遺伝にまつわる病気や悩み、疑問に対し科学的根拠に基づく医学的情報の提供、理解を得ること、そして、自らの力で医療技術や情報を用いて問題解決できるよう心理面社会面も含めたサポートを行うことを言います。

出生前診断を受けるかどうか、ご自身で決めることが難しい場合も多いでしょう。遺伝カウンセリングを受けることが、その判断を行う助けとなることも多くあります。

NIPT(新型出生前診断)を受検するか迷う場合は、遺伝カウンセリングを行っている医療機関で相談してみるのも良いでしょう。

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まとめ

NIPT(新型出生前診断)は妊娠の早い時期に、母子に負担をかけずに行える検査です。ヒロクリニックNIPTでは、指定の染色体異常のほかにも、幅広い先天異常の可能性についても知ることができます。

また、安心するためにNIPTを受けようと思う方が多いと思いますが、陰性ではなく陽性の結果を受け取る可能性もあります。ヒロクリニックNIPTでは、陽性であった場合のアフターフォローとして、検査後のカウンセリング、診察を行っております。

NIPTを検討している方は、お気軽にご相談ください。

近年、受検している人が増えているNIPT(新型出生前診断)。この記事では、NIPTの特徴やリスクについて解説します。

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記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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