この記事のまとめ
妊婦さんが抱える悩みの一つが身体の乾燥です。乾燥対策を行わないと妊娠線が生じてしまい、産後も痕が残ってしまうリスクが発生します。本記事では、妊娠線と乾燥の関係性や保湿ケア商品の特徴、選ぶポイント、マッサージの方法等を紹介します。
妊婦さんは乾燥しやすい
妊娠中や出産後の女性の体には大きな変化が起きます。代表的な変化として挙げられるのが肌の乾燥です。乾燥を放置しておくと、出産後に妊娠線が残る原因となります。まずは、妊婦さんがなぜ乾燥しやすいのかを解説します。乾燥の理由を把握して妊娠初期のママさんや出産を控えているママさんなどの悩みを解消しましょう。
水分や栄養の摂取不足
妊娠中は羊水量が増えて脂肪が蓄積されていくため基礎代謝量が上がり汗をかきやすくなります。汗をかく分、水分や栄養の摂取不足が起こりやすく、そこから肌の乾燥が生じます。皮膚の水分が蒸発してしまうのを防ぐためには、角質層の保水力の維持が必要です。角質層の栄養が不足すると表皮細胞のターンオーバーが乱れてしまい、保水力が低下します。その結果、肌の乾燥につながってしまうのです。
毛細血管の拡張期
妊娠中は皮膚の毛細血管が拡張するため水分の蒸発量が増加します。妊婦さんは胎児に血液を介して栄養を送る必要があります。胎児により多くの栄養を送り届けるために、妊婦さんの身体は毛細血管を拡張させるのです。血液量の増加や毛細血管の拡張は、ホルモンバランスの変化によって引き起こされます。
妊娠線は妊婦さんのよくある乾燥トラブル
妊婦さんの乾燥トラブルには乾燥やニキビ、かゆみなどがあります。妊娠線は代表的な肌トラブルの一つですが、乾燥してできた妊娠線を放置してしまうと出産後にも痕が残ってしまうため、早めの対策が大切です。こちらでは、妊娠線の基礎知識から原因や発生場所などを紹介します。事前に知識をつけて対策を進めましょう。
妊娠線とは
妊娠線とは、皮膚の深い位置にある真皮や皮下組織が裂けることによって皮膚上に発生する線です。妊娠中は赤ちゃんが大きくなるにつれてお腹もふくらみ皮膚が伸びていきます。皮膚に弾力がないと伸びが追いつかず裂けて痕が出来てしまいます。表皮、真皮、皮下組織の3層の内、一番外側の表皮は身体の変化に合わせて柔軟に伸び縮みしてくれますが、その下にある真皮は伸びにくいため、急激に力が加わり伸びてしまうと断裂が生じてしまうのです。この真皮のひび割れが妊娠線として残ってしまいます。
乾燥により妊娠線が発生しやすくなる
肌が乾燥すると妊娠線が生じやすくなります。妊娠線は真皮の断裂により生じると先述しましたが、肌が乾燥しているとより真皮の柔軟性が失われ断裂しやすくなります。そのため、妊娠線の予防にはお肌の保湿対策が欠かせません。とくに妊娠末期はお腹が大きく膨らみ皮膚が非常に薄くなっています。より乾燥しやすいため事前の保湿対策が必要といえるでしょう。
妊娠線はおなか以外の肌にも発生する
妊娠線と名前を聞くとお腹にできる痕と思いがちですが、実はお腹以外の場所にも発生します。たとえば、脂肪がつきやすい太ももや二の腕、バスト、ヒップなどです。自分では確認しにくい場所に発生することもあるため、全身の保湿対策を行うことが重要でしょう。
妊娠線を予防する保湿ケア方法
妊娠線は乾燥により引き起こされやすいため、妊婦さんは保湿ケアが欠かせません。ここでは、保湿ケアに利用されるローション、クリーム、オイルの特徴を紹介します。赤ちゃんに刺激を与えないよう、伸びのよい保湿商品でマッサージするように保湿ケアを行いましょう。
妊娠線ケアローション
妊娠線ケアローションはサラッとしたテクスチャーが特徴の保湿ケア商品です。伸びがよく付け心地が軽いため、化粧水感覚で利用できます。夏場の暑い時期の利用がおすすめです。乾燥しやすい方はクリームやオイルと併用しましょう。
妊娠線ケアクリーム
妊娠線ケアクリームには水分と油分がバランスよく配合されています。そのため、やわらかく伸びのよいテクスチャーでありながら、水分補給と保湿が同時にできる特徴があります。オイルと比較するとべたつきが少なく、下着や衣類が汚れる心配がないのも魅力の一つです。
妊娠線ケアオイル
妊娠線ケアオイルは油分が多く保湿力に優れた商品です。伸びがよいため、お腹のマッサージをしながら保湿対策ができます。ただし、油分割合が高い分、水分補給が十分にできない可能性があります。オイルを利用するなら最初にローションなどでお肌に潤いを与えるとよいでしょう。
妊娠線予防クリームを選ぶポイント
現在、妊婦さん向けのボディクリームや妊娠線予防クリーム、マタニティクリームなど多くの商品が販売されています。どの商品を選べば良いか迷ってしまう方もいるでしょう。ここでは、お気に入りの妊娠線予防クリームを選ぶ際のポイントを紹介します。人気や評価が高いからではなく、特徴を把握して自分に合ったクリームを利用しましょう。
含まれている保湿成分で選ぶ
妊娠線予防クリームには、さまざまな保湿成分が含まれています。主な保湿成分は、ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲン、グリセリンなどです。保湿ケア商品を選ぶ際は成分構成や充実度(成分評価)をチェックすることをおすすめします。敏感肌の方や、妊娠に伴い弱くなったと感じる方は、天然由来成分が配合されている保湿商品を選ぶとよいでしょう。
テクスチャーで選ぶ
妊娠線予防クリームのテクスチャーは主にローション、クリーム、オイルの3つです。それぞれ付け心地や保湿力が異なるため、自分の体質や目的に合った商品を選ぶとよいでしょう。ローションはサラッとした付け心地のため、夏場や肌のべたつきが気になる際におすすめです。クリームは水分と油分のバランスが良いため、ひとつで保湿ケアをまかないたい方に向いているでしょう。オイルは油分が多く保湿力が高いため、肌が乾燥しやすい方におすすめです。
無香料・無添加であるかで選ぶ
無香料や無添加の妊娠線予防クリームを利用すれば、出産後も自分や赤ちゃんに使用することが可能です。そのため、キッズ用のクリームを別で購入する必要がありません。低刺激で香りのない商品のため、赤ちゃんの肌にも安心して使えます。また、産後もお母さんの肌は乾燥しやすいため、妊娠中からの保湿ケアは継続することをおすすめします。無香料・無添加の低刺激なクリームを一つ持っておけば、妊娠から産後にかけて重宝するでしょう。
妊娠線を予防するマッサージ
陣痛や破水が起こり病院へ向かう際に自分で車を運転するのは避けましょう。痛みが少ないからと自分で運転して、途中で体調が悪くなる可能性もあります。突然痛みが激しくなり身動きが取れなくなる場合もあるでしょう。運転中に体調が悪化した場合、運転ができなくなり事故につながりかねません。症状が軽くても家族に運転を頼んだり、陣痛タクシーを利用したりしましょう。
おなかの妊娠線を予防するマッサージ
おへそを中心に円を描くように、周囲に妊娠線ケア商品を塗り広げます。腰から下腹部の中心に向かって、上から下へらせんを描くように皮膚をほぐしていきます。最後に下腹部をやさしく上下にさすりましょう。
バストの妊娠線を予防するマッサージ
両乳房の下に手を当てて、乳房の周りに沿って小さく円を描くようにマッサージを行います。片側の乳房の下に反対側の手を当てて、やさしく押し上げるようにしてゆっくりとおろしていきます。
太もも・お尻の妊娠線を予防するマッサージ
太ももやお尻の下から上に向かってマッサージをします。らせんを描くようにほぐしていきましょう。
妊婦さんのお悩みの一つにお肌の乾燥があり、乾燥は妊娠線の発生を招くおそれがあります。乾燥対策として利用されている保湿ケア商品には、ローションタイプ、クリームタイプ、オイルタイプなどテクスチャーによって種類が分かれています。水分量や保湿力に違いがあるため、自分の体質に合った商品を見つけることが大切です。
ヒロクリニックNIPTでは妊婦さんに向けたNIPT(新型出生前診断)を実施しています。身体の管理とともに出生前診断を受けることで、出産に向けて心の準備もできます。現在はNIPTの進歩により早期に胎児の染色体異常を発見できるようになったため、不安を少しでも減らしたいという妊婦さんは、検査の実施を視野に入れましょう。
【参考文献】
Q&A
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Q妊娠線ができやすい人の特徴は何ですか?妊娠線は妊婦さんに必ずできるわけではありません。しかし、妊娠線ができやすいタイプの方もいます。
たとえば、妊娠線が生じやすい人の特徴は以下のとおりです。
・やせ型で身体が細い人 ・背が低く小柄な人 ・肌が乾燥しやすい人 ・経産婦の人 ・高齢出産の人 ・多胎妊娠の人 -
Q妊娠線を予防する保湿ケアはいつから始めると良いですか?妊娠線予防クリームは、妊娠初期から使用することをおすすめします。妊娠線ができやすいのは安定期に入りお腹が急激に大きくなりだす5か月後ごろからです。そのため、早めから保湿ケアを行い商品の検証を行うとともに保湿の習慣をつけておくとよいでしょう。早めに保湿対策を行い肌の乾燥を防ぐことで肌の柔軟性が保たれ、妊娠線の発生が生じにくくなるといえます。
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Q妊娠線ができてしまったらどうすれば良いですか?一度生じてしまった妊娠線は完全に消えることがありません。産後は白っぽくなり目立たなくなっていきます。妊娠線の痕を残したくない場合は、継続的な保湿ケアとマッサージが大切です。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業