この記事のまとめ
妊活では、病院での治療だけでなく普段の生活習慣が非常に重要です。食事内容の改善として、アルコールやカフェインの摂りすぎに気を付けること、生活習慣の改善として十分な睡眠をとったり、適度な運動をすることが大切です。
妊活とは
妊活は、赤ちゃんが欲しい時に行う妊娠に向けた活動を指します。妊活の内容は幅広く、夫婦での話し合いや知識の収集から医療機関で実施される不妊治療までなどさまざまな活動が含まれます。
妊活で大切なこと
妊娠も妊活も女性だけでは行えません。必ず、パートナーである男性の協力が必要になります。妊娠についての知識を知った上で、2人一緒に妊活を行うことが重要です。
妊娠についての理解
妊活を行う上で、男性が妊娠の知識を得ることは必須事項です。パートナーを支えるためにも、書籍やネットで妊娠に関する基礎的な知識を調べておくようにしてください。
妊活では、病院での治療だけでなく普段の生活習慣が非常に重要です。男性は自分のやるべきことを理解した上で、できることから取り組むようにしましょう。
例えば、妊活中や妊娠中には感染症に気をつける必要があります。特に風疹は、抗体がない女性が妊娠初期に感染してしまうとお腹の赤ちゃんにも移ってしまい、先天的異常の原因にもなります。
なので妊活を行う際には、風疹の抗体を持っているかを確認することが勧められています。これは男性にとっても重要なことです。パートナーの女性に風疹を移さないためにも、自分が風疹の抗体を持っているかどうかを調べ、持っていなければワクチンを打つようにしてください。
また、男女問わず、風疹の予防接種をしたあとは一定期間避妊が必要です。
夫婦で一緒に取り組む
妊活は夫婦で一緒に取り組むものです。女性だけに任せっぱなしにするのではなく、2人で行うようにしましょう。
もちろん、男性が妊娠に対する自分の考えや気持ちを伝えることも大切です。意見のすり合わせをきちんと行わないと、夫婦間のトラブルの原因にもなりやすいです。相手の気持ちも汲みながら、2人で話し合い、妊活に関する方向性を決めておきましょう。
男性ができる妊活
男性が妊活を行うなら、まずはパートナーである女性の健康面をサポートするところから始めるとよいでしょう。
妊娠には、健康な母体が必要です。それだけでなく、より良い精子を作るために男性側の健康も欠かせません。
健康な体を作るには、栄養バランスの良い食事、規則正しい睡眠、ストレスのない生活などが大切です。特に食事や生活習慣に関しては、男性が心構えを持つことで、パートナーの女性もより取り組みやすくなります。できることからで良いので、以下で紹介することを日々の生活に反映させていきましょう。
特に禁煙やアルコールとの付き合い方は、男性が積極的にやるべきことと言えます。
食事内容の改善
妊娠のために必ず食べなければならないものや反対に食べてはいけないものはありません。
間食はほどほどにして、朝昼晩しっかり食べることが大切です。炭水化物だけでなく、肉や魚、乳製品、果物などをバランスよく摂りましょう。
飲み物についても、特に制限はありません。しかし、後述しますが飲酒は控えたほうが良いです。また、コーヒーの飲み過ぎによるカフェインの過剰摂取も、妊娠のしやすさに悪影響を与えます。お酒もコーヒーも、飲み過ぎないように気をつけましょう。
妊娠するために必要な栄養素
妊娠のために必ず摂らなければいけない食べ物はありませんが、積極的に摂取量を増やしたほうが良い栄養素はあります。
例えば亜鉛は、男性が精子を造る際に必要な栄養素です。亜鉛が不足していると、精子の運動率が落ちたり奇形率が上がるとも言われています。牡蠣やレバーなど、亜鉛の含まれている食事をとるようにすると良いでしょう。
他にも、女性が妊娠する際に重要な栄養素として葉酸があります。葉酸は、赤ちゃんの脳や神経などを形作るのに欠かせない栄養素です。妊娠初期の時点で葉酸が不足していると、お腹にいる赤ちゃんの発育に影響します。
また、男性の面から見ても葉酸は欠かせません。葉酸は精子内のDNAが傷つくのを防いでくれるからです。葉酸はほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。夫婦で積極的に摂取するようにしてください。
亜鉛も葉酸も、食事での摂取が難しいのなら、サプリメントで摂取するのが良いでしょう。
生活習慣の改善
食事以外の生活習慣も重要です。妊活や妊娠は、女性の体に大きな負担がかかるため、あらかじめ生活習慣を改善して体調を整えておくようにしましょう。
十分な睡眠は、身体だけでなく精神にも良い影響を与えます。最低でも1日6時間は眠るようにします。また、睡眠時間だけでなく規則正しい時間に寝て起きることにも気をつけてみてください。
運動習慣は、妊活における体力を養うのにも役立ちます。毎日のウォーキングやランニング、その他スポーツ、ジム通いなどがおすすめです。適度な運動を行うことによって、気分も明るくなるでしょう。
精子について言うと、定期的に射精をすることが大切です。精子が溜まってしまうと、質が低下します。ただし毎日射精すると精子の量が減ってしまいます。2〜3日に一度のペースで射精をして、精巣内の精子を入れ替えるようにしてください。
タバコの影響について
タバコは、排卵やお腹の赤ちゃんに大きな影響を与えます。特に妊娠中の喫煙は、赤ちゃんに先天的な異常をもたらしたり、流産を促したりします。
女性本人の喫煙だけでなく受動喫煙でも同じような影響を与えます。タバコを吸っている男性は、妊活の機会に禁煙をするか、女性の近くで吸わないようにするのが良いでしょう。
お酒の影響について
適量を超えるアルコールの摂取は、排卵や精子の質など妊娠しやすさに影響を与えると言われてます。
妊活をするにあたって、禁酒までする必要はありませんが、飲酒量を少なめにするなどの心がけは持っていたほうが良いです。男性も、女性の前で過剰に飲酒をするのは避けるようにしましょう。
男性不妊とは
妊娠を望んでいるのに赤ちゃんができない場合、不妊の可能性があります。不妊とは、避妊をせずに性交渉を行なっているのに1年以上妊娠しない状態を指します。
不妊と聞くと女性の体に原因があると思ってしまう方もいるかもしれません。ですが、実は男性側に原因があることも多いのです。女性側原因の不妊と男性側原因の不妊の割合はほとんど同じであるとも言われています。
男性不妊の場合自覚症状がないことも多く、検査をして初めて気付くこともあります。もしかして、と思った時はすぐに検査に行くようにしましょう。
男性不妊の原因
男性不妊の原因は、以下の3つにわけられます。
- 精子自体に問題がある
- 精子の通り道に問題がある
- 性交渉に問題がある
上記のような問題が起きる原因は様々です。先天的な異常、精巣への感染症、免疫治療、ストレスなどが挙げられます。
男性不妊の種類
精巣で上手く精子が作れないと精子自体に問題が生じます。まとめて、造精機能障害と呼ばれます。
精子が正しく作られていても精管などの通り道が詰まっている可能性があります。この場合は、精巣から直接精子を回収して人工授精をすることになるでしょう。
また、精子や精管に異常がなくても、性交渉や射精ができなければ、やはり不妊の原因になります。膣内で射精ができない膣内射精障害や、勃起ができない勃起障害などがこれに当たります。勃起障害は心因性であることが多く、病院で正しい治療を受けることで改善するかもしれません。
造精機能障害
造精機能障害は、精子形成がうまくできない状態を指します。男性不妊の原因の中では最多です。
通常、精子は精巣で作られて精巣上体を通り抜ける際に運動能力を得ます。精巣または精巣上体での精子形成に異常が起きると、精子に問題が生じるのです。
造精機能障害には、精子が全く作られないだけでなく、精子の数が少ない、運動機能が低い、奇形率が高い、という場合も含まれます。
男性不妊の検査と検査費用
自分が不妊かも?と思うなら、検査を受けると良いでしょう。
男性不妊の検査では、精子の有無や運動性などを調べます。精液を専用の容器に準備して提出し、顕微鏡などで精子の状態を検査します。精管異常の可能性があるなら、必要に応じてエコーなどの検査が追加されるでしょう。
検査費用は病院により異なりますが、保険が適応されない場合3〜5万円程度かかることが多いようです。
妊娠が確定した場合
妊活がうまくいき、妊娠が確定した場合、男性は妊婦のサポートに回る必要があります。妊娠中にするべきことや避けるべきことについての知識をつけ、パートナーを支えていきましょう。
また、お腹にいる赤ちゃんの状態を知っておくことも大切でしょう。NIPT(新型出生前診断)などの検査を行えば、赤ちゃんに染色体異常がないかどうかを知ることができます。
NIPT(新型出生前診断)とは
NIPT(新型出生前診断)は、母親の血液を調べることで、お腹にいる赤ちゃんの染色体異常がわかる検査です。例えば、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)などがわかります。
少量の血液で検査を行えるので母親への負担も少なく済むのが特徴です。エコー検査で妊娠が確認できたらすぐに検査を行うことができ、さらに精度も高いので、より早く正確に染色体異常の可能性を調べることができます。
まとめ
妊娠や妊活は女性だけの話ではなく、男性にとっても重要です。男性側からしてもやるべきことやできることはたくさんあるので、積極的に取り組んでみてください。特に生活習慣の改善については、1人ではなく夫婦2人で協力して臨むようにしましょう。
また、性生活や生活習慣に問題がないのにもかかわらず妊娠ができない場合、不妊の可能性が考えられます。男性が原因の不妊も多いので、不安であれば病院で検査を受けてみてください。
【参考文献】
- 日本生殖医学会 – 一般のみなさまへ – 生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A):Q4.不妊症の原因にはどういうものがありますか?
- 日本産科婦人科学会 – 不妊症
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業