はじめに
「妊娠後期はどうやって過ごせば良いんだろう?」
と不安に感じる方もいるかもしれません。
妊娠後期になるとお腹の膨らみが大きくなってきて、出産を意識することも多くなります。それだけでなく、普段の生活にも変化が生じるでしょう。また、今までになかった症状が現れることもあります。
今回の記事では、妊娠後期について
- よくある症状
- おすすめの過ごし方
- 注意すること
を解説します。現在妊娠後期の方、これから妊娠後期に入る方はぜひ参考にしてくださいね。
妊娠後期はいつからいつまで?
妊娠後期はいつからいつまでにあたるのでしょうか?
妊娠後期は在胎週数28週以降であり、月数で言うと8か月以降の期間です。
妊娠後期になるとすっかりお腹も大きくなり、赤ちゃんが産まれるための最後の準備に入ります。つわりが治まってくる時期でもあるため、精神的に余裕が出てくるかもしれません。
臨月とは
臨月とは、在胎週数36週から39週の時期のことです。ただし正確には決まっておらず、一般的には出産予定日の1か月前あたりを指す言葉です。
いつお産が始まってもおかしくない期間でもあるため、臨月には、出産に向けた準備を進めるようにしましょう。
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妊娠後期によくある症状
妊娠後期は、お腹が大きくなったり赤ちゃんが成長するのに合わせて体にさまざまな症状が出てきます。
ここでは、妊娠後期でよく見られる症状について解説します。
お腹の張り
赤ちゃんが大きくなるにつれ、どうしてもお腹が張りやすくなります。張りを感じるときは、過ごし方を工夫して無理をしないようにしてください。
体重増加
妊娠後期には体重が増えやすくなります。つわりが治まる時期でもあるので、反動で食べ過ぎてしまうこともあるかもしれません。
お腹の赤ちゃんのためにも食べることは重要です。しかし食べすぎると体重が増え過ぎてしまいます。妊娠後期はバランスの良い食事を3食しっかり食べつつ、体重が増えすぎないように気をつけてください。
むくみ
妊娠中は、体の水分量が増えています。さらに、足から心臓に流れる静脈が子宮によって塞がれやすくなるのもあり、どうしても体がむくみやすくなるでしょう。
むくみがひどい時にはマッサージがおすすめです。身体に負荷をかけないようにむくんでいる部位を揉んで、水分の流れを良くしていきましょう。
尿もれ・頻尿
妊娠後期になると、膨らんだ子宮が膀胱を圧迫するため、尿もれをしてしまうことがあります。中には短時間で何度もトイレに行きたくなる頻尿になってしまうことも。
とはいえ、尿もれや頻尿が嫌で、我慢したり水を飲むのを控えると膀胱炎になる可能性があります。赤ちゃんのためにもしっかり水分を取るように心がけてください。
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吐き気・息切れ・動悸
膨らんだ子宮は胃に影響を与えます。胃が押し上げられてしまい、吐き気の他にも胃痛やムカつきを感じることがあります。
また、子宮は胃だけでなく肺や心臓も圧迫するため、少し動くだけでも苦しい、疲れやすいと感じることが多いです。息切れや動悸が現れたときは、座るなどして安静に過ごしましょう
腰痛
お腹が大きいと、普通に生活していても腰に負担がかかります。重心が前に寄り、上半身が反る姿勢で過ごすようになるからです。
腰痛を感じたら、ゆっくりと動くことを心がけたり、何かにつかまって移動するようにしましょう。ストレッチをしたりコルセットを取り入れるのもおすすめです。
妊娠後期におすすめの過ごし方
妊娠後期は、身体にも精神にも負担のないような過ごし方をしましょう。
働くとどうしても身体に負荷がかかります。仕事をしている方は、産休をとるようにしてください。法律で、出産予定日の6週間前から出産の8週間後までの休業が認められています。
また、適度な運動をすることもおすすめです。もちろん、激しい運動は身体に良くありません。体調の良い時に散歩などの軽い運動をして、お産や出産後に向けて体力をつけておくと良いでしょう。運動は精神の健康を保つのにも役立ちます。
出産の準備
妊娠中は何があるかわかりません。出産はまだまだ先、と思っていても急に出産をすることになる可能性もあります。妊娠後期の間に出産に向けた準備をしておきましょう。
まずは、出産のための入院で必要なものをまとめておくことをおすすめします。いざという時にすぐに病院に持っていけるよう、カバンなどにひとまとめにしておくと安心です。
出産に向けてイメージトレーニングをしておくのも効果的でしょう。出産までの流れをおさらいしたり、お産時の呼吸法を確認します。入院中の過ごし方を想像するのも良いかもしれません。例え初産であっても、念入りに予習や準備をすれば安心してお産に臨めるでしょう。
NIPT(新型出生前診断)はいつまで受けられる?
NIPT(新型出生前診断)は、母親の血液を使って、お腹にいる赤ちゃんに染色体異常症の可能性があるかどうかを調べる検査で「非侵襲性出生前遺伝学的検査/非侵襲的出生前遺伝学的検査」とも言われます。
採血だけで済むので、羊水検査よりも身体の負担が少ないのが特徴です。ダウン症である21トリソミーや、18トリソミー、13トリソミーについて調べることができます。
NIPT(新型出生前診断)は基本的に在胎週数10〜15週で受ける検査ですが、妊娠後期でも受けることができます。妊娠後期に受けても、検査精度が下がるということはないので安心してください。
ヒロクリニックNIPTでは、ご希望の方には結果が陽性陰性に関わらず、検査日以外にも、臨床遺伝専門医、日本産科婦人科学会専門医、出生前コンサルト小児科医によるNIPTに関する診察(有料オプション)を行っております。ご不安な事がございましたら、ご相談ください。
妊娠後期にNIPT(新型出生前診断)を受けるメリット
妊娠後期にNIPT(新型出生前診断)を受けるメリットとして、まず、陰性なら安心を得られるというのが挙げられます。例えば、超音波検査で何か異常を指摘されて染色体異常についても調べておきたい場合に役立つでしょう。
ヒロクリニックでは、NIPT(新型出生前診断)ができる妊娠週数に制限を設けていませんので、妊娠後期であっても検査ができます。不安を解消したい方におすすめです。
妊娠後期にNIPT(新型出生前診断)を受けるデメリット
NIPT(新型出生前診断)は非確定的検査ですので、検査結果が陽性と出ても、染色体異常が確定であるとは言えません。妊娠後期に受けた場合のデメリットは、羊水検査を実施できる時期が過ぎている為、確定診断を受けることができません。
NIPT(新型出生前診断)は、メリットとデメリットをよく検討してから受けるようにしてください。
妊娠後期に注意すること
妊娠後期になると、注意しなければならないことが増えます。
身体に負担が大きいことをしてしまうとお腹の赤ちゃんにも影響してしまい、最悪の場合早産や死産にもつながります。妊娠後期は負担の大きい動作は避けて、無理のない過ごし方をするように心がけましょう。
寝るときの姿勢
まず、お腹を下にして寝るのは避けましょう。とはいえ、上向きで寝ていても息苦しさを感じてしまうかもしれません。
眠れないときは、バスタオルで高さを調整して横を向いたり、抱き枕を使用したりして、無理のない姿勢をとるようにしてください。夜に眠れないと感じるときは適度な昼寝をすると良いでしょう。
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お腹に負担のかかる行動
お腹に負荷のかかる力仕事や重い物を持つことを控えるようにしてください。なぜなら、お腹に圧力がかかることで腰痛の引き起こしたり切迫早産の危険性が生じるからです。
洗濯や買い物など、普段の家事にもお腹に負担のかかる動作が隠れています。そういった家事はなるべくパートナーに頼むようにしましょう。
切迫早産
妊娠22週0日から妊娠36週6日の間に、陣痛を感じたり出血するなど早産の可能性が出てくることを切迫早産と言います。
細菌性腟症などが原因で生じることが多く、赤ちゃんを安全に産むためには早めの対処が必要です。お腹の痛みや張り、出血、おりものの変化などの症状が出たら、すぐにかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群は、妊婦が高血圧になる状態を指します。妊娠後期に起きやすいため注意が必要です。
定期的に血圧を測って、高血圧になっていないか確認するようにしてください。
まとめ
妊娠後期になると、今までとは違った体の変化が出てきます。お腹や体の状態に合わせて、過ごすのが良いでしょう。
また、妊娠後期特有の症状や気をつけるべきことも出てきます。お産が待ち受けているからこそ気を抜かず、赤ちゃんにも母体にも優しい過ごし方を心がけてください。
【参考文献】
- 厚生労働省 – 妊娠中の症状等に対応する措置
- オムロン ヘルスケア – 妊娠・出産Q&A
Q&A
よくある質問
妊娠後期の過ごし方についてよくある質問としては、以下のようなものがあります。
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Q妊娠後期に運動をして良いのか?前述した通り、適度な運動であれば妊娠後期にしても構いません。むしろ、適度に運動したほうが、体力がついたり身体も精神もリフレッシュできたり、とメリットが多いです
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Qおりものが多いときはどうすれば良いか?妊娠後期は、ホルモンバランスの乱れからおりものが多くなりやすいです。多少の増減であれば気にしなくても良いでしょう。
ただし、おりものの量が急増した、または色や臭いがいつもと違う時は感染症の可能性があります。感染症は切迫流産を起こすこともありますのですぐに病院へ行くようにしましょう。 -
Q妊娠後期の夏はどう過ごす?妊娠後期の夏はとにかく熱中症に気をつけてください。妊娠中は赤ちゃんを育てるために体温が高くなっていて、通常よりも熱中症になるリスクがあがります。
また、汗をかきすぎて脱水になると、お腹の赤ちゃんにも影響が出ることもあります。赤ちゃんは血液を通して母親から酸素や栄養を受け取っています。脱水になると血液量が減るため、この受け渡しが十分にできなくなり危険です。
涼しい場所でこまめに水分補給をするのが、妊娠後期の夏の理想の過ごし方です。暑い日はなるべく外に出ないようにするのが良いでしょう。 -
Q妊娠後期の冬はどう過ごす?冬は、感染症に気をつけて過ごします。妊娠中は感染症にかかるなど重症化しやすい状態です。ワクチンを打ったり、食事や運動で健康を保ったりして、感染症が重症化しないような体を作りましょう。
また、冷えにも気をつけないといけません。体が冷えると血管が収縮して、赤ちゃんにいく血液が減ってしまいます。お風呂につかったり、厚着をしたりしてなるべく体を温めるようにしましょう
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業