概要
メチルマロン酸血症は、体が特定のタンパク質や脂質を適切に処理できない遺伝性疾患です。メチルマロン酸血症MUT0型(Methylmalonic Aciduria, Type Mut(0))は、MUT遺伝子の変異によって引き起こされます。
疫学
メチルマロン酸血症は、推定5万人から10万人に1人に発生します。
原因
遺伝性のメチルマロン酸血症は、酵素であるメチルマロニルCoAムターゼ(MUT)によりメチルマロニルCoAがスクシニルCoAへ代謝される経路に欠陥が生じることによって引き起こされる疾患です。MUT0型の場合、MUTの酵素活性が0となります。
症状
罹患した乳児は、嘔吐、脱水症、筋緊張低下、発達遅延、過度の倦怠感、肝腫大、成長障害を引き起こします。長期的な合併症には、摂食障害、知的障害、慢性腎臓病、膵炎などがあります。治療を行わないと、昏睡や死に至る場合があります。
診断
①血液検査、②化学診断、③酵素診断、④遺伝子診断 によって診断されます。
治療
現時点で原因となる酵素の異常を回復させる治療法はなく、対症療法が主となります。重症の場合は、血液透析 が行われる場合があります。
予後
新生児期に発症する重症例では、急性期死亡ないし重篤な障害を遺すことが少なくありません。遅発例であっても、急性発症時の症状が軽いとは限らず、治療が遅れれば障害発生の危険が高くなり、代謝不全の管理に関わらず腎機能の低下が進行して腎不全に至ることがあります。
【参考文献】
- 難病情報センター – メチルマロン酸血症(指定難病246)
- 小児慢性特定疾病情報センター – メチルマロン酸血症
- Medline Plus – Methylmalonic acidemia