概要
先天性有機酸代謝異常症の一つで、体内にメチルマロン酸を中心とする有機酸が蓄積し、ケトーシス、アシドーシスを生ずる遺伝性疾患の総称です。
疫学
本邦の発症頻度は40~50万人に一人と考えられており、患者数は約150名と推定されます。
原因
メチルマロニルCoAからサクシニルCoAへの代謝を触媒する酵素であ るメチルマロニルCoAムターゼの欠損とその補酵素であるビタミンB12(コバラミン)の代謝異常に大別される。ムターゼ欠損が50%をしめます。コバラミ ン代謝異常はさらにA~Dの四型に分類される。原因遺伝子が同定され、遺伝子検査による確定診断が可能であるが、どの遺伝子異常も同定されない病型も存在します。
症状
急性期(アシドーシス発作時)は頻回の嘔吐と脱水、呼吸窮迫、意識障害をきたします。慢性的には嘔吐と食欲不振、成長障害、発達遅滞、肝腫大、易感染性、骨粗鬆症を認めます。約半数の例で版血球減少症を認める。症状は病型によって差異があります。
治療
診断確定までは、新生児マス・スクリーニング陽性例では、診断確定までの一般的注意として、感染症などによる体調不良・食欲低下時には早めに医療機関を受診するよう指示した上で、必要によりブドウ糖輸液を実施します。診断確定後の治療としては、
(1)ビタミンB12 反応性メチルマロン酸血症の可能性を考慮して、ヒドロキソコバラミン又はシアノコバラミン10mg/日の内服を開始する。投与前後の血中アシルカルニチン分析・尿中有機酸分析とで効果の有無を判定します。
(2)食事療法として、母乳や一般育児用粉乳にバリン・イソロイシン・メチオニン・スレオニン・グリシン除去ミルクを併用して、軽度のタンパク摂取制限(1.5~2.0g/kg/日)を開始する。急性期、急性増悪時には、気管内挿管と人工換気、ブドウ糖を含む輸液、代謝性アシドーシスの補正、水溶性ビタミン投与、高アンモニア血症の薬物療法、血液浄化療法などが必要となります。
【参考文献】
難病情報センター – マロン酸尿症とメチルマロン酸尿症