概要
レーベル先天性黒内障(Leber Congenital Amaurosis (LCA5-related))は、主に網膜に影響を与える眼疾患です。網膜は、光と色を検出する目の後ろの特殊な組織です。この障害を持つ人々は通常、乳児期に始まる重度の視覚障害を持っています。視覚障害は安定する傾向がありますが、時間の経過とともに非常にゆっくりと悪化する可能性があります。
疫学
ヨーロッパでは人口10万人あたり2-3人と推測されています。本邦では、2015年にはじめて全国で本格的な調査が行われ、患者数は約10,000人前後と推測されています。
原因
細胞のなかでエネルギー産生を行う、ミトコンドリアの遺伝子異常により、 網膜の一部の細胞が選択的に障害される病気です。少なくとも、14の遺伝子の突然変異に起因するレーベル先天性黒内障が報告されていますが、レーベル先天性黒内障(LCA5関連)は、その中のLCA5遺伝子の異常に起因する疾患です。
症状
この疾患は男性に多く発症し、10〜30歳代に発症の大きなピークが、40歳代前後にもう一つのピークがあります。発症すると数週間~数か月の間に、両眼の視力低下、羞明、眼振、遠視、中心部の視野欠損が起こります。
瞳孔は通常、目に入る光の量に応じて伸縮しますが、この疾患では、光に正常に反応せず、通常よりもゆっくりと伸縮します。さらに、円錐角膜という、角膜が円錐形で異常に薄い場合があります。
治療
研究によって、コエンザイムQ10誘導体であるイデベノンに有効性があるのではないか、ということがわかってきました。イデベノンはミトコンドリアのエネルギー産生を助け、網膜細胞のアポトーシスから守る働きがあることが分かっています。実際に患者に使用して有効かどうかは、調査が進んでいるところです。
この他、ビタミンC、ビタミンB12、コエンザイムQ10の内服、た点眼薬・内服薬を用いることもあります。海外では遺伝子治療も行われています。
予後
視力低下や視野欠損が進行しますが、完全に失明することは非常にまれです。また一部の症例では、視力が部分的~ほぼ元通りに改善することもあります。
【参考文献】
- 難病情報センター – レーベル遺伝性視神経症
- Medline Plus – Leber congenital amaurosis