葉状魚鱗癬 Ⅰ型

葉状魚鱗癬 Ⅰ型葉状魚鱗癬 Ⅰ型

概要

葉状魚鱗癬 Ⅰ型(Lamellar Ichthyosis, Type 1)は、主に皮膚に影響を与える状態です。この状態の乳児は通常、コロジオン膜と呼ばれる、皮膚を覆う堅くて透明な鞘のような膜を持って生まれます。この膜は通常、生後数週間で乾燥して剥がれ、その後、罹患した乳児の皮膚がうろこ状になり、まぶたや唇が外側に向いていることが明らかになります。

葉状魚鱗癬の人は通常、体の大部分の皮膚を覆う大きくて暗い板状の鱗屑を持っています。葉状魚鱗癬の乳児は、感染症、脱水症、および呼吸器系の問題を発症する可能性があります。

疫学

特にノルウェーでの罹患率が多く、91,000人に1人の有病率です。

原因

TGM1遺伝子の変異が、葉状魚鱗癬の症例の約90パーセントの原因です。TGM1遺伝子は、トランスグルタミナーゼ1と呼ばれる酵素を作るための指示を出します。この酵素は、皮膚細胞を取り囲み、体とその環境の間に保護バリアを形成するのに役立つ構造である角質化細胞外皮の形成に関与します。TGM1遺伝子の変異は、皮膚の正常な形成を妨害し、体温、水分保持、および感染に対する抵抗性の調節障害をもたらします。
TGM1は葉状魚鱗癬だけでなく、似たような疾患の層状魚鱗癬の原因となる遺伝子ともなります。

TGM1遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

通常、乳児期に、全身の茶色の鱗屑、まぶたと唇の反転、手のひらと足の裏の皮膚の肥厚、および瘢痕を伴う脱毛などの皮膚症状を呈します。

治療

根治療法はありませんので、対症療法となります。皮膚の症状に対しては、ワセリンや保湿剤等の外用治療をおこないます。重症例の場合、新生児期には、呼吸管理や輸液、正常体温の維持、皮膚感染のコントロールするなどの保存的治療をおこないます。レチノイドの全身投与療をおこなうこともあります。

予後

ごく一部の重症例で新生児期・乳幼児期の死亡例があるものの、基本的には生命予後は良好です。成長するに従い症状が軽快する例もありますが、多くは、生涯にわたり症状が持続します。

【参考文献】