封入体ミオパチーⅡ型

封入体ミオパチーⅡ型封入体ミオパチーⅡ型

概要

封入体ミオパチーⅡ型(Inclusion Body Myopathy, Type 2)は、主に骨格筋に影響を与える状態です。骨格筋は、体が運動に使用する筋肉です。この障害は、青年期後期または成人期初期に現れる筋力低下を引き起こし、時間とともに悪化します。

封入体ミオパチーⅡ型が日本人の家族で最初に報告されたとき、「縁のある液胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)」または「野中ミオパチー」と呼称しまし、同様の障害がイランのユダヤ人の家族で発見されたとき、研究者はそれを「縁のある液胞ミオパチー」または「遺伝性封入体ミオパチー(HIBM)」と呼びました。その後、これらは同じ遺伝子の突然変異によって引き起こされる単一の障害のバリエーションであることが明らかになりました。

疫学

200人以上が報告されています。ほとんどがイランのユダヤ人の子孫ですが、本邦でも15人がこの障害と診断されています。

原因

GNE遺伝子の変異が、この疾患を引き起こします。GNE遺伝子は、体全体の細胞や組織に見られる酵素を作るための指示を出します。この酵素は、シアル酸を生成する化学経路に関与しています。シアル酸は、細胞の遊走、細胞同士の接着、細胞間のシグナル伝達、炎症など、さまざまな細胞機能に影響を与えます。

GNE遺伝子の変異すると、酵素の作成がうまくいかずに、シアル酸の産生が低下します。シアル酸の不足が封入体ミオパチーⅡ型の人々の進行性の筋力低下につながると考えられています。

GNE遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

最初の兆候は、前脛骨筋と呼ばれる下腿の筋肉の衰弱です。この筋肉は、足の上下の動きを制御するのに役立ちます。前脛骨筋が衰弱すると、走ったり階段を上ったりすることが困難になります。障害が進行すると、上肢、腰、肩、手の筋肉にも衰弱が生じます。

治療

現時点では根本的治療法はありません。ただし、現在シアル酸補充療法による臨床試験がおこなわれており、薬剤が使用できるようになる可能性があります。

予後

この疾患のほとんどの人は、兆候や症状が現れてから20年以内に車椅子の補助が必要になります。長期に経過が観察された例は殆どありませんが、発症後40年以上が経過して寝たきりの生活となっている例があります。

【参考文献】