概要
低ホスファターゼ症は、骨レントゲン検査で骨の低石灰化、くる病様変化がみられ、血液検査で血清アルカリフォスファターゼ(ALP)値が低下するのが特徴です。ALPの活性低下にともない蓄積するピロリン酸が石灰化を障害することや、局所のリン濃度の低下することにより、骨の低石灰化、くる病様変化が引き起こされます。ALPの基質であるphosphoethanolamine, inorganic pyrophosphate(ピロリン酸), pyridoxal 5′-phosphateの上昇がみられます。通常、常染色体劣性遺伝性であるが、稀に常染色体優性遺伝性もあります。
疫学
5万人に1人程度出生すると推定されており、 生命予後 の悪い患者さんもいることから、国内には100人〜200人程度の患者さんがいると考えられてきました。最近、非常に有効な薬が開発され、以前は早期に亡くなっていた重症の患者さんも救命できるようになったことから、生存している患者さんの数が増加すると考えられます。
原因
組織非特異的アルカリホスファターゼ(ALP)の欠損によるとされています。
症状
骨のくる病様変化、低石灰化、骨変形、四肢短縮、頭囲の相対的拡大、狭胸郭、けいれん、高カルシウム血症、多尿、腎尿路結石、体重増加不良、頭蓋縫合の早期癒合、乳歯の早期喪失、病的、骨折、骨痛等を認めます。
診断
臨床症状、放射線学的所見および生化学検査所見から診断されます。 血清アルカリホスファターゼ (ALP) 値の低下は重要な所見ですが、年齢や性別に応じた基準値と比較する必要があります。
治療
確立された根本的な治療法はありませんでしたが、ALP酵素補充療法が開発されつつあります。重症型における痙攣はビタミンB6依存性である可能性が高いので、まずB6の投与を試みます。乳児型ではしばしば高カルシウム血症がみられ、これに対し、低カルシウムミルクを使用します。
【参考文献】
難病情報センター – 低ホスファターゼ症