概要
ファンコニ貧血G型(Fanconi Anemia, Type G)は、FANCG遺伝子の変異によって、DNAを損傷から保護するタンパク質を体が適切に産生できない遺伝性疾患です。この欠陥のあるタンパク質は、骨髄があらゆる種類の血球を産生する能力を損ないます。十分な数の赤血球がないと、体は十分な酸素を受け取らず、異常な骨や臓器、発達の遅れにつながる可能性があります。
疫学
わが国でのファンコニ貧血の年間発生数は5~10人で、出生100万人あたり5人前後の有病率です。
原因
ファンコニ貧血の症例のほとんどは、 FANCA、FANCC、およびFANCGの3つの遺伝子のいずれかの変異によるもので、ファンコニ貧血G型は、そのうちのFANCC遺伝子の変異で引き起こされる疾患です。これらの遺伝子が異常を来すと、DNA損傷は効率的に修復されず、異常な細胞死、制御されていない細胞増殖を引き起こします。
症状
骨髄細胞など、急速に分裂する細胞発達中の胎児の細胞は特に影響を受けます。これらの細胞死は、血球の減少とファンコニ貧血に特徴的な身体的異常をもたらします。DNAのエラーの蓄積が制御不能な細胞増殖につながる場合、急性骨髄性白血病、または他のがんを発症する可能性があります。
治療
現在、ファンコニ貧血G型の治療法はありません。造血器腫瘍、造血不全に対しては造血細胞移植が唯一、治癒を期待できます。固形がんに対する化学療法は難しく、手術療法が主体となります。身体の奇形は外科的手術を施します。
予後
10歳までに80%以上、40歳までに90%以上の患者が、再生不良性貧血を発症します。20歳を超えると、頭頚部などに発がんのリスクが増加し、予後は不良です。
【参考文献】
- 難病情報センター – ファンコニ貧血(指定難病285)
- 小児慢性特定疾病情報センター – ファンコニ(Fanconi)貧血
- Medline Plus – Fanconi anemia