概要
出生時より皮膚、毛髪、眼のメラニン合成が低下ないし消失することにより、全身の皮膚が白色調、青から灰色調の虹彩、視力障害、白から茶褐色あるいは銀色の頭髪を呈します。
疫学
日本にはおおよそ5,000人がいると推定されます。
原因
メラニン合成に関わる遺伝子変異によって発症する常染色体劣性遺伝性疾患である。非症候型の眼皮膚白皮症は7型、症候型のヘルマンスキー・パドラック(Hermansky-Pudlak)症候群は9型、チェディアック・東(Chediak-Higashi)症候群、グリセリ(Griscelli)症候群は3型まで原因遺伝子が同定されています。今後さらなる新規遺伝子の同定がなされると予想されます。
症状
非症候型・症候型とも全身の皮膚が白色調、青から灰色調の虹彩、矯正不能な視力障害や眼振等の眼症状、そして白から茶褐色あるいは銀色の頭髪を呈します。さらに症候型はそれぞれの疾患に随伴する全身症状(出血傾向、免疫不全、神経症状など)があり、さらに中高年に高率に間質性肺炎や肉芽腫性大腸炎を合併します。
診断
1. 皮膚が色白であり、日焼け(tanning)をしない。
2.生下時より毛髪の色調が白色、淡黄色、黄色、淡い茶色、銀灰色のいずれか。
3.虹彩低色素が観察される。
4.眼振が観察される。
治療
屈折異常の補正と弱視用補装具、鼻出血の頻度を減らすため加湿器を使用します。経口避妊薬は月経期間を短縮させる可能性があります。遷延性出血を伴う皮膚創傷にはトロンビン浸漬ゼルフォームを使用します。智歯の抜歯および侵襲的な処置にはDDAVP(1-デスアミノ-8-D-アルギニンバソプレシン)を投与します。外科手術時もしくは遷延性出血に対しては血小板もしくは赤血球の輸血を行います。重症肺疾患に対して酸素投与、および最終的には肺移植を施行します。肉芽腫性大腸炎に対してはステロイド、その他の抗炎症薬、および/もしくはレミケード®を投与します。免疫不全症が存在する場合は顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)に反応します。
【参考文献】
難病情報センター – 眼皮膚白皮症