概要
バルデー・ビードル症候群(BBS12関連)(Bardet-Biedl Syndrome (BBS12-related))は、BBS12遺伝子の有害な突然変異によって視力の問題を引き起こす遺伝性疾患です。また、軽度の肥満、多指症、性器と腎臓の問題や学習障害も引き起こします。
疫学
BBSの有病率は、北米の100,000人に1人~ヨーロッパの160,000人に1人の範囲で、BBS12の変異が関連する症例は、BBS症例のうちの約11%を占めています。
原因
BBSに関連する遺伝子のいくつかは、他の症候群(ローレンス-ムーン症候群、網膜色素変性症、メッケル-グルーバー症候群など)に関連しています。
網膜色素変性症(視力喪失のみ)において、BBS12変異が特定されたという報告があります。
症状
視力の問題
網膜の錐体細胞の変性に起因して、視力に問題が発生します。そのうち約90%では、小児期の夜盲症として始まり、青年期までに末梢視力が喪失し、最終的には失明に至ります。
体重増加
幼児期に始まり、成人期を通して異常な体重の増加が続きます。その結果、肥満関連の糖尿病、高血圧、高コレステロール血症を発症する可能性があります。
腎臓の異常
腎臓の異常は、いくつかの機能的な問題から、生命を脅かす腎不全にまで及びます。
発達障害・知的障害
BBSに罹患している患者のうち、約50%は発達障害を持っており、軽度の学習障害から重度の知的障害にまで及びます。
視力喪失が、発達障害や知的障害の原因となる場合もあります。
その他
肝疾患、バランスと協調の低下、行動の問題、特徴的な身体的特徴、および難聴が現れます。また、心臓や生殖器系にも影響を与える可能性があります。
症状は、異常のあるBBS遺伝子の種類によって異なる傾向があります。
BBBS12遺伝子の異常に関連した症状で報告されているものの特徴としては、糖尿病、歯の不規則性、心臓病、および行動の問題が挙げられます。
診断
遺伝子診断がなされますが、変異が同定されない症例も存在します。
治療
BBSの治療法はありませんので、対症療法が主体となります。
予後
BBS患者の予後を予測することは難しく、家族内でも起こる症状はさまざまです。
BBS患者の早期死亡の主な原因は腎不全ですが、適切な治療とモニタリングを行うことで、大多数の平均余命は正常またはほぼ正常になる可能性があります。
【参考文献】
- Myriad Genetic – Bardet-Biedl Syndrome, BBS12-Related
- 難病情報センター – 代謝疾患分野|バルデー・ビードル症候群(平成22年度)
- 小児慢性特定疾病情報センター – バルデー・ビードル(Bardet-Biedl)症候群