もしかしたら自分は不妊かも……と悩む人も多いのではないでしょうか?不妊になる原因は多くあるので、不妊かもしれないと思ったら病院を受診することをおすすめします。今回の記事では、不妊の原因や対処法について解説します。
この記事のまとめ
不妊の原因として排卵因子、卵管因子、頸管因子、子宮因子、内分泌因子、男性因子が挙げられます。女性だけだなく男性も原因となることもあります。不妊を知る方法は女性では経膣超音波検査、卵管造影検査、子宮鏡、男性では精液検査、精巣の検査、血液検査が挙げられます。検査を受けて、自分が不妊であることが判明したら不妊治療を行いましょう。
不妊の原因とは?
基本的に女性が不妊になると思う人も多いかもしれませんが、男性も不妊になる可能性があるので男性が他人事のように思うのはおすすめできません。
特に夫婦で頑張って妊活に励んでいるなら、なおさら自分の可能性があるかもしれないと思った方が良いでしょう。
一般的に不妊になっている人は不妊症と診断されます。
不妊症とは男女共に妊娠を希望しており、なおかつ避妊をせずに妊活を一定期間行っているにも関わらず、妊娠する傾向がない場合を指す言葉です。
基本的に正常な状態で妊活を続けていると、3か月で約50%、6か月で約70%~80%、1年で約90%が妊娠するとされています。
つまり、1年間で全く妊娠する傾向にない時は疑った方が良いでしょう。
不妊になる原因は、以下の通りです。
- 排卵因子
- 卵管因子
- 頸管因子
- 子宮因子
- 内分泌因子
- 男性因子
それでは、それぞれの原因についてご説明しましょう。
排卵因子
そもそも妊娠するためには受精卵が排卵されなければ着床できないので、排卵因子に何らかの問題が起こっていると不妊になりやすくなります。
排卵因子に問題が起こる原因は、生理周期の乱れ、過度なダイエット、過剰な体重減少、過度なストレスなどが挙げられます。
これらはホルモンバランスを乱れさせる原因になるため、排卵が正常に行われなくなる可能性が高いです。
特に一つの指標になるのが生理周期です。
基本的に生理周期は25日~28日前後となりますが、この生理周期よりも早く生理が来たり、遅く生理が来たりすると生理周期が乱れて不妊になっている可能性があるでしょう。
卵管因子
卵管因子とは卵管に何らかの異常が起きて卵子と精子が巡り合うことができない状態です。卵管に異常が起こると癒着によって閉塞したり、卵管が狭くなったりするなど、様々な原因があります。
卵管因子に異常を引き起こすのは、クラミジアや淋菌などの性感染症によるものが原因として挙げられるでしょう。
特にクラミジアは感染していることに気づかないほど無症状なので、気付いた時には不妊になっていることも少なくありません。
また、重度の子宮内膜症によって子宮付属器周辺癒着を引き起こしている場合や虫垂炎を初めとする下腹部の手術を行ったことがある場合も、卵管因子を引き起こす原因になります。
頸管因子
頸管因子とは一般的におりものと呼ばれる子宮頸管粘液と呼ばれるものの分泌量が少ないために起こります。
排卵期になると赤ちゃんを妊娠するための身体に切り替えられていくため、精子が子宮内に進みやすくなるようにおりものの分泌量が増えていきます。
しかし、子宮頚管粘液の分泌量が減少している場合だと、精子がスムーズに子宮内に運ばれなくなるので受精しにくくなるのが不妊の原因です。
子宮頚管粘液の分泌量が減ってしまう原因は、過去に性感染症に感染したことがあるか、あるいは過去に子宮頚管に何らかの炎症を引き起こしたことがあるかどうかが挙げられます。
子宮因子
子宮因子の場合は様々な原因が考えられ、主に『子宮奇形』『子宮筋腫・子宮腺筋症』『子宮内膜症』が挙げられます。
子宮奇形の場合、子宮の形に問題があると血流障害が起こりやすいため、受精卵の着床や発育がスムーズに行われません。
主に挙げられるのが、重複子宮、双角子宮、中隔子宮、弓状子宮、単角子宮です。
子宮筋腫や子宮腺筋症の場合は、受精したとしてもこれらの病気が原因で発育しにくくなります。
そして子宮内膜症の場合、子宮内膜だけでなく卵巣にも影響を及ぼすため、排卵障害や卵子の質が低下するなど、より一層不妊になりやすくなります。
なお、重症化すると子宮付属器周辺癒着を引き起こす可能性があります。
内分泌因子
内分泌因子とは黄体機能不全とも呼ばれる状態で、妊娠初期の維持に欠かせないホルモンの分泌量が減少してしまう症状を指します。
黄体は体温を上げたり子宮内膜を厚くして着床に適した状態にしたりするといった役割がありますが、黄体の分泌量が減ると上手く着床しなかったり、流産したりする可能性があります。
免疫因子
免疫因子とは精子の着床を阻害したり精子の運動を止めてしまったり抗体が作られている時に発生する可能性がある現象です。
なぜ抗体が作られてしまうのか原因は分かっていませんが、抗体ができてしまうと精子が着床することができなくなります。
男性因子
男性因子が原因で不妊になる要因は、以下の通りです。
- 造精機能
- 精路
- 精液・精子
- 遺伝子
- 射精機能
- 性機能
まず、造精機能に問題がある場合、精子を作る機能に問題があるので着床しにくくなります。
精路に問題がある場合、精菅が狭かったり閉塞されていたりすると射精した時の量が少なくなります。
もし精液が少なかった場合は閉塞性無精子症の可能性があるでしょう。
精液・精子に問題がある場合、精嚢や前立腺に異常があると精子の運動率が低くなるので、積極的に受精しようとしなくなります。
射精しても精子が機能しなくなっていたり形に異常があったりする場合だも着床しにくくなるでしょう。
遺伝子に問題がある場合、精子に染色体異常が起きていることが考えられます。
染色体異常を引き起こしている精子が着床すると、受精卵も染色体異常になってしまうので受精卵が育たなくなります。
受精卵が育たなければ流産を繰り返す可能性が高いでしょう。
射精機能に問題がある場合、射精する時に閉じるはずの括約筋が閉じていない可能性があります。
括約筋が閉じていないと放出されるはずの精子が膀胱側に逆流してしまうため、精液の量が少ないために着床する確率が減少してしまいます。
括約筋が閉じなくなるのは原因不明の時もありますが、前立腺や骨盤内の手術を行った後に見られることもあります。
性機能に問題がある場合、心因性もしくは器質性の勃起不全によるものが挙げられます。
勃起不全は性行為を行う際に勃起できなかったり、勃起を維持することができない状態なので、原因を特定して対策する必要性があります
自分が不妊かどうか知る方法とは?
自分が不妊かどうか知るためには、以下の方法で検査を受ける必要性があります。
- 経膣超音波検査
- 卵管造影検査
- 子宮鏡
男性の検査方法は、以下の通りです。
- 精液検査
- 精巣の検査
- 血液検査
以上の検査を受けて、自分が不妊であることが判明したら不妊治療を行いましょう。
不妊治療の方法とは?
治療方法は、以下の通りです。
- タイミング療法
タイミング療法とは排卵日を予測し、排卵日前後に性行為を行うというタイミングを見計らった方法です。
性行為を行う時は、より受精しやすくなるように排卵誘発剤を使用することもあります。
- 人工授精
人工授精は男性から採取した精液を洗浄し、運動率が高いものを厳選した上で子宮内に注入する方法です。
排卵と受精させるタイミングに合わせて人工授精を行うため、排卵日を正確に見極める必要性があります。
- 体外受精
体外受精とは採卵によって採取した卵子とあらかじめ採取した精子を体外で受精させ、子宮内に戻す方法です。
体外受精は他の方法で効果がなかった時に行われる方法なので、ある意味では最終手段とも言えるでしょう。
まとめ
不妊になる原因は女性のみならず男性にもあるので、男女共と向き合っていく必要性があります。
不妊かどうか知るためにも、不妊治療を受けるのがおすすめです。不妊治療を受けるのであれば、通いやすさや院内の雰囲気、診療方針などを比較してクリニックを選ぶ必要性があります。
親身になって対応してくれるクリニックであれば、安心して相談できるでしょう。
【参考文献】
- メディカルノート – 不妊症
- 日本産科婦人科医会 – 5.不妊の原因と検査
もしかしたら自分は不妊かも……と悩む人も多いのではないでしょうか?不妊になる原因は多くあるので、不妊かもしれないと思ったら病院を受診することをおすすめします。今回の記事では、不妊の原因や対処法について解説します。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業