多胎妊娠、年子で母体にかかる負担とは?【医師監修】

双子、年子で母体にかかる負担とは?

多胎妊娠・年子で、母体にどのようなリスクがあるのかを知らなければ、母体の死亡・赤ちゃんの死産に繋がりやすくなります。 しかし、リスクや注意点を知っておくと、妊娠中の行動が変わり、無事に出産を迎えやすくなるでしょう。

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はじめに

多胎妊娠(たたいにんしん)と年子(としご)は、母体にリスクがあります。

多胎妊娠とは2人以上同時に妊娠することです。双子や三つ子、それ以上の数を同時に妊娠しているのを総称して、多胎妊娠といいます。妊娠8週目頃にエコー検査でわかります。

原因のすべては解明されていません。一部判明している原因として、不妊治療があります。

不妊治療の普及により、近年は多胎妊娠の数が増えています。

年子とは、連続した年に同じ母体から生まれた赤ちゃん。赤ちゃん達は、数え年で1つ違いです。
いつまでに、後の赤ちゃんが生まれれば年子かといえば、先に生まれた赤ちゃんが1歳11ヵ月になるまでです。年子は必ずしも1学年差とは限りません。先に生まれた子の月日に、左右されるからです。

たとえば、先に生まれた子と年子が、同学年の場合を説明します。先に生まれた子が4〜5月頃に生まれたとしましょう。その後、すぐに妊娠し、次の年の4月1日までに出産すれば、同学年になります。

双子・年子は母体にどんなリスクがあるのかを見ていきましょう。妊娠中の過ごし方や、生まれてきてくれる赤ちゃんのための準備に役立てていただければ幸いです。

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多胎妊娠の母体リスク

多胎妊娠は単胎妊娠(たんたいにんしん)※1と比べ、

  • つわりが重い
  • 早産
  • 妊娠高血圧症候群
  • 妊娠糖尿病
  • バニシングツイン

になりやすいとされています。

1人妊娠するのと比べ、2人以上の妊娠は母体に負担がかかりやすいからです。

赤ちゃんの場合も、2人以上は1人の赤ちゃんと比べて、身体が小さく生まれる傾向にあります。
しかし、生まれた後の発達は変わらないとされています。3〜6歳までには単胎妊娠で生まれた赤ちゃんの成長に追いつくとされています。

※1 単胎妊娠:1度の妊娠につき、1人妊娠していること。

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つわり

多胎妊娠のつわりは、重くなりやすいとされています。つわりとは、妊娠5週目あたりから起こる、消化器系の異常です。

具体的な症状は、

  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 嘔吐

多くの妊婦さんは、妊娠12週〜16週前後まで症状が続きます。しかし、個人差があり、妊娠後期にもつわりのある妊婦さんもいらっしゃいます。

つわりが重くなる理由

単胎妊娠と比べ、多胎妊娠は、

  • ホルモンの分泌量(絨毛性ゴナドトロピン)が増える
  • 子宮を大きくする必要がある

絨毛性ゴナドトロピン(hcG)は、妊娠を維持する働きをしています。くわえて、つわりを引き起こすホルモンです。

子宮を大きくする理由は、2人以上赤ちゃんを入れるためです。子宮が大きくなったぶん、そのしわ寄せが母体にくるので、つわりが重くなります。たとえば、大きくなった子宮により、胃の動きが悪くなり、吐き気や嘔吐に繋がりやすくなります。

多胎妊娠の母体リスク

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早産

多胎妊娠で早産のリスクが高くなる理由は、大きくなった子宮です。大きくなった子宮は、切迫早産を促進しやすくなります。切迫早産とは、早産一歩手前の状態です。

早産は、正期産より前に出産することをいいます。正期産は妊娠37週0日から妊娠41週6日までで、この期間に生まれるのが正常です。

早産で、赤ちゃんは合併症や感染症のリスクが高くなります。赤ちゃんの身体も小さく、臓器や器官が未成熟だからです。

妊娠高血圧症

妊娠高血圧症とは、妊娠時に高血圧を発症した場合をいいます。発生率は、妊婦さんの20人に1人の割合です。妊娠34週未満で、妊娠高血圧症を発症すると、重症化しやすいとされています。

母体の症状として、

  • 高血圧
  • 蛋白尿
  • けいれん発作(子癇:しかん)
  • 脳出血
  • 肝臓・腎臓の機能障害
  • HELLP症候群

HELLP症候群とは、妊娠の後半に発症しやすい疾患です。赤血球の破壊や血小板の減少が起こります。治療が遅れた場合、命にかかわることもあります。

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妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は、妊娠中に糖尿病になり、かつ妊娠中にのみ、糖尿病の症状がでる人とされています。

注意点として、妊娠前から糖尿病の人は含まれません。さらに妊娠中に、糖尿病となった場合でも、妊娠後も糖尿病が改善しないと診断された人も妊娠糖尿病ではありません。

妊娠糖尿病の原因として、多胎妊娠は単胎妊娠よりも血糖値が下がりにくい身体になります。
妊娠により、身体のインスリン※2抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態)が上がってしまうからです。

※2 インスリン:血糖値を下げる役割をするホルモン。

バニシングツイン

バニシングツインとは、お腹の中で双子だった赤ちゃんが、一人消えて見える現象。

実際に消えたとされる赤ちゃんは お腹の中で亡くなっています。亡くなった後、子宮に吸収されるので消えて見えます。

バニシングツインは、妊娠6〜8週頃の妊娠初期に多くみられます。バニシングツインの発生確率は、双子の妊婦さんの約15%で、初期流産と同じ割合です。

近年、体外受精により、双子の確率が上がっています。それに伴い、バニシングツインの症例も増えました。

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バニシングツインによる、母体と赤ちゃんへの影響

胎児が子宮に吸収されても母体に大きな影響はないと言われています。影響のでる可能性があるのは、 バニシングツインで消失しなかった方の赤ちゃんです。

とくに、一卵性双生児として妊娠した場合には、

  • 低体重
  • 脳への障害
  • 死産

のリスクがあります。

一卵性双生児とは

一卵性双生児は、双子の赤ちゃんのDNAが同じ。性別や顔が同じであるケースです。
一卵性双生児で、胎盤と羊膜の数が異なる場合もあります。

胎盤とは赤ちゃんと母体をつなぐもの。胎盤を通して、赤ちゃんに栄養を与える役割をします。
胎盤の数は1人1つ、2人で1つのケースがあります。

羊膜とは赤ちゃんを包み込んでいるもの。母体中の赤ちゃんの部屋ともいえます。この赤ちゃんの部屋が1人1部屋なのか、2人で1部屋のケースにわかれます。

一卵性双生児で、さらにリスクが高くなる場合

1つの胎盤を共有し、2人で部屋が1つしかない場合、リスクは高くなります。1絨毛膜1羊膜双胎(いちじゅうもうまくいちようまくそうたい)とも言われます。

リスクが高くなる理由は、

  • 栄養の配分がうまくいかない
  • へその緒がからまりやすい

1つの胎盤から、バランスよく2人の赤ちゃんに栄養を行き届かせるのは難しいです。たとえば、片方の赤ちゃんには脳に栄養が足りていない、もう一方では、低体重であるなど。

へその緒がからまると、血液は酸素の巡りが悪くなり、赤ちゃんの突然死に繋がりやすくなります。ゴムホースなどと一緒で、からまったままだと中を移動する液体が少なくなったり、詰まってしまったりします。ただ、母体にあまり影響がでないので、検査するまで気づかないでしょう。

多胎妊娠

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双子のNIPT(新型出生前診断)はヒロクリニック

ヒロクリニックNIPTは双子のNIPT(新型出生前診断)を受けられる、数少ないクリニックです。現状、すべての病院やクリニックで診断を受けられるわけではありません。

バニシングツインであっても、ヒロクリニックNIPTNIPT(新型出生前診断)を受けられます。

バニシングツインのNIPT(新型出生前診断)の結果ついて

注意点として、バニシングツインのNIPT(新型出生前診断)では、

  • 偽陽性
  • 偽陰性
  • 性別の不一致

の可能性が通常よりも高くなります。

消えてしまった方の赤ちゃんのDNAが残っていると、NIPT(新型出生前診断)の結果に影響するからです。

結果に影響するのは、二卵性双生児のケース。二卵性の場合、2人の赤ちゃんのDNAが異なるからです。

たとえば、残っている方の赤ちゃんのDNAを調べたいとしましょう。しかし検査のとき、採取できたのが消えてしまった赤ちゃんのDNAの場合、残っている方の赤ちゃんの情報は調べられません。DNAを採取するとき、DNAの配列を調べるまでは、どちらの赤ちゃんのDNAなのかを識別できないため、検査の不具合が起こります。

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年子の母体リスク

年子の母体のリスクは、

  • 早産になりやすい
  • 母体の死亡率が上がる

さらに、赤ちゃんが死産になるリスクも上がります。理由は、出産で受けた母体のダメージが回復しないうちに、妊娠するからです。

授乳をしていない場合、出産から4週〜8週後に、生理(月経)がはじまります。生理がはじまると、母体は次の妊娠ができる状態です。

しかし、母体のダメージを回復するため、次の妊娠をするまでに12ヵ月〜18ヵ月の期間が推奨されています。

早産

年子の妊娠に加え、妊婦さんの年齢が高い程、早産のリスクは上がります。

しかし、35歳未満の女性でも、年子で早産のリスクは上昇します。前回の出産から12ヵ月以内の妊娠は、すべての年代の女性にとってリスクがあるとされています。

出産から期間を空ければ、早産の確率は減る

ブリティッシュ・コロンビア大学とハーバード公衆衛生大学院の共同研究は、カナダで15万件近くの出産事例について調査しました。

その結果、出産から6ヵ月以内に妊娠すると、早産の可能性が8.5%上昇するとされました。しかし、18ヵ月の妊娠であれば、早産のリスクが3.7%まで低下すると報告されています。

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母親の死亡率

年子でない妊娠と比べ、年子の妊娠による母体の死亡率は上昇します。なぜなら、出産による母体へのダメージは、1年未満では回復しきらないからです。

ブリティッシュ・コロンビア大学とハーバード公衆衛生大学院の共同研究において、出産と妊娠の期間は母体の死亡率との関連が深いと報告されています。

前回の出産より6ヵ月後に妊娠した35歳以上の女性の、死亡率・危害リスクは1.2%。妊娠1000人あたり12例です。しかし、前回の出産から18ヵ月待って妊娠すると、0.5%まで減少すると報告されています。

くわえて、WHOのガイドラインにおいても、出産から次の妊娠までの期間を18ヵ月以上あけるのを推奨されています。

年子の妊娠が危険なケース

年子の妊娠はリスクがあります。

くわえて、

  • 前回の出産で帝王切開をした
  • 高齢出産(35歳以上)

の妊婦さんは、さらにリスクが上がるとされています。本項目では、上記2つの条件で年子を妊娠したとき、どのようなリスクがあるかを解説します。

帝王切開後

帝王切開をした後、年子を妊娠すると子宮破裂の可能性があります。たとえば、陣痛や、子宮が増大した場合に、子宮破裂の可能性があります。子宮破裂が起きると、赤ちゃんの死亡率80%、母体死亡率1-2%と予後不良とされています。

高齢での出産

高齢での出産は、母体への負担が大きくなります。出産後の身体機能の回復にくわえ、先に生まれた赤ちゃんの育児と、年子の妊娠が重なるからです。

高齢での出産を検討中ならNIPT(新型出生前診断)

NIPT(新型出生前診断)をおすすめする理由は、赤ちゃんを迎える準備をするためです。

高齢妊娠の場合は、疾患を持ちながら生まれてくる赤ちゃんの数が多いとされています。高齢の妊婦さんですと染色体異常の起こる確率が高いからです。

染色体異常とは、遺伝子の異常ともいえます。遺伝子に異常があると、人の身体で本来作られるべきものが作られなくなったり、量が足りなくなったりします。

その結果引き起こされるのが、さまざまな疾患です。染色体異常による代表的な疾患として、ダウン症が知られています。

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まとめ

多胎妊娠・年子は、母子ともにリスクがあります。

生まれてくる赤ちゃんのためにもNIPT(新型出生前診断)をおすすめいたします。多胎妊娠・年子によって、母体にかかる負担が染色体異常を起こしやすいからです。

NIPT(新型出生前診断)とは、エコー検査で妊娠が確認できたらすぐにできる検査です。胎児へのダメージが少ない非侵襲性出生前遺伝学的検査と呼ばれています。赤ちゃんが生まれつきもつ疾患の可能性や、性別を判定できます。

生まれてくる赤ちゃんのため、親として入念な準備をしたい人のニーズに応えるのが、NIPT(新型出生前診断)です。

【参考文献】

多胎妊娠・年子で、母体にどのようなリスクがあるのかを知らなければ、母体の死亡・赤ちゃんの死産に繋がりやすくなります。 しかし、リスクや注意点を知っておくと、妊娠中の行動が変わり、無事に出産を迎えやすくなるでしょう。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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