羊水検査は確定的な検査とは言われておりますが、どんな検査でも100%の正診率というのはありません。ダウン症候群の羊水検査の場合で説明していきます。
ダウン症の型と羊水検査が誤診となるパターン
ダウン症候群の染色体の異常は、トリソミー型(標準型):94%、転座型:5%、モザイク型:1%に分類されます。
この中でモザイク型の場合、羊水検査結果と出生児の診断が異なる場合が、稀に認められます。染色体モザイクには、真性モザイクと偽性モザイクがあります。
偽性モザイクと真性モザイク
偽性モザイクとは、羊水を採取した後の培養の過程で生じるものであり、胎児は正常です。
真性モザイクの場合は、胎児が染色体異常と正常の細胞を持っております。このとき、羊水検査の時に正常と異常の両方の細胞が見つかれば、モザイク型の診断が可能です。
しかし培養の過程で正常細胞のみ増えてくる場合や、両方の細胞が増えても正常の細胞しか検出されなかった場合には、出生後初めて染色体モザイクの児であることが判明する場合があります。つまりこのような場合には、羊水検査で正常と診断されても、生まれてみてダウン症候群と診断されることがあります。
多胎妊娠
そのほか多胎妊娠の場合、別の胎児の羊水を検査したつもりでも実は同一児であり、異常児の診断を誤らせることも可能性としてはあります。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業