角膜内皮性異栄養症

概要

Fuchs角膜内皮変性症は原発性に角膜内皮が障害され、進行性に内皮 細胞数の減少をきたす疾患であります。正常人でも角膜内皮は老化とともに漸減していくが、F症では内皮細胞数の異常減少とともに細胞の形態異常も伴い、進行す ると水疱性角膜症となり視力は手動弁ないし光覚弁にまで低下します。

Fuchs角膜内皮変性症には民族差があり、白人に多く日本では稀とさ れ、また、男性より女性に多いとされています。Fuchs角膜内皮変性症の正確な有病率は不明であるが、本研究班による平成21年度の臨床調査の集計結果か ら、眼科外来受診者計29,186例のうち、Fuchs角膜内皮変性症は31例で、病院ベースでの有病率は0.11％でした。

原因

Fuchs角膜内皮変性症の一部は優性遺伝形式をとるといわれていますが、女性に多いなど優性遺伝では説明のつかない遺伝形式もみられ、また原因遺伝子もはっきりしていません。老化や環境因子など、多因子疾患である可能性も考えられます。

症状

両眼性に角膜浮腫による混濁が進行し、最終的には水疱性角膜症に至り、 手動弁ないし光覚弁にまで視力が低下します。また、角膜浮腫に伴い角膜上皮びらんを生じやすくなり、眼痛をくりかえします。角膜内皮面の滴状角膜とよばれる所見 が特徴的ですが、本研究班の調査により、滴状角膜があっても水疱性角膜症に進行しにくい疾患群：無症候性滴状角膜（Asymptomatic guttata cornea)の存在の可能性も見出されています。