概要
幼児期から始まる筋力低下・動揺性歩行・登攀性歩行・仮性肥大を特徴とするX連鎖劣性遺伝病.筋ジストロフィー症の中でもっとも頻度が高いです。原因はX染色体上のジストロフィン遺伝子変異で、これにより筋細胞の骨格タンパクであるジストロフィンの機能異常が生じ、筋線維に大小不同や脱落が生じます。遺伝子異常の多くはPCR法で迅速に検出できます.患児で診断が確定すれば、出生前診断も技術的には可能であるが、実地の差異は十分な倫理的配慮が望まれます。
原因
X染色体上のジストロフィン遺伝子変異で、これにより筋細胞の骨格タンパクであるジストロフィンの機能異常が生じ、筋線維に大小不同や脱落が生じます。 遺伝子異常の多くはPCR法で迅速に検出できます。 患児で診断が確定すれば、出生前診断も技術的には可能であるが、実地の差異は十分な倫理的配慮が望まれます。
症状
運動機能低下を主症状とします。ジストロフィン異常症や肢帯型は動揺性歩行などの歩容異常、階段昇降困難、易転倒性といった歩行障害で発症します。顔面肩甲上腕型では上肢挙上困難、筋強直性ジストロフィーはミオトニア現象や握力低下などで発症します。
先天性筋ジストロフィーでは出生早期からフロッピーインファントや運動発達遅滞を呈するが、殊に福山型では知的発達障害、けいれん発作、網膜剥離などの眼合併症を認めます。病型によっては眼筋障害による眼瞼下垂や眼球運動障害、顔面筋・咽頭筋障害による摂食・嚥下機能障害、運動後の筋痛などの症状を表します。筋強直性ジストロフィーでは消化管症状、インスリン耐性、白内障、前頭部禿頭などの多彩な症状がみられます。
一般に病気の進行に伴い傍脊柱筋障害による脊柱変形や姿勢異常、関節拘縮や変形を伴うことが多です。歩行機能の喪失、呼吸筋障害や心筋障害による呼吸不全・心伝導障害・心不全の合併はADL、QOLや生命予後に大きく影響します。
治療
いずれの病型においても根本的な治療法はない。デュシェンヌ型に対する副腎皮質ステロイド薬の限定的効果、リハビリテーションによる機能維持、補助呼吸管理や心臓ペースメーカーなどの対症療法にとどまります。
【参考文献】
難病情報センター – デュシェンヌ型筋ジストロフィー