網膜色素変性症 26

網膜色素変性症 26網膜色素変性症 26

概要

遺伝子変異が原因で網膜の視細胞及び色素上皮細胞が広範に変性する疾患である。初期には、夜盲と視野狭窄を自覚します。徐々に進行し、老年に至って社会的失明(矯正視力約0.1以下)となる例も多いが、生涯良好な視力を保つ例もある。進行に個人差が大きいです。視細胞のうち杆体細胞のみの変性を杆体ジストロフィ、杆体細胞と錐体細胞両者の変性を杆体錐体ジストロフィと称します。

疫学

網膜色素変性症は通常4,000人から8,000人に一人発症すると言われています。網膜色素変性症は遺伝子の変異でおこる病気です。実際には明らかに遺伝が認められる患者さんは全体の50%程度で、残りの50%では親族に誰も同じ病気の方がいません。

遺伝が認められる患者さんのうち最も多いのは 常染色体潜性遺伝(劣性遺伝) を示すタイプでこれが全体の35%程度、次に多いのが 常染色体顕性遺伝(優性遺伝) を示すタイプでこれが全体の10%、最も少ないのが X連鎖性遺伝 (X染色体潜性遺伝(劣性遺伝))を示すタイプでこれが全体の5%程度となっています。

原因

遺伝子変異が原因で網膜の視細胞及び色素上皮細胞が広範に変性すると考えられています。

PEX2遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

両眼性です。進行は緩徐で、(1)夜盲(2)視野狭窄(3)視力低下、後期には色覚異常や光視症、羞明などを自覚します。

治療

現時点では治療法が確立されていない。遺伝子治療、人工網膜、網膜再生、視細胞保護治療などについて研究が推進されています。本症に合併する白内障や黄斑浮腫に対しては、通常の治療法が行われています。根治を期待できる治療として、子供のころから発症する重症な、RPE65遺伝子の変化でおこる網膜色素変性症に対する遺伝子治療薬「ルクスターナ」(一般名:ボレチゲン ネパルボベク)が、2023年6月に日本で承認されました。

【参考文献】

難病情報センター – 網膜色素変性症