妊娠中の自転車は控えた方がいいと一般的には言われますが、使わざるを得ない場合も多くあるのではないでしょうか。このページでは、妊娠中に自転車に乗ることで生じるリスクと、やむを得ず使用する場合の注意点についてご説明します。
この記事のまとめ
妊娠初期は、多くの妊婦さんにつわりの症状があらわれます。つわりで体調が悪いと注意力が低下し、自転車で転倒したり、事故に遭ったりする可能性が高まります。妊娠中期は体調も安定していきますがおなかも大きくなってくるので体全体の重心なども少しずつ変化していきます。自転車に乗るときのバランスにも注意が必要です。妊娠後期には、中期以上にお腹が大きくなります。自転車でバランスを取るのが大変難しくなり、転倒のリスクが非常に高くなります。
はじめに
妊娠中に自転車に乗るのは一般的には良くないと言われているため、第一子の妊娠時は控える方が多いといいます。しかし一方で通勤時に必要であったり、第二子以降の妊娠では子供の保育園、幼稚園の送り迎えなどで、乗らざるを得ない状況にあったりする場合も多くあるのではないでしょうか。やむを得ず乗る場合にいつまで乗って良いか迷う方もいるかもしれません。
このページでは、妊娠中に自転車に乗ることで生じるリスクと、乗る際の注意点についてご説明します。
妊娠中に自転車に乗ると、どんなリスクがある?
妊娠中に自転車に乗ると、どのようなリスクが生じるのでしょうか。やはり、転倒してお腹をぶつけたりしてしまうことが大きなリスクになります。
妊娠中は、さまざまな理由で自転車での転倒リスクが高まるので、普段乗り慣れている方でも注意が必要なのです。
妊娠時期別に詳しくみていきましょう。
妊娠初期
妊娠13週6日までの期間を妊娠初期といいます。
つわりや脳貧血による注意力の低下
妊娠初期は、多くの妊婦さんにつわりの症状があらわれます。つわりで体調が悪いと注意力が低下し、自転車で転倒したり、事故に遭ったりする可能性が高まります。
また、妊娠初期はホルモンの分泌が大きく変化することで、自律神経が不安定になることがあります。その場合、血圧のコントロールが不十分になり、脳に血液が十分量届かず、脳貧血と呼ばれる症状が出ることがあります。脳貧血は立ち眩みのような症状が出るので、自転車運転時にこの症状が出ると大変危険です。
転倒が直接的に出血や流産を起こす原因になることはあまりないと考えられていますが、衝撃が大きい場合は胎児に影響を与える可能性もあります。
また、大きな事故で手術が必要になると、母体、胎児ともに大きな負担となってしまいます。
NIPT(新型出生前診断)は妊娠初期から
妊娠中に、お腹の赤ちゃんのことが知りたい方、無事に生まれてくるか不安な方は多くいらっしゃるでしょう。そんなときに、妊娠中にお腹の赤ちゃんの染色体異常について調べることができる出生前診断があります。
出生前診断は大きく確定検査と非確定検査に分けられます。
羊水検査や絨毛検査は確定検査ですが、羊水や絨毛を採取して検査するため、流産や死産のリスクを伴います。
非確定検査には、NIPT(新型出生前診断)、コンバインド検査、母体血清マーカー検査などがあります。ヒロクリニックNIPTでは、21番染色体(ダウン症)の検査において感度・特異度ともに99.9%と高い精度で調べることが可能です。
エコー検査で妊娠が確認できたらすぐに受けることができ、検査方法も母体からの採血なので、流産などの心配もありません。
お腹の赤ちゃんのことを早く知りたい方、不安がある方は検討してみてはいかがでしょうか。
妊娠中期
妊娠14週〜27週までの期間を妊娠中期といいます。
安定期でも油断禁物
安定期に入る頃には、つわりの症状が落ち着き、体調が安定してくる方も多いのですが、脳貧血のリスクは続きます。
また、この頃にはお腹も大きくなってきます。体全体の重心なども少しずつ変化していきますので、自転車に乗るときのバランスにも注意が必要です。
なお、自転車に乗った時の振動が、子宮に伝わると、刺激されてお腹が張ってしまう場合があります。こうしたお腹の張りがただちに切迫流産、切迫早産につながるわけではありませんが、注意をした方がいいでしょう。
安定期と言われる妊娠中期でも自転車の運転は、油断禁物です。
妊娠後期
妊娠28週〜の期間を妊娠後期といいます。
お腹が大きくなり転倒する危険
妊娠後期には、中期以上にお腹が大きくなります。自転車にまたがる体勢を取るのも難しくなる場合も少なくないでしょう。
お腹が大きく重いため、自転車でバランスを取るのが大変難しくなり、転倒のリスクが非常に高くなります。
また、自転車に乗ることで骨盤に歪みが生じ、逆子のリスクが上がる可能性も指摘されています。
臨月
破水や陣痛
臨月は、陣痛や破水がいつ起きてもおかしくない時期です。自転車に乗っている間に陣痛や破水が起こると、大変危険です。
走行中に陣痛や破水が起こってしまった場合、転倒の危険も高まりますし、産院に到着するのが遅くなってしまうことも考えられます。
妊娠中に自転車に乗る際の注意点
悪天候の時は乗らない
妊娠中は、つわりなどの症状で注意力が低下しやすくなります。また、脳貧血やお腹が大きくなることで、ふらつきなども起こしやすくなります。
雨や雪などの悪天候時は、路面がいつも以上に滑りやすくなるため、自転車に乗るのは控えるようにしましょう。
スピードは控えめに
妊娠中は注意力が低下するため、咄嗟の判断力が低下します。妊娠していない時より、事故に遭ってしまったり、事故を起こしてしまったりするリスクが高まりますので、スピードは控えめにして運転するよう心がけましょう。
サドルの高さを調整する
自転車のサドルが高いと、停車がしづらくなるとともに、停車時のバランスも取りづらくなります。
妊娠中に自転車に乗る場合は、かかとからつま先までしっかり足がつく高さにサドルを調整するようにしましょう。
服装に気を付ける
妊娠中は、お腹を締め付けないため、ワンピースなどの服を選ぶことが増えると思います。しかし、ワンピースなどのスカートでは自転車の運転がしづらくなります。パンツスタイルなど、自転車の運転がしやすいものを選択するようにしましょう。
ガタガタする道や段差のある道を避ける
ガタガタする道や段差のある道では、振動が子宮に伝わりやすくなります。また、走行時のバランスを崩しやすくもなるので、転倒のリスクも上がります。
やむを得ず自転車に乗る場合は、ガタガタする道や段差のある道を避けるようにしましょう。
交通量の多い道は避ける
交通量の多い道では、衝突事故や転倒が起こるリスクも高くなります。妊娠中は、できるだけ交通量の少ない道を選ぶようにしましょう。
お腹に負担がかからない自転車を選ぶ
自転車走行時に前かがみになると、お腹に圧力がかかってしまいます。前かがみになってしまうような自転車は避け、ハンドルが高い位置にあり、姿勢を伸ばして乗ることができる自転車を選ぶようにしましょう。
自転車の点検・メンテナンスを行う
妊娠中に自転車で転倒したり、事故を起こしたりするのは避けなければなりません。長年使っている自転車ですと、ブレーキが利きづらくなったりしている場合もあります。妊娠中に自転車を使用する場合は、早めに自転車安全整備店などで、整備してもらうようにしましょう。
時間に余裕をもって出発する
妊娠中に自転車を運転するときは、スピードを落とし、いつも以上に注意して運転する必要があります。慌ててしまい、注意力散漫にならないためにも、時間に余裕をもって乗るようにしましょう。
まとめ
妊娠中に自転車に乗る場合の注意点についてお伝えしました。妊娠中の自転車の使用はできれば控えることが理想ですが、使わざるを得ない場合も多くあるといいます。
やむを得ず乗る場合は、妊娠時期別にどのようなリスクがあるか把握したうえで、注意して安全運転で乗るようにしましょう。
妊娠中の自転車は控えた方がいいと一般的には言われますが、使わざるを得ない場合も多くあるのではないでしょうか。このページでは、妊娠中に自転車に乗ることで生じるリスクと、やむを得ず使用する場合の注意点についてご説明します。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業