概要
ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症は、体がアミノ酸、脂質、およびコレステロールを適切に処理できない遺伝性疾患です。この障害を持つ人は、メチルマロン酸血症とホモシスチン尿症という複合症状を呈します。ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症という複合症状の徴候と症状は、通常、乳児期に発症しますが、どの年齢でも発症する可能性があります。
ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症はMMACHC、MMADHC、LMBRD1、ABCD4、またはHCFC1のいずれかの遺伝子の変異によって引き起こされますが、このうちcblC型は(Methylmalonic Aciduria and Homocystinuria, Type cblC)は、MMADHC遺伝子の変異によって発症します。
疫学
現在までに、500を超えるcblC型の症例が報告されており、ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症の最も頻繁なタイプとなっています。
原因
cblC型は、MMACHC遺伝子の変異によって引き起こされます。
MMACHC遺伝子の変異は、ビタミンB12の代謝に影響を及ぼし、アデノシルコバラミン(AdoCbl)とメチルコバラミン(MeCbl)という補酵素が不足します。AdoCblがないと、タンパク質と脂質は適切に分解されません。タンパク質と脂質は適切に分解されず、メチルマロン酸血症を引き起こします。また、MeCblがないと、ホモシステインがメチオニンに変換されず、ホモシスチン尿症を発症します。
症状
出生前に発症すると、子宮内胎児発育遅延が認められることがあります。出生後は、摂食が困となり、巨赤芽球性貧血(蒼白、倦怠感、食欲不振)、小頭症、発達の遅れ、および知的障害を呈することがあります。症状は時間の経過とともに悪化し、治療しないと生命を脅かす可能性があります。
治療
急性期・急性増悪時には、気管内挿管、人工換気、ブドウ糖を含む輸液、代謝性アシドーシスの補正、水溶性ビタミンの投与、高アンモニア血症の薬物療法、血液浄化療法などが必要となります。また、早期発症の重症例を中心に生体肝移植を考慮します。
慢性期には、ビタミンB12の投与、バリン・イソロイシン・メチオニン・スレオニン・グリシン除去ミルクを使用した食事療法などがおこなわれます。
予後
早期発症の重症例の予後は不良です。対症療法でQOLが向上する症例もありますが、肝移植後にもかかわらず急性代謝不全や中枢神経病変進行などが発症することもあり、また肝移植によって代謝コントロールが改善しても、腎組織障害は進行し、末期腎不全に至ることもあります。
【参考文献】
- 難病情報センター – メチルマロン酸血症(指定難病246)
- Medline Plus – Methylmalonic acidemia with homocystinuria
- orphanet – Methylmalonic acidemia with homocystinuria, type cblC