ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症cblD型

ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症cblD型ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症cblD型

概要

ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症は、体がアミノ酸、脂質、およびコレステロールを適切に処理できない遺伝性疾患です。この障害を持つ人は、メチルマロン酸血症とホモシスチン尿症という複合症状を呈します。ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症という複合症状の徴候と症状は、通常、乳児期に発症しますが、どの年齢でも発症する可能性があります。

ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症はMMACHC、MMADHC、LMBRD1、ABCD4、またはHCFC1のいずれかの遺伝子の変異によって引き起こされますが、このうちcblD型(Methylmalonic Aciduria and Homocystinuria, Type cblD)は、MMADHC遺伝子の変異によって発症します。

疫学

現在までに、17例のcblD型が報告されています。

原因

cblD型は、MMADHC遺伝子の変異によって引き起こされます。

MMADHC遺伝子の変異は、ビタミンB12の代謝に影響を及ぼし、アデノシルコバラミン(AdoCbl)とメチルコバラミン(MeCbl)という補酵素が不足します。AdoCblがないと、タンパク質と脂質は適切に分解されません。タンパク質と脂質は適切に分解されず、メチルマロン酸血症を引き起こします。また、MeCblがないと、ホモシステインがメチオニンに変換されず、ホモシスチン尿症を発症します。

MMADHC遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

臨床症状は非常に多様です。この障害は、乳児期初期から小児期後期にかけて発症し、発達遅延、重度の学習障害、発作、運動および歩行異常、行動上の問題、巨赤芽球性貧血の(蒼白、倦怠感、食欲不振)などがあります。

治療

急性期・急性増悪時には、気管内挿管、人工換気、ブドウ糖を含む輸液、代謝性アシドーシスの補正、水溶性ビタミンの投与、高アンモニア血症の薬物療法、血液浄化療法などが必要となります。また、早期発症の重症例を中心に生体肝移植を考慮します。

慢性期には、ビタミンB12の投与、バリン・イソロイシン・メチオニン・スレオニン・グリシン除去ミルクを使用した食事療法などがおこなわれます。

予後

早期発症の重症例の予後は不良です。対症療法でQOLが向上する症例もありますが、肝移植後にもかかわらず急性代謝不全や中枢神経病変進行などが発症することもあり、また肝移植によって代謝コントロールが改善しても、腎組織障害は進行し、末期腎不全に至ることもあります。