ナバホ神経肝障害(MPV17関連の肝脳ミトコンドリアDNA枯渇症候群)

ナバホ神経肝障害(MPV17関連の肝脳ミトコンドリアDNA枯渇症候群)ナバホ神経肝障害(MPV17関連の肝脳ミトコンドリアDNA枯渇症候群)

概要

ナバホ神経肝障害(MPV17関連肝脳型ミトコンドリアDNA枯渇症候群/Navajo Neurohepatopathy [MPV17-related Hepatocerebral Mitochondrial DNA Depletion Syndrome])は、典型的には、乳児期発症の肝機能障害(肝不全に至る)、神経学的病変、成長障害、乳酸アシドーシスや低血糖発作などの代謝異常を特徴とします。また、腎尿細管障害、副甲状腺機能低下症、角膜無感覚症、消化管運動障害などを呈すことがあります。

疫学

まれな疾患であり、ナバホ神経肝障害の7家族を含む、約30例が科学文献に記載されています。米国南西部のナバホネーション内では、新生児1,600人に1人に発生すると推定されています。

原因

MPV17遺伝子の変異が、ナバホ神経肝障害を引き起こします。MPV17遺伝子から生成されるタンパク質は、ミトコンドリアの内膜にあります。ミトコンドリアには、ミトコンドリアDNA(mtDNA)と呼ばれる独自のDNAが含まれています。MPV17タンパク質はmtDNAの維持に関与しているといわれ、十分な量のmtDNAを持つことは、細胞内のエネルギー生産に不可欠です。

MPV17遺伝子変異は、mtDNAの維持に問題を引き起こし、ミトコンドリアDNA枯渇が起こります。ミトコンドリアDNAの枯渇は、特に脳、肝臓、その他のエネルギーを必要とする組織のミトコンドリア機能を損ないます。細胞で利用できるmtDNAが少ないほど、ナバホ神経肝障害の症状がより深刻になります。

MPV17遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

乳児期に始まり、通常、嘔吐、下痢、成長障害などの症状を呈し、乳酸アシドーシスと低血糖を起こします。そして生後数週間以内に、肝疾患を発症し、すぐに肝不全に進行します。。肝疾患の発症後、多くの患児は、発達遅延、筋緊張低下、および末梢神経障害を発症します。

診断

肝症状、神経症状、成長障害、乳児期早期の代謝障害などの臨床症状から診断します。

治療

肝不全に対しては肝移植が唯一の治療法です。二次合併症の予防としては、食事を十分にとり、栄養障害が起こらないようにします。

予後

進行性の肝疾患により乳児期もしくは小児期早期に死亡することが多いです。肝細胞癌も報告されています。