概要
アスパルチルグルコサミン尿症(Aspartylglycosaminuria)は、約30種あるライソゾーム病の一つで、アスパルチルグルコサミニダーゼが欠損することにより生じる、常染色体劣性疾患です。ライソゾームの中には数多くの分解酵素が存在していますが、この分解酵素の一つが先天的に欠損しているために起こる病気がライソゾーム病となります。
疫学
病気の割合は、0.005%といわれます。
原因
アスパルチルアミノグルコシダーゼの全身性遺伝的欠損によって引き起こされます。
通常、このライソゾーム酵素であるアスパルチルアミノグルコシダーゼは、オリゴ糖や糖蛋白質のN-アセチルグルコサミンとアスパラギン間の結合を切断する働きを持っています。この酵素の活性が低下することにより、分解されないオリゴ糖や糖蛋白質がライソゾームに蓄積します。それにより患者に、易感染、精神発達遅延、顔貌および骨の異常などの症状が現れます。
症状
2~4歳頃から、てんかん発作、精神運動発達遅延、呼吸器感染症などの症状が現れます。顔貌異常、頭蓋冠肥厚、骨粗鬆症の所見なども特徴的です。
診断
臨床診断では、尿中のアスパルチルグルコサミンの検出とリンパ球の空胞形成が見られることに注意します。確定診断は末梢血白血球と培養皮膚線維芽細胞内のアスパルチルグルコサミニダーゼの測定、またはアスパルチルグルコサミニダーゼの遺伝子検査で可能です。
治療
治療は、症状に対しての支持療法が中心となります。海外では、造血幹細胞移植の報告があります。
予後
病状が進行した場合には、気管切開、人工呼吸器、経管栄養の適応について検討されます。
【参考文献】
- 小児慢性特定疾病情報センター – アスパルチルグルコサミン尿症
- HealthFrom – アスパルチルグルコサミン尿