アロマターゼ欠損症

アロマターゼ欠損症アロマターゼ欠損症

概要

アロマターゼ欠損症(Aromatase Deficiency)は、女性ホルモンのエストロゲンのレベルが低下し、男性ホルモンのテストステロンのレベルが上昇することを特徴とする状態です。二次性徴の欠如と進行性の男性化を認めます。

疫学

これまでに約10家系が報告されています。

原因

胎児の副腎は、副腎性のアンドロゲンを合成し、このアンドロゲンは、硫酸抱合体として胎児の血中に分泌されます。
アンドロゲンの硫酸抱合体は、胎盤の代謝酵素によりテストステロンに転換され、さらにこのテストステロンがアロマターゼによってエストロゲンに転換されて、母体の血中から尿へと排泄されます。
正常な胎盤には十分な量のアロマターゼが存在しているため、テストステロンは全てエストロゲンに転換されて、血中に出現することはありません。
アロマターゼは、CYP19A1遺伝子によって産生の指示が出されます。このCYP19A1遺伝子が変異することによって、アロマターゼ欠損症を引き起こします。
アロマターゼ欠損症の胎児においては、胎盤でのテストステロンからエストロゲンへの転換が起こらず、テストステロンが蓄積することになります。
このテストステロンが母親と胎児の血中に放出されて、強い男性化をもたらすのです。

また、本疾患は、常染色体劣性の遺伝性疾患であることが明らかとなっています。

CYP19A1遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。
原因

症状

アロマターゼ欠乏症の男性と女性は、体がホルモンのインスリンに正しく反応しないため、異常に高い血糖値(高血糖症)を起こす可能性があります。さらに、過度の体重増加と脂肪肝を発症する可能性があります。

治療

二次性徴の欠如の症例には女性ホルモンの補充療法を行います。エストロゲンの投与により、症状は速やかに改善します。

予後

女性ホルモンの補充療法で管理すれば、生命予後は良好です。

【参考文献】