新生児の無呼吸発作とは、一時的に呼吸が止まってしまうことを言います。早産児(37週未満で出生した児)に多く見られますが、正期産児であっても起こることがあるので注意が必要です。今回の記事では、早産児や正期産の新生児の無呼吸発作について解説します。
この記事のまとめ
新生児の無呼吸発作とは、赤ちゃんが呼吸を停止してしまうことを言います。新生児期には、1分前後の規則的な呼吸の後、短時間呼吸を止めることがみられますが、一般的には20秒以上であれば無呼吸発作とされます。無呼吸発作は乳幼児突然死症候群のリスクにもなり、主に早産児で起こることが多いのですが、正期産の赤ちゃんに生じることもあります。
新生児の無呼吸発作とは
新生児の無呼吸発作とは、赤ちゃんが呼吸を停止してしまうことを言います。新生児期には、1分前後の規則的な呼吸の後、短時間呼吸を止めることがみられますが、一般的には20秒以上であれば無呼吸発作とされます。無呼吸発作は乳幼児突然死症候群のリスクにもなりますし、実際に目の前で我が子が無呼吸になっていると、なぜなのかと不安を感じてしまうでしょう。
無呼吸発作は主に早産児で起こることが多いです。しかし、正期産の赤ちゃんに生じることもあります。今回の記事では、早産児や正期産の無呼吸発作の症状・原因・影響について紹介します。
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早産児の無呼吸発作
37週未満で生まれた赤ちゃんが20秒以上呼吸を停止してしまうことを、未熟児無呼吸発作と言います。新生児に見られる無呼吸発作では最も頻度が高いです。早産児の4人に1人が発生するとされており、在胎(お腹の中にいる)週数が短いほど頻度が大きくなります。
新生児期には、1分前後の規則的な呼吸の後、短時間呼吸を止めることがみられることがありますが、未熟児無呼吸発作には含まれません。これは周期性呼吸と言って病的なものではありません。
未熟児無呼吸発作の症状
無呼吸発作を起こす早産児は、普段は正常な呼吸ですが、発作を起こすと20秒以上の呼吸停止を起こします。ただし、20秒以内であっても心拍の低下やチアノーゼを伴えば無呼吸発作といわれます。
無呼吸状態が続くと、心拍数が低下したり、血中の酸素濃度の低下によりチアノーゼを起こして皮膚が青白くなったりします。
未熟児無呼吸発作の原因
呼吸は脳が制御します。早産児の場合、脳の呼吸を司る部分が成熟をしていないと無呼吸発作を起こします。この場合、脳の発達が進むと無呼吸発作は減っていきます。
他にも、気道が細くなっていたり首が曲がっていることによる物理的な閉塞が原因になっていることもあります。
未熟児無呼吸発作は、基本的に早産児であること以外に発作を起こす原因がありません。しかし、感染症や低血糖など他の原因によって無呼吸発作の回数が増えたり悪化する可能性もあります。
正期産の新生児にも起こる無呼吸発作
早産児でよくみられる無呼吸発作ですが、37週以降に生まれた正期産の新生児にも起こります。出産時や出産後に異常が起きると無呼吸発作につながることがあるからです。もちろん胎児である時から異常を持っている可能性も捨てきれません。
未熟児無呼吸発作とは異なり、何らかの基礎疾患が原因であることが多いです。特に、無呼吸発作は重篤な病気の初期症状であることも多いので、気をつける必要があります。
正期産で無呼吸発作が起こる症状
正期産の無呼吸発作の症状は、基本的に早産児と同じです。20秒以上の一時的な呼吸停止、心拍の低下、血中酸素の低下によるチアノーゼなどが挙げられます。
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正期産で無呼吸発作が起こる原因
正期産の無呼吸発作が起こる原因として考えられるものとして代表的なものを以下に示します。もちろんこれ以外にも様々な原因があります。
- 上気道の奇形
- 感染症
- 胃食道逆流
- 気道の閉塞
- 脳の異常
- 代謝の異常
上気道は鼻から喉の奥までの道を指します。これらが生まれつき狭くなっていると姿勢の変化などによって閉塞してしまい、無呼吸発作を起こしてしまうのです。
感染症には百日咳やRSウイルスなど、赤ちゃんがかかりやすい病原菌が原因として挙げられます。敗血症など重篤な感染症を引き起こすと命の危険も出てきます。
胃食道逆流は、胃の内容物が食道に逆流することです。体の異常により起こることも有りますが、授乳中や授乳後の体位を変更すると改善することが多いです。気道の閉塞は物理的な原因です。気道に奇形などがなければ、胃食道逆流と同様に新生児の体の向きに気をつければ改善します。
脳の異常として、呼吸中枢の異常の他にけいれんや脳内出血などが考えられます。代謝性疾患には低血糖や電解質の異常などがあるでしょう。
染色体異常と無呼吸発作
染色体異常による発達障害に伴って、無呼吸発作が生じることがあります。
例えば18トリソミーでは肺の奇形や未発達がみられるため、呼吸をする力が弱く無呼吸につながります。13トリソミーも、新生児期に無呼吸発作を頻繁に起こします。
他にも、遺伝子の変異によって脳がうまく呼吸の指令を出せなくなるような病気もあります。
NIPT(新型出生前診断)
NIPT(新型出生前診断)は、非侵襲性出生前遺伝学的検査であり、妊婦から採血をすることで胎児の染色体異常を調べることができる検査です。
腕から採血した血液で検査ができるので、流産のリスクもなく安全に行えます。さらに、エコー検査で妊娠が確認できたらすぐに検査ができるので、赤ちゃんの状態を早めに知りたいという方にも向いているでしょう。
ヒロクリニックNIPTで行っているNIPT(新型出生前診断)では、主に、21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーについて調べることができます。なので、無呼吸発作を引き起こす18トリソミーや13トリソミーであるかどうかを調べるのに最適です。
新生児の無呼吸発作の治療
無呼吸発作が生じた時は、赤ちゃんを軽く刺激して呼吸を促します。重症でない限りは、これだけで改善することがほとんどです。もし、刺激を与えても呼吸が戻らなければ、呼吸を改善するためのマスクや機械を用います。
頻度が大きい場合は、刺激剤としてカフェインの投与を行います。カフェインは有害性も低く、口から与えることもできるので、無呼吸発作の刺激剤としてよく使われています。
また、無呼吸発作が出現したり悪化したら、原因の病気がないかを調べて、原因がわかれば原因の治療も同時にすすめていきます。
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新生児の無呼吸発作が赤ちゃんへ及ぼす影響
無呼吸発作には様々な原因があり、原因によって赤ちゃんに及ぼす影響も異なります。
早期産が原因で生じている場合は、成長が進むと無呼吸発作は落ち着くことが多いです。しかし、在胎期間が短いほど無呼吸発作が長引く可能性が高くなり、赤ちゃんへの影響も大きくなります。
また、無呼吸発作がいつまで起こるのかは赤ちゃんにより異なります。早期産が原因で有り他に原因がないのであれば、出産予定日+ 3〜4週くらいまでに無くなることがほとんどです。
無呼吸発作の後遺症
よほど重症でない限り、無呼吸発作による後遺症が起こることはほとんどありません。死亡する可能性も低いです。
重症であれば入院する可能性も出てくるでしょう。入院すると人工呼吸器での呼吸補助や薬物の投与を行うこともありますが、発作が落ち着けば比較的スムーズに退院できますし、後遺症もないことが多いです。
まとめ
今回の記事では、新生児の無呼吸発作について解説しました。
無呼吸発作は早産児によく見られますが、正期産でも起こることがあります。原因は早産による脳の未発達、感染症、気道の閉塞など様々です。一般的には成長が進むにつれ発作はおさまります。
ですが、無呼吸発作が長い間続く、発作が頻繁に起こる、1回の発作時間が長いといった場合には要注意です。目で見るだけではわからない異常が原因の場合もありますので、心配なことがあれば医療機関を受診するようにしましょう。
【参考文献】
- MSD プロフェッショナル – 小児科/新生児における呼吸の問題 未熟児無呼吸発作
- 大阪医科大学 – 未熟児無呼吸発作
- 日本小児呼吸器疾患学会雑誌 – 新生児の無呼吸、呼吸障害の診断・管理法
新生児の無呼吸発作とは、一時的に呼吸が止まってしまうことを言います。早産児(37週未満で出生した児)に多く見られますが、正期産児であっても起こることがあるので注意が必要です。今回の記事では、早産児や正期産の新生児の無呼吸発作について解説します。
記事の監修者
新田 啓三先生
ヒロクリニック札幌駅前院 院長
分娩時年齢の高年齢化に伴い、NIPTのニーズは高まっています。
そして今後、NIPTの精度や検査可能な項目もまた、増えていくことと思います。
当院では、そうした今の医療で知り得る、そして知りたい情報を適切に妊婦さんにお伝えする義務があると考えています。
知る権利とともに知らない権利もまた存在します。
「知りたくない情報は知らせない」のもまた医療の義務と考えます。
当院では知りたい情報を選択できます。
どのプランにしたら良いかご相談いただき、是非、ご自身に合った検査を選択してください。
略歴
1996年 埼玉医大総合医療センター
2002年 神奈川県立こども医療センター
2004年 国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院
2010年 横須賀市立うわまち病院
2012年 市立三笠総合病院
2015年 医療法人社団緑稜会ながぬま小児科
2019年 国民健康保険町立南幌病院
資格
アレルギー学会
小児アレルギー学会