妊娠してから出産まで胎児の身体は日々変化していきます。ほんの1mmにも満たなかった受精卵が、約3000gの赤ちゃんに成長するまでの妊娠週数とその過程、そして胎児の健康状態を早期に知るNIPT(新型出生前診断)についてを医師が解説いたします。
妊娠超初期(2週~3週目)の様子
最終月経の開始日を妊娠0週0日として、妊娠週数を数えていきます。なお「妊娠超初期」とは医学用語ではなく、受精卵が子宮内膜に着床するまでの期間を表します。
第1週は正確には妊娠しておらず、最も妊娠しやすい時期のことです。第2週ごろに卵管采(らんかんさい)といわれる卵管の先の方で卵子と精子が結合し、受精卵となります。
のちに赤ちゃんとなる受精卵は1日1回のペースで細胞分裂を繰り返しながら卵管内を通り、約1週間かけて子宮に到達します。第3週ごろ、受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠が成立となります。このときの赤ちゃんの大きさは、まだわずか1mmほどしかありません。
個人差はありますが、受精卵が子宮内膜に着床する際に約1〜2日、出血が続くことがあります。これを「着床出血」といい月経との区別がつきにくいため、妊娠を望む方は最終月経日を確認するなど注意が必要です。
妊娠初期(13週6日まで)の胎児の成長経過
まだまだ赤ちゃんも小さい妊娠初期。しかし、臓器や神経といった重要な器官が形成されるのもこの妊娠週です。また妊娠10週0日よりNIPT(新型出生前診断)が可能となり、赤ちゃんの染色体異常症や先天的疾患などの陽性リスクの可能性を調べることができます。
妊娠2か月(4~7週)の胎児(胎芽)の成長
妊娠4週ごろには、超音波検査で胎のうが確認できるようになります。赤ちゃんの身体の構造が未熟なこの時期、正確にはまだ「胎児」とは呼びません。胎のうの中にいる赤ちゃんは、妊娠8週ごろまでは「胎芽」と呼ばれます。
妊娠5週になると、臓器のもととなる器官やへその緒などが作られます。心臓も形成され、赤ちゃんの身体の各器官へ血液が送られるようになります。妊娠6週になる頃には、超音波検査で赤ちゃんの心臓の動きを見ることもできるようになるでしょう。
妊娠7週ごろの胎児の大きさ
身長約1cm、体重約4g(さくらんぼ1粒くらい)
妊娠3か月(8週~11週目)の胎児の成長
妊娠3か月に入ると、頭と胴体の境や、手足などの四肢、顔のパーツなどもはっきりとし、ヒトらしい姿になってきます。脳の神経細胞が形成され始めるのもこの頃です。週数が進むにつれて、手足の指が分かれてきたり、口や歯ができたり、生殖器が形成されたりといった成長もみられます。妊娠11週をむかえるころには、まぶたや耳、唇も形成され、ますます人間らしい姿へと成長しています。
この週数を超えれば、一般的に早期流産のリスクも下がるとされています。また妊娠10週0日以降となるとNIPT(新型出生前診断)による検査が可能となります。妊娠早期に胎児の健康状態を知りたい方は、NIPT施設や医療機関にNIPT(新型出生前診断)の相談をしてみましょう。
妊娠11週ごろの胎児の大きさ
身長約4cm、体重約30g(いちご1個くらい)
妊娠4か月(12週~)の胎児の成長
妊娠12週を迎えると安定期に入り、つわりの症状がおさまる妊婦さんも多くいらっしゃいます。
胎児は手指も完成し、羊水を飲み吐きしながら呼吸や母乳を飲む練習を始めます。
妊娠14週ごろには身体の器官のほとんどが形成され、以降は皮膚が厚くなったり、筋肉がついてきたりと、少しずつ各機能を発達させます。また15週目は胎盤(胎ばん)が完成する妊娠週です。
妊娠15週ごろの胎児の大きさ
身長約16cm、体重約100g(レモン1個くらい)
妊娠中期(14週0日〜27週6日)の胎児の成長経過
妊娠中期はお腹もふっくらとし、妊婦さんらしい体つきになってくる週数です。お腹の中の赤ちゃんは、さらに身体の各機能を発達させていきます。
妊娠5か月(~19週目)の胎児の成長
赤ちゃんの手指に爪が生えてくる週数です。脳の前頭葉も発達し、お腹の中でより活発に動くように。妊娠18週ごろには頭に髪の毛も生えはじめます。また、胎脂(たいし)と呼ばれる胎児の皮膚を保護する物質が作られ始めるのもこの妊娠週です。胎脂の量には胎児により異なりますが、出産までに赤ちゃんの身体全体を覆うようになります。
胎脂の役割はさまざまです。羊水にいる赤ちゃんの皮膚がふやけないように、また産まれた直後の保温や皮膚感染症を防ぐほか、出産時の潤滑油としての働きを担います。
妊娠19週ごろには赤ちゃんのまつ毛や眉毛も作られ、腎臓や膀胱もほぼ完成します。皮下脂肪もついてふっくらとした体つきになってきますが、まだ頭でっかちなままです。
妊娠19週ごろの胎児の大きさ
身長約20cm、体重約150g(みかん1個くらい)
妊娠6か月(20週~23週目)の胎児の成長
妊娠6か月に入ると、胎児の腎臓も機能するようになり、羊水を飲んでおしっこを排出する練習をするようになります。聴覚も備わってくるので、お母さんの声やお腹の外の音を聞いているかもしれません。
妊娠21週ごろには外性器も完成し、赤ちゃんの向き次第では超音波検査で性別が判別できるように。妊娠22週になると顔立ちもさらにはっきりし、それぞれの臓器もできあがってより活発に機能し始めます。骨や筋肉が発達することで、胎児の体重もどんどん増加します。
妊娠23週ごろの胎児の大きさ
身長約25cm、体重約350g(グレープフルーツ1個くらい)
妊娠7か月(24週~27週目)の胎児の成長
妊娠24週ごろには、赤ちゃんのまぶたが上下に分かれ、まばたきができるように。眼球活動が始まったり鼻の穴が形成されたりと、眼と鼻など顔のパーツの細かな部分もできあがってきます。
脳波が働き始める妊娠26週ごろには、赤ちゃんの意思で体をコントロールできるようになります。味蕾(みらい)といわれる味覚や嗅覚などの感覚器官が発達したり、記憶や感情が生まれたりするのも、この週数とされています。
妊娠27週ごろの胎児の大きさ
身長約30cm、体重約1000g(メロン1個くらい)
妊娠後期(28週~)の胎児の成長経過
妊娠中期までに赤ちゃんの身体の機能はほぼ完成します。出産に向けて約2か月の間に、胎児の体重は倍以上に成長します。
妊娠8か月(28週~31週目)の胎児の成長
妊娠後期とされる妊娠8か月に入るころには、胎児の骨格はほとんど完成しています。筋肉や神経も活発に働くようになり、指を動かすなど細かい動きもできるようになります。胎動も以前より力強く感じるかもしれません。臓器も大人と同じように機能するほど発達しています。
妊娠31週ころまでには頭が下になるような姿勢に落ち着きますが、この週数になっても逆子と診断される場合は、医師や助産師の指導のもと逆子体操などを取り入れるなどすると良いでしょう。
妊娠31週ごろの胎児の大きさ
身長約40cm、体重約1800g(かぼちゃ1個くらい)
妊娠9か月(32週~35週目)の胎児の成長
赤ちゃんの身体はさらに大きくなり、子宮内でも窮屈に感じるようになります。徐々に表情も豊かになるため、超音波検査でかわいらしい顔をみせてくれるかもしれません。
お腹の外でも問題なく呼吸できるよう、妊娠34週ごろには肺も完成します。妊娠35週ごろには睡眠のリズムもできあがり、新生児と同じような感覚で寝起きするように。出産後に備えて皮下脂肪を蓄え、よりふっくらとした体つきになります。
妊娠35週ごろの胎児の大きさ
身長約45cm、体重約2200g(白菜1個くらい)
妊娠10か月(36週~40週目)の胎児の成長
妊娠10か月に入るころには、胎児の成長はほとんど完成しています。出産予定日が近づくころには頭が骨盤に入ることで、胎動を少なく感じることも。脂肪をつけたり、内臓の機能をより成熟させたりと、産まれてからもお腹の外で生活に適応できるよう赤ちゃんも準備しています。
妊娠40週ごろの胎児の大きさ
身長約50cm、体重約3000g(すいか1個くらい)
健やかな妊娠期間のためにNIPT(新型出生前診断)
お腹の目立たない妊娠初期から、赤ちゃんは驚異的なスピードで成長しています。お母さんはその妊娠期間中、つねに赤ちゃんの健康状態を心配することでしょう。しかし、お母さんがお腹の赤ちゃんのために生活環境に気を配ったとしても、染色体異常症や先天的な疾患があることで流産や早産の可能性も少なくありません。
ヒロクリニックNIPTでは妊娠10週0日から、赤ちゃんの染色体異常症や先天的疾患リスクの可能性を調べるNIPT(新型出生前診断)をおこなっております。NIPT(新型出生前診断)とは、母体血液のみの検査となり、赤ちゃんへの直接的な侵襲(ダメージ)は、ほぼないとされています。
NIPT(新型出生前診断)は、一般的な健康診断と変わらない採血による検査法ですが、21トリソミー(ダウン症)の検出において感度99.9%、特異度99.90%の精度とされています。またヒロクリニックNIPTでは、デリケートな妊娠期間を過ごすお母さんのために、問診や同意書はすべてインターネットでおこなっております。
お腹の赤ちゃんの染色体異常症や先天性疾患についてご不安がある方、NIPT(新型出生前診断)についてのご質問はヒロクリニックNIPTまでぜひご相談ください。
【参考文献】
- 保健指導マニュアル – 推定胎児体重と胎児発育曲線
- 公益財団法人 母子衛生研究会 – 妊娠月別 胎児の様子とママのからだ
妊娠してから出産まで胎児の身体は日々変化していきます。ほんの1mmにも満たなかった受精卵が、約3000gの赤ちゃんに成長するまでの妊娠週数とその過程、そして胎児の健康状態を早期に知るNIPT(新型出生前診断)についてを医師が解説いたします。
記事の監修者
岡 博史先生
NIPT専門クリニック 医学博士
慶應義塾大学 医学部 卒業