法律事務所で行う親子鑑定

法律事務所で親子鑑定が行われる場合、通常は法的手続きや証拠の確保を目的として、法的に有効なDNA鑑定を行うための手配がなされます。法律事務所自体が検査を行うわけではなく、信頼できる外部の認定DNA鑑定機関と連携して検査手続きを進めます。以下に、法律事務所を通じた親子鑑定の一般的な手続きの流れを説明します。

1. 鑑定の必要性の確認

まず、法律事務所で弁護士に相談し、親子鑑定が必要であるかどうか、またその法的目的を確認します。主に以下のケースで親子鑑定が必要になることが多いです：

• 認知問題: 父親や母親が子どもの法的な親として認知されているかどうかを確認する必要がある場合。
• 養育費や相続問題: 親子関係が確認されることで、養育費の支払い義務や相続権の有無が決定される場合。
• 移民・ビザ申請: 親子関係を証明することで、移民やビザの申請手続きを円滑に進めるため。

2. 鑑定機関の選定と契約手続き

法律事務所は、信頼できる認定DNA鑑定機関と提携し、その機関に依頼します。親子鑑定に法的効力を持たせるため、鑑定機関は衛生検査所の登録や、法的に認められた基準に従って検査を実施する必要があります。

• 鑑定機関の選定: 弁護士は、法的に有効な結果を得るために、認可されたDNA鑑定機関を選定します。これは、裁判所や公的機関でも証拠として受け入れられる信頼性の高い機関です。
• 契約手続き: 法律事務所が依頼者と一緒に鑑定機関との契約を結びます。この際、どのような検体を使用するのか（血液、唾液、口腔内細胞など）、費用、結果が得られるまでの期間などを確認します。

3. 検体の採取

親子鑑定に使用されるDNA検体は、通常、以下のいずれかの方法で採取されます。

• 病院やクリニックでの採取: 鑑定機関が提携している医療機関やクリニックで、採血や口腔内の細胞を採取します。法的に認められる証拠とするために、採取手順が厳密に管理されます。
• 法律事務所での採取: 法律事務所の監督下で、簡単な方法でDNA検体（通常は唾液や口腔内細胞）を採取する場合もあります。この場合、弁護士や法律事務所の担当者が立ち会い、検体が適切に取り扱われることを確認します。
• 検体の管理: 法的証拠として使用するためには、検体の採取・保管・輸送のすべての過程が厳密に管理され、第三者が不正に関与していないことが重要です。採取された検体は、鑑定機関に安全に送付されます。

4. DNA鑑定の実施

選定されたDNA鑑定機関において、親子鑑定が実施されます。一般的には以下の手順で進みます。

• DNAの抽出と分析: 鑑定機関で採取された検体からDNAが抽出され、親子関係を確認するために分析されます。具体的には、親と子どものDNA配列を比較し、遺伝的な一致を確認します。
• 結果の判定: DNA鑑定の結果として、親子関係の確率（通常は99％以上の一致かどうか）が判定されます。親子関係が存在しない場合も、非常に高い精度でその結果が示されます。

5. 鑑定結果の受け取りと法的手続き

鑑定結果が出たら、法律事務所に通知され、結果のレポートが依頼者に提供されます。レポートには、鑑定の詳細な結果やその信頼性が記載されています。

• 法的効力: 鑑定結果は、弁護士を通じて法的手続きに使用されます。裁判や認知手続きなどで、法的証拠として提出されることが多いです。結果は信頼できる鑑定機関によるものであるため、証拠として受け入れられる可能性が高くなります。
• 結果に基づく法的アクション: 鑑定結果が親子関係を確認した場合、法律事務所はその結果に基づき、認知、養育費請求、相続権の確認など、必要な法的手続きを進めます。

6. 裁判所での使用

親子鑑定の結果は、裁判所に提出される場合もあります。法律事務所がサポートしている場合、鑑定結果が証拠として裁判所に提出され、その証拠能力が争われることがあります。法律事務所が関与していることで、鑑定結果が法的に有効なものであることを確認でき、裁判での使用がスムーズになります。

7. 鑑定の費用

親子鑑定にかかる費用は、使用する鑑定機関や検査の内容により異なりますが、法律事務所を通じて依頼する場合、以下の費用が発生する可能性があります。

• 鑑定費用: 鑑定機関が行うDNA検査にかかる直接の費用。これには、検体採取、分析、結果の報告などが含まれます。
• 法律事務所の手数料: 弁護士のサポートや、鑑定結果を法的手続きに使用するための準備、書類作成などの費用が加算されることがあります。
• 合計費用: 合計で数万円から十数万円程度が一般的ですが、ケースによって異なる場合があります。

8. 法的有効性と信頼性

法律事務所を通じて行われた親子鑑定は、信頼できる鑑定機関によって実施されるため、法的に有効な証拠として高い信頼性を持ちます。裁判や公的な手続きで使用するための鑑定を希望する場合、法律事務所を通じて依頼することが推奨されます。

まとめ

法律事務所での親子鑑定は、法的手続きや証拠として利用することが主な目的で行われ、信頼できるDNA鑑定機関と提携して進められます。法律事務所が手続きをサポートすることで、鑑定結果が法的に有効な証拠として使われるように、手続きが厳密に行われます。

鑑定の必要性がある場合は、弁護士と相談して鑑定の目的や費用、手続きを確認し、信頼性の高い結果を得ることが大切です。また、結果に基づく法的手続きをスムーズに進めるためには、法律事務所のサポートが有効です。

記事の監修者

---

岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

医師