この記事の概要
NextSeqは、Illumina社が提供する次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer, NGS)の一つで、高スループットなデータ取得を可能にするモデルです。NextSeqは、中規模から大規模なシーケンシングプロジェクトに対応しており、より多くのデータを短時間で生成できることが特徴です。主に全ゲノムシーケンシング(WGS)、トランスクリプトーム解析(RNA-seq)、エクソームシーケンシングなどの大規模解析に利用されます。
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1. NextSeqの特徴
高スループット
NextSeqは、高スループットのデータ生成を提供し、1回のランで最大120 Gbのデータを生成することができます。これにより、全ゲノム解析や大規模RNAシーケンスなど、大量のデータが必要なプロジェクトに適しています。
柔軟なスループットオプション
NextSeqは、2つのカートリッジオプションを提供しています。これにより、プロジェクトの規模に合わせてHigh OutputモードまたはMid Outputモードを選択でき、データ生成量やランタイムを調整することができます。
- High Outputモード:最大120 Gbのデータ量を生成し、100塩基対(bp)のペアエンドリードで最大800Mリードのデータを生成します。
- Mid Outputモード:最大39 Gbのデータ量を生成し、100塩基対のペアエンドリードで最大260Mリードを生成します。
高速な解析
NextSeqは、従来のIlluminaシーケンサーと比べて、非常に高速なシーケンスが可能です。1回のランで1~2日以内に解析結果を得られるため、時間を重視するプロジェクトに適しています。
拡張可能なリード長
NextSeqは、リード長を柔軟に設定でき、最長で150塩基対(bp)までのリード長を提供します。これにより、短いリードや長いリードを利用した解析のどちらにも対応可能です。
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2. NextSeqの技術
シーケンシングバイシンセシス(SBS)技術
NextSeqもIlluminaの他のシーケンサーと同様に、Sequencing by Synthesis(SBS)技術を採用しています。SBS技術は、蛍光標識されたヌクレオチドを一塩基ずつDNAに取り込ませ、その過程をリアルタイムで検出して塩基配列を決定する手法です。これにより、高精度かつ高スループットでのシーケンスが可能です。
2-チャンネル化学
NextSeqは、Illuminaの2-チャンネル化学を採用しており、従来の4-チャンネル方式に比べて、より高速に塩基を読み取ります。2-チャンネル化学では、4種類の塩基を2つの蛍光信号で識別するため、シーケンシングサイクルの高速化が図られています。
ペアエンドシーケンス
NextSeqは、ペアエンドシーケンス(双方向シーケンシング)に対応しており、DNAフラグメントの両端をシーケンスすることで、ゲノム解析の精度が向上します。これにより、構造変異や挿入・欠失などの複雑な変異の検出が可能です。
インテグレーテッドフローセル
NextSeqは、インテグレーテッドフローセルを使用して、数億のクラスターが並列でシーケンシングされます。これにより、膨大な数のDNAフラグメントを同時にシーケンスすることが可能です。
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3. NextSeqの用途
NextSeqは、中規模から大規模のシーケンシングプロジェクトに最適です。特に大量のデータを迅速に取得する必要がある研究に広く利用されています。以下は、NextSeqの主な用途です。
3.1 全ゲノムシーケンシング(WGS)
NextSeqは、ヒトゲノムやその他の生物の全ゲノムシーケンシングに使用されます。1回のランでヒト全ゲノムを解析できるため、がん研究や遺伝子疾患の解析、進化研究などに広く利用されています。
3.2 エクソームシーケンシング
エクソームシーケンシング(遺伝子のコード領域のみを対象とするシーケンス)にもNextSeqは適しており、特定の疾患や遺伝子変異に関連するデータを迅速に取得できます。ヒトのエクソーム解析では、数百サンプルを並列に処理することが可能です。
3.3 トランスクリプトーム解析(RNA-seq)
RNAシーケンス(RNA-seq)による遺伝子発現解析もNextSeqで広く行われています。これにより、組織や細胞内で発現する遺伝子を網羅的に調べ、疾患や環境応答に関連する発現変動を解析することが可能です。
3.4 マルチプレックスターゲットシーケンシング
NextSeqは、高スループットのターゲットシーケンシングにも利用され、がん研究や遺伝性疾患の研究における遺伝子変異の網羅的な検出が行われます。特定の遺伝子パネルを解析する場合や、多数のサンプルを一度にシーケンスする場合に非常に効率的です。
3.5 微生物ゲノム解析
NextSeqは、微生物の全ゲノム解析やメタゲノム解析にも使用され、環境中の多様な微生物群集のプロファイリングや、感染症病原体の特定にも適しています。
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4. NextSeqの利点
- スループットの柔軟性:NextSeqは、プロジェクトの規模に合わせてHigh OutputまたはMid Outputの設定を選択できるため、小規模なターゲット解析から大規模な全ゲノムシーケンシングまで柔軟に対応可能です。
- 短期間で大量データ:高速なシーケンシングプロセスにより、短期間で大量のシーケンスデータが取得できるため、時間の制約があるプロジェクトに適しています。
- ユーザーフレンドリーなインターフェース:NextSeqは、Illumina社の他のシーケンサーと同様に直感的なソフトウェアを備えており、初心者でも扱いやすい設計となっています。
- 高精度なデータ:IlluminaのSBS技術と2-チャンネル化学により、高精度で信頼性の高いデータを提供します。特に、複雑なゲノム変異の検出に有効です。
まとめ
NextSeqは、中規模から大規模なシーケンシングプロジェクトに対応する次世代シーケンサーで、全ゲノム解析、RNAシーケンス、エクソームシーケンシングなどの用途に広く利用されています。高スループットかつ迅速なデータ取得が可能で、特に大量のデータを必要とする研究や臨床応用に適しています。