法的用途の出生前親子鑑定は、万が一に備えた衛生検査所登録機関で行うべき理由

親子鑑定におけるDNA検査が医療行為に該当しない場合でも、衛生検査所としての認可が必要かどうかについては、関係法令や検査の性質によって異なります。

1. 衛生検査所とは？

衛生検査所とは、医療行為とは直接関係しない検体の検査（食品、環境、水質、健康診断など）を行う機関のことで、各国の法律に基づいて認可を受け、一定の基準を満たして検査業務を行うことが求められます。日本においては、「衛生検査所の規制」があり、検体検査を行うためには衛生検査所としての認可を取得する必要があります。

2. 親子鑑定（DNA検査）の場合

親子鑑定は、法的・個人的な親子関係の確認を目的としており、医学的治療や健康診断を目的とする検査とは異なります。そのため、親子鑑定に特化した民間機関が検査を行うことが可能です。

衛生検査所としての認可が必要かどうかは、以下の要素に依存します：

• 検体の扱い: 親子鑑定におけるDNA検査では、唾液や頬の細胞（口腔内細胞）、血液などのサンプルが使用されます。この検体を適切に扱い、正確な結果を提供するためには、一定の検査技術や設備が必要です。したがって、認可を持つ衛生検査所で行うことが求められる場合があります。
• 法的用途: 親子鑑定の結果が法的証拠として使用される場合、その検査機関が一定の基準を満たし、信頼性が確保されていることが重要です。裁判所や公的機関が要求する場合、衛生検査所の認可があることが信頼性の証明となることがあります。

3. 医療行為ではないが衛生検査所が求められる場合

• 非医療行為の検査であっても、一定の基準を満たす必要がある場合: 例えば、親子鑑定の結果が法的証拠として使用される場合、その信頼性が重要視されます。検査が正確に行われるための設備や技術の適正性を確保するために、衛生検査所の認可が求められるケースがあります。
• 認可のない民間機関も存在する: 一方で、純粋に個人的な目的での親子鑑定を提供している民間のDNA検査機関では、衛生検査所の認可を受けていない場合もあります。これらの機関は、法的証拠として使用することが難しい場合がありますが、個人の判断によって利用されることが多いです。

4. 日本における法律の関連性

日本では、医療法や衛生検査所に関する法律が定められており、検体検査に関して一定の基準が設けられています。親子鑑定が「医療行為」として行われる場合（例えば、妊娠中に行われる出生前親子鑑定など）や法的証拠を提供するために信頼性が求められる場合には、検査機関が衛生検査所としての認可を取得していることが重要視される場合があります。

5. 衛生検査所の認可が求められる理由

• 信頼性の確保: 衛生検査所の認可を受けている場合、その機関が適切な設備や技術を持ち、検査の結果が信頼できるものであることが保証されます。
• 法的証拠としての利用: 親子鑑定が裁判所で使用される場合、その結果が信頼できる機関で行われたことが求められます。この場合、衛生検査所の認可を持つ検査機関の結果は、法的に有効な証拠として認められる可能性が高まります。

6. 民間DNA検査機関の利用に関する注意点

個人的な理由で親子鑑定を行う場合、必ずしも衛生検査所の認可を持つ機関を利用しなくてもよい場合がありますが、その結果を法的に利用する場合や、信頼性が重要な場合には、認可を受けた機関を選ぶことが推奨されます。親子鑑定の目的や用途に応じて、適切な検査機関を選ぶことが重要です。

まとめ

親子鑑定（DNA検査）が医療行為に該当しない場合でも、衛生検査所としての認可が必要かどうかは、その検査が行われる目的や用途によって異なります。法的な証拠として利用される場合や、信頼性を担保するためには、衛生検査所の認可を受けた機関で行うことが求められることが多いです。個人的な目的での鑑定の場合、認可が不要な民間の検査機関を利用することも可能ですが、信頼性や法的な使用目的を考慮する場合には、認可を受けた機関を選ぶ方が良いでしょう。

検査機関を選ぶ際には、認可の有無や提供されるサービスの信頼性を確認し、自分の目的に合った適切な機関を選ぶことが重要です。

記事の監修者

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岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

医師