臨床現場で行われている遺伝子検査について

親子鑑定 NIPPT DNA鑑定 シークエンサー PCR

この記事の概要

臨床現場で行われている遺伝子検査は、その目的や内容に応じていくつかのカテゴリーに分類できます。以下に、主な分類とその概要を説明します。

1. 診断目的の遺伝子検査

  • 疾患診断:遺伝子の変異や異常を確認して、特定の遺伝性疾患や遺伝子関連疾患の診断を行います。例えば、がん遺伝子検査や先天性疾患の診断が含まれます。
    • 例:BRCA1/BRCA2遺伝子検査(乳がん・卵巣がんのリスク判定)、筋ジストロフィーの遺伝子検査
  • キャリア検査:疾患の原因となる遺伝子変異を持っているかどうかを調べます。特に両親が無症状キャリアである場合、子どもに遺伝するリスクを評価する際に使用されます。
    • 例:サラセミアや嚢胞性線維症のキャリア検査

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2. 予防・リスク評価目的の遺伝子検査

  • がんのリスク評価:がんになるリスクを遺伝的に評価するための検査です。特定の遺伝子変異があるとがんのリスクが高まることがわかっています。
    • 例:BRCA遺伝子検査、APC遺伝子検査(大腸がんリスク)
  • 生活習慣病リスク評価:糖尿病や高血圧、肥満など、生活習慣病に関わる遺伝的リスクを調べる検査です。生活習慣の改善や早期予防に役立ちます。
    • 例:糖尿病や高血圧の遺伝子リスク検査

3. 薬理遺伝学検査(薬剤応答検査)

  • 薬剤反応予測:患者が特定の薬剤に対してどのように反応するかを予測する検査です。薬の効き方や副作用のリスクが遺伝的に異なるため、最適な治療法を選択するために使用されます。
    • 例:CYP2D6遺伝子検査(抗うつ薬や鎮痛薬の代謝)、VKORC1とCYP2C9検査(ワルファリンの適正投与量の調整)
  • 副作用リスク検査:特定の薬に対して副作用を引き起こすリスクが高いかどうかを判定するための検査です。
    • 例:HLA-B*5701検査(アバカビルに対する過敏症リスク)
NIPPT DNAフィンガープリント技術(DNA指紋法)

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4. 遺伝カウンセリング目的の遺伝子検査

  • 出生前診断(NIPTなど):胎児の遺伝的な異常(ダウン症候群など)を妊娠初期に調べるための検査。非侵襲的出生前検査(NIPT)は、母体の血液から胎児の染色体異常を判定します。
    • 例:NIPT、羊水検査
  • 新生児スクリーニング:出生直後の新生児を対象に、代謝異常や遺伝病を早期に発見するための検査です。治療が必要な疾患の早期診断に役立ちます。
    • 例:フェニルケトン尿症、ガラクトース血症
  • 不妊治療関連検査:不妊症や流産の原因が遺伝的な要因に関係するかどうかを調べる検査。
    • 例:染色体検査、反復流産に関する遺伝子検査

5. 親子・血縁関係鑑定

  • 親子鑑定:生物学的な親子関係を確かめるための検査です。法的な親子関係確認のためや、個人的な確認目的で行われます。
  • 兄弟鑑定・血縁鑑定:兄弟姉妹、祖父母と孫、叔父・叔母などの血縁関係を確認するための検査。

6. 個人特性評価

  • パーソナライズド医療:個人の遺伝情報に基づき、最適な健康管理や治療方針を決定するための検査。
  • 個人の体質や特性を調べる検査:体質や美容、スポーツ適性など、個人の特性を評価するための検査です。健康やパフォーマンスの向上、スキンケアやダイエットなどの個別化に役立ちます。
    • 例:肥満、アルコール分解能、運動能力の遺伝子検査

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7.遺伝子検査を行うメリット

健康リスクを把握できる

特定の遺伝子変異があると、特定の病気への罹患リスクが高まることが知られており、遺伝子検査を行うことで、個人が将来罹患する可能性のある病気のリスクを明らかにできます。検査によってリスクが判明することで、日常生活や健康管理における適切な予防策を講じることが可能です。

病気の早期発見と予防ができる

遺伝子検査を通じて、疾患リスクの高い病気を事前に把握しておけば、早期に対応できる体制を整えられます。特に、がんや心疾患など、早期発見が治療に直結する病気に対しては、遺伝子検査の結果をもとに定期的な検診を受けるなどの予防策が効果的です。早期に介入することで治療効果を高め、健康な状態を長く保てる可能性が高まります。

遺伝子情報に基づき個人に合わせた治療が可能

遺伝子検査は、個別化医療の重要な基盤でもあります。患者一人ひとりの遺伝情報に基づいて、薬の効果や副作用がどの程度現れるかを予測できるようになるため、より適切な治療法の選択が可能です。このアプローチは、同じ病気であっても個人に応じた治療法を提供することで、治療の成功率を高め、副作用のリスクを最小限に抑えることが期待されています。

家族へ遺伝的リスクの傾向を共有できる

遺伝子検査を通じて判明したリスク情報は、家族にも共有できるため、家族全体の健康意識を高めるきっかけになります。遺伝的な要因に基づく疾患リスクが家族間で共有されることで、家族全体がリスクに備え、必要な検査や予防対策を取ることが可能です。また、遺伝的リスクを共有することで、家族全体の健康管理の質が向上することが期待されます。

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8.遺伝子検査を行うデメリット

発症しない可能性のある疾患について過剰な懸念が生まれることがある

遺伝子検査は、特定の疾患に対するリスクを把握できる反面、そのリスクに対して過剰な懸念を抱いてしまう場合があります。遺伝子検査によって「発症する可能性がある」との結果が出ても、必ずしもその疾患に罹患するわけではありません。例えば、がんや心疾患のリスクが高いと判定された場合、生活の質が低下してしまうほど不安に駆られるケースもあります。リスクがあるからといって必ず発症するわけではないため、検査結果をどのように解釈するかが大切です。

遺伝子情報が不安を引き起こす可能性がある

遺伝子検査によって自身の遺伝情報を知ることは、健康リスクを早期に把握できる一方で、精神的な負担や不安を引き起こす要因にもなり得ます。遺伝子に基づく情報は、一般的な健康診断よりも個人の体質やリスクを詳細に把握できる反面、病気に対する恐怖や将来の健康に対する不安感を強めてしまう場合があります。遺伝子検査を受ける際は、そのメリットとデメリットをよく理解したうえで、医師や専門家と相談しながら活用することが大切です。

9.ヒロクリニックで提供している遺伝子検査

  • Minoスカルプチェック
    ヒロクリニックでは、薄毛治療で用いられるミノキシジルの効果が個人にどれだけ効くかを確認するための遺伝子検査「Minoスカルプチェック」を提供しています。ミノキシジルは血流を促し、毛根に栄養を届ける効果が期待されていますが、実はこの薬が作用を発揮するためには「スルフォトランスフェラーゼ」という酵素の働きが重要です。スルフォトランスフェラーゼによってミノキシジルが活性化されることで、効果が最大限に引き出されます。しかし、この酵素の活性には個人差があり、活性が低いとミノキシジルの効果が十分に得られない場合があるのです。Minoスカルプチェックでは、10本の毛根を抜いて提出するだけで、スルフォトランスフェラーゼの活性レベルを調査でき、検査結果に基づき、ミノキシジルがご自身に適しているかどうかが判明します。これにより、無駄な治療や費用の軽減につながり、より効果的な治療計画の立案が可能となります。
  • 228種劣性遺伝子検査
    ヒロクリニックでは、228種類の劣性遺伝子を対象とした遺伝子検査を提供しています。この検査は、原因不明の先天的な疾患や家族に受け継がれる可能性のある遺伝的変異を特定するために役立つもので、特に、次世代へ遺伝しやすい疾患を調べる目的で利用されています。家族や子どもに疾患が遺伝する可能性を確認できるため、今後の生活や治療計画を立てるうえで重要な情報を得ることが可能です。
  • がん遺伝子検査
    ヒロクリニックの「がん遺伝子検査」は、がん発症のリスクを遺伝子レベルで把握するための検査キットです。自宅で手軽に使用でき、唾液などのサンプルを提出することで、特定の遺伝子変異の有無やがん発症リスクを評価できます。検査では、がんに関連する複数の遺伝子を対象に調査を行い、特定の遺伝性がんリスクを把握します。また、がんリスクを高める可能性のある遺伝子変異を特定でき、特定の遺伝子の変異ががん発症リスクに大きな影響を与えることも明らかにできるのが特徴です。高度な技術を駆使した詳細な遺伝子分析により、がんに関連する遺伝子を正確に評価し、リスクの有無やそのレベルを明確に診断します。この検査結果は、がんの早期発見や予防に役立てられ、さらに家族とリスク情報を共有することで、家族全体の健康管理にも応用が可能です。
  • 不妊症遺伝子検査
    不妊症遺伝子検査は、不妊症に関連する遺伝子の変異を調べられる検査キットです。男女それぞれに対応しており、ご自宅で簡単に検査を行うことが可能です。2人用の不妊症検査では、78種の遺伝子を検査対象としています。特に女性の不妊に関連する55種類の遺伝子に加え、血栓症や新生児同種免疫性血小板減少症(NAIT)に関連する23種のパネルも網羅しています。また不妊症遺伝子検査は、妊娠前のブライダルチェックとしてもよく利用されている検査です。結婚を控えたカップルや、妊娠を考えている方にとって、事前に遺伝子リスクを把握し、健康的な妊娠計画を立てるための有用な手段となります。
  • ぽっくり病の遺伝子検査
    心臓の突然死に関与する遺伝子を調べられる遺伝子検査キットです。特に、ブルガダ症候群(Brugada Syndrome)の遺伝的リスクを確認できる検査で、ブルガダ症候群は心臓の電気的異常により、突然の心停止を引き起こす可能性のある疾患を指します。
    ブルガダ症候群(Brugada Syndrome)は、心臓の電気的異常により突然の心停止を引き起こす可能性がある遺伝性疾患です。ブルガダ症候群に関連する遺伝子は、心筋細胞におけるイオンチャネルや電気的興奮に関与しており、これらの異常が心拍リズムに影響を与え、不整脈や突然死を引き起こす可能性があるとわかっています。
  • 自閉症遺伝子検査
    自閉症スペクトラム障害(ASD)の遺伝的リスクを精密に分析できる検査です。遺伝子検査キットを使用して自閉症スペクトラム障害のリスクを早期に把握し、適切なサポート計画を立てるための重要な第一歩となります。自閉症スペクトラム障害は遺伝的要因だけでなく、日常生活環境や育ち方にも影響を受けるとわかっています。遺伝子検査の結果を踏まえ、家族全員でお子さんの成長を支えるための情報共有を行い、必要に応じて専門家の助けを求めることが大切です。

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まとめ

これらの遺伝子検査は、医療現場において診断や予防、治療、血縁関係の確認、個人の特性評価に役立つ多様な目的で行われています。各検査は、その目的に応じて適切に使用され、患者や個人に対してより個別化された医療や健康管理を提供するために重要な役割を果たしています。

記事の監修者