DNA出生前親子鑑定（病院とクリニック）

病院やクリニックで行われる親子鑑定には、それぞれの特性や提供されるサービスに違いがあります。どちらの機関も親子関係を確認するためのDNA検査を行いますが、設備や目的、提供される付加サービスにおいていくつかの相違点が見られます。以下に、病院とクリニックで行われる親子鑑定の違いを詳しく説明します。

1. 施設の規模と専門性

• 病院での親子鑑定:
• 規模と設備: 病院は一般的に大規模な医療機関であり、幅広い検査設備や専門家が揃っています。DNA鑑定に必要な精密な検査装置も完備されているため、複雑なケースや妊娠中の検査（出生前鑑定など）も対応可能です。
• 専門家の対応: 大規模な病院では、産婦人科や遺伝子専門医、検査技師がチームで対応することが多いため、特に妊娠中の親子鑑定やリスクが伴う検査を慎重に行います。
• 複雑なケースへの対応: 出生前親子鑑定や、羊水や絨毛を使用した侵襲的な検査を必要とする場合、病院では設備や医療スタッフが整っているため、リスクを最小限に抑えた検査が行われます。
• クリニックでの親子鑑定:
• 規模と設備: クリニックは一般的に規模が小さく、病院ほどの設備は整っていないことが多いです。検体の採取はクリニックで行われても、実際のDNA鑑定自体は外部の専門機関に依頼されることが一般的です。
• 専門性の範囲: クリニックの医師は産婦人科や内科などの専門家である場合が多いですが、DNA鑑定に特化した専門家が常駐していないこともあります。特に一般的な親子鑑定（出生後の親子関係の確認）に対応する場合が多いです。
• シンプルなケースに対応: クリニックは、一般的な親子鑑定（唾液や口腔内の細胞を使用）には十分に対応できますが、複雑なケースやリスクのある検査は設備の整った病院に紹介されることが多いです。

2. 検査の種類とリスク管理

• 病院での親子鑑定:
• 妊娠中の親子鑑定: 病院では、妊娠中の親子鑑定（出生前親子鑑定）に対応できます。例えば、羊水や絨毛を採取して胎児のDNAを確認する方法や、母体の血液を用いた非侵襲的な方法（NIPP）などの選択肢があります。これらの検査はリスクが伴うため、病院では適切な設備と専門家によるリスク管理が行われます。
• リスク対応: 侵襲的な検査の場合、合併症や流産のリスクがありますが、病院では緊急対応が可能であり、検査中のトラブルにも迅速に対処できる体制が整っています。
• クリニックでの親子鑑定:
• 出生後の親子鑑定: クリニックでは、出生後の親子鑑定（唾液や口腔内の細胞を用いたDNA検査）が主に行われます。この検査は簡単でリスクがなく、非侵襲的です。
• リスクが少ない検査: クリニックでは侵襲的な検査（羊水や絨毛の採取）は一般的に行われません。リスクが高い場合や、特別な検査が必要な場合は、設備が整った病院に紹介されることがあります。

3. 提供されるサービスの種類

• 病院での親子鑑定:
• 包括的な医療サービス: 病院では、親子鑑定だけでなく、総合的な医療サービスが提供されます。例えば、遺伝カウンセリングや妊婦ケア、リスク管理なども同時に提供されるため、トータルサポートを受けることが可能です。
• 法的サポート: 親子鑑定が法的に使用される場合（裁判や相続問題など）、病院で行われた鑑定結果は信頼性が高く、法的にも証拠として認められやすいです。
• クリニックでの親子鑑定:
• 簡便な検査: クリニックでは、簡便な親子鑑定サービスが提供されます。検体の採取を行い、外部のDNA検査機関に送付して結果を得るプロセスが主流です。クリニックは採取の窓口としての役割を果たします。
• 個人目的の検査: 一部のクリニックでは、法的な手続きではなく、個人的な目的（親子関係の確認など）での鑑定を希望する患者向けに、簡単な親子鑑定サービスを提供することがあります。

4. 費用と手続きの違い

• 病院での親子鑑定:
• 費用が高くなる傾向: 病院での親子鑑定は、特に出生前親子鑑定や侵襲的な検査の場合、設備や専門家が関わるため費用が高くなる傾向があります。また、法的に有効な証拠として利用する場合、結果の公証などの手続きも必要になることがあります。
• 長期間のサポート: 鑑定結果が出た後も、遺伝カウンセリングやその後の治療など、長期にわたるサポートを受けることができます。
• クリニックでの親子鑑定:
• 費用が比較的安価: クリニックでの親子鑑定は、一般的に非侵襲的で簡便な方法を使用するため、費用が比較的安価です。外部機関に鑑定を委託する場合でも、基本的な手続きのみで済むため、時間とコストの負担が少ないです。
• シンプルな手続き: 個人利用目的の場合、手続きは非常にシンプルで、法的手続きが不要な場合は短期間で結果を得ることができます。

5. 法的証拠としての信頼性

• 病院での親子鑑定:
• 法的効力の高い結果: 病院で行われる親子鑑定の結果は、法的な証拠として利用される場合でも高い信頼性を持ちます。裁判や公的手続きに使用するための証明書が発行されることもあります。
• クリニックでの親子鑑定:
• 法的利用は限られる場合も: クリニックで行われる親子鑑定は、個人的な確認を目的とすることが多いため、法的に証拠として使用する場合は、その信頼性が認められないことがあります。法的証拠として使用する場合は、あらかじめクリニックで確認することが重要です。

まとめ

• 病院での親子鑑定は、特に妊娠中の親子鑑定やリスクのある検査に対応する設備と専門家が揃っており、総合的な医療サポートや法的効力が強い結果を提供することができます。費用は高めですが、法的に証拠として使用する場合や、複雑なケースに対応する際には病院が適しています。
• クリニックでの親子鑑定は、簡便で安価な親子鑑定サービスを提供し、主に出生後の非侵

襲的な鑑定に対応します。個人的な確認を目的とした鑑定には向いていますが、法的手続きやリスクの高い検査が必要な場合は病院に紹介されることがあります。

自分の状況や目的に応じて、病院とクリニックのいずれかを選択することが大切です。

記事の監修者

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岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

医師