植毛とは? 人工と自毛の違いやメリット・デメリットを紹介

この記事の概要

植毛とは、薄毛が気になる部分や髪が生えてこない部分に、自分の髪の毛や人工毛を移植する施術です。本記事では、育毛・増毛・発毛との違いを紹介するとともに人工と自毛の特徴、自毛のメリット・デメリットを紹介します。

薄毛の対策になる植毛とは

植毛とは、頭部の薄毛が気になる部分に、髪の毛や髪の毛の代替品を直接植えつける薄毛対策のことです。薄毛治療の中でも外科的手術を施すのが植毛です。一般的に薄毛治療というと内服薬や外用薬などの投薬治療をイメージしますが、投薬治療は服用をやめると再び薄毛に戻ってしまうリスクがあり、一度薬を使用すると中断ができません。植毛は、一度施術を受けると効果が持続するため、施術後のメンテナンスの負担がないのが特徴です。

ここでは、植毛以外の薄毛治療である育毛や増毛、発毛についても紹介します。

育毛との違い

育毛とは、いまある髪の毛が健康的に育つように行うケアです。育毛剤の利用が該当し、保湿ケアをしたり血行促進したりなど頭皮環境を整えて、健康的な髪の毛の維持と成長を促します。頭皮マッサージも血行を促進させるためのケアのため、育毛に該当するでしょう。

髪の毛は、加齢や血行不良、生活習慣の乱れなどによりハリやコシを失うだけではなく、髪の毛が成長しきらず抜けてしまったり、細く短くなったりします。育毛は、健康的な髪の毛の成長をサポートする役割があるため、薄毛の傾向がみられる人におすすめのケアです。

増毛との違い

増毛とは、いま生えている髪の毛をベースにして、人毛や人工毛などを装着し髪の毛が増えたようにみせる施術です。人毛や人工毛を結びつける結毛式や、髪の毛を生やしたシートを頭皮に貼りつける接着式などがあります。施術後すぐに髪の毛のボリュームが増すため、今すぐに見た目を変えたい人におすすめの方法です。

ただし、実際に頭皮に働きかけ髪の毛が生えてくるよう促すものではないため、将来自分の髪を再び生やしたいと考えている方は、別の方法を利用しましょう。

発毛との違い

発毛は、投薬治療により新しく髪の毛を生やすための治療を指します。例えば、治療薬を利用して薄毛の原因となる男性ホルモンの影響を抑制し、ヘアサイクルを改善することで髪の毛を生やしていく施術や、髪の毛の成長を促進させている細胞に働きかけ、ヘアサイクルを延長させる施術などがあります。

毛髪ではなく、髪の毛が生えてこなくなった毛根に働きかけて発毛機能を復活させるのが特徴です。髪の毛の生えない毛根は、休眠しているか死んでしまっているかのどちらかであり、休眠中であれば成長因子などで活性化させて、再び髪の毛が生えてくるよう促すことが可能です。

植毛の種類は大きく分けて2つ

髪の毛や代替品を植え付けて成長を促す植毛には、大きく分けて2つの種類があります。どちらも医療行為に該当するため、植毛を受けるなら医療資格のあるクリニックや専門医療機関にて医師による手術を受ける必要があります。

自毛植毛

自毛植毛とは、AGAと呼ばれる男性型脱毛症に効果的な薄毛治療で、AGA治療としてよく用いられています。自毛植は、薄毛になりにくい後頭部や側頭部の髪の毛を採取して、薄毛や抜け毛が気になる部分に移植させる施術です。髪を成長させる組織ごと移植するため、施術後は自然に髪が生えるようになります。

AGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが発毛を抑制するTGFβ1を生成することで生じるもので、前頭部と頭頂部で発生し、後頭部や側頭部ではほとんど発生しません。

そのため、後頭部や側頭部の毛髪を移植することで、薄毛を根本から治療できます。AGAになりにくい特性は、移植後も引き継がれるため、移植先の前頭部や頭頂部でもAGAの影響を受けづらくなり、生え変わり続けるでしょう。なお、自毛植毛では、毛包の単位であるグラフトごとに料金が定められています。

人工毛植毛

人工毛植毛では、自分の髪の毛ではなく合成繊維で作られた人工の毛を植え付ける施術です。自分の髪の毛を使用するわけではないため、ほかの部分の髪の毛が薄くなることがありません。また自毛植毛と比較すると費用が安いという特徴もあります。しかし、人工毛の植毛では拒絶反応や炎症を起こすリスクがあります。人工毛が身体に合わないと、移植した後の毛穴が塞がらず、細菌が入って化膿してしまったり、毛穴を傷めたりしてしまう可能性があります。

また、人工の毛を植え付けるため、一定期間ごとにメンテナンスが必要です。リスクが大きいことから、アメリカの食品医薬品局(FDA)では、人工毛植毛の施術は禁止されています。また、日本皮膚科学会のガイドラインにおいても、人工毛植毛術は推奨度Dの「行わないように勧められる」に該当します。

自毛植毛のメリット

自毛植毛は、自分の髪の毛を移植するため、拒絶反応が起こりにくい薄毛治療です。移植した髪の毛が定着すれば半永久的に生え変わり続けるため、術後のメンテナンスもほとんど必要ありません。薬品治療や育毛剤、カツラなどの薄毛治療とは異なり、一度治療すれば維持費が発生しないのもメリットの一つです。自分の髪の毛であるため、パーマやヘアカラーなどのスタイリングも自由に行えます。

また、自毛植毛は薄毛治療だけではなく、ケガで毛髪が生えにくくなった部分にも有効的です。自毛植毛は薄毛を根本的に解決してくれる役割をもっています。

自毛植毛のデメリット

薄毛の根本的な解決になる自毛植毛のデメリットは、施術費用の高さです。クリニックや専門医療機関によって価格差はありますが、最低でも数十万円の費用がかかるでしょう。初期費用が大きいため、ほかの薄毛治療と比べると一歩が踏み出せない人も多いのではないでしょうか。しかし、1回あたりの施術費用は高額ですが、維持費や継続的な治療が必要なほかの薄毛治療と比べるとトータルコストは低くなると考えられます。

また、自毛植毛は、効果を実感できるまでに約1年ほど必要なため、即効性を求めている人には適していません。移植後の生着率は、施術するドクターや看護師の技量に左右される点もデメリットの一つです。

まとめ

髪の毛や代替品を移植する植毛は、自毛植毛と人工毛植毛の2種類があります。人工毛植毛はリスクが高いため、日本では推奨されていません。植毛の施術を検討しているのであれば、自毛植毛がおすすめです。費用はほかの施術と比較すると高額ですが、1回の施術で半永久的に髪の毛が生えるようになるため、トータルコストは抑えられるといえます。

ヒロクリニックの植毛では、患者さまの症状や希望を丁寧にヒアリングを行い、一人ひとりに合った施術を行います。薄毛にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q植毛はどの部位の薄毛にも施術できますか?

A自毛植毛であれば、基本的に自分の身体のどこにでも移植が可能です。一般的には、後頭部や側頭部から毛根を採取して、頭部や眉毛、もみあげなどに移植します。海外では、ヒゲへの移植や頭部以外の体毛から採取しての移植なども行われています。

Q植毛した後どのくらいで自然に生え揃いますか?

A移植した部分から発毛が開始するのは、施術後4ヶ月くらい経ってからです。半年を過ぎるとほとんどの毛髪が発毛し、移植部には2〜3cmの髪の毛がふわふわと生えてくるのが一般的です。髪が自然に生え揃うのは、短い人で8ヶ月、長い人で約1年ほどでしょう。

Q一度植毛するとどのくらい効果が持続しますか?

A植毛後は、半永久的に髪の毛が生え変わります。薄毛にならない部分から毛包を採取して移植しており、移植後も髪の毛の特性は変わらないため、何度でも髪の毛が生え変わり、長く効果が持続します。

参考文献

記事の監修者


岡 博史 先生

CAPラボディレクター

慶應義塾大学 医学部 卒業

医学博士

皮膚科専門医