この記事の概要
このコラムは、つむじ部分の植毛について解説し、その特徴や手法、メリット、リスク、費用に関する情報を提供します。つむじは自然な毛流れや密度を再現するための高い技術が求められる部位であり、主にFUT法とFUE法という手法が使われます。自然な見た目や持続的な効果が得られる一方、費用や術後のケア、適切なクリニック選びも重要なポイントです。植毛により見た目を改善し、自信を取り戻す手助けとなる可能性があると説明しています。
1. つむじ部分の薄毛とは?
つむじ部分の薄毛は、特に男性に多く見られる悩みの一つです。AGA(男性型脱毛症)や遺伝、生活習慣の影響などが原因で、つむじの周囲が徐々に薄くなり、地肌が目立つようになります。一般的に、つむじ部分の薄毛は進行性であり、適切な対策を講じないとさらに広範囲に薄毛が広がる可能性があります。
つむじ部分の薄毛の特徴
つむじ部分の薄毛は、以下のような特徴があります。
- 進行が気づきにくい:つむじ部分は自分では見えにくいため、薄毛の進行に気づきにくいことが多いです。気づいた時にはかなり進行しているケースもあります。
- 薄毛の範囲が広がりやすい:つむじ周辺の毛髪は他の部分よりも細くなりやすく、進行すると全体的にボリュームが減少しやすいです。
- 自然なボリューム感が重要:つむじ部分は髪の流れが放射状になっているため、不自然な治療を行うと目立ちやすいです。
2. つむじ部分の薄毛の原因
AGA(男性型脱毛症)
つむじ部分の薄毛の最も一般的な原因はAGAです。AGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5α-リダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで発症します。DHTは毛根に悪影響を与え、ヘアサイクルを短縮させるため、髪が成長する期間が短くなり、最終的に細く短い毛が増えていきます。特に、つむじ部分はAGAの影響を受けやすい部位とされています。
遺伝的要因
薄毛の発症には遺伝が大きく関与しています。特に、母方の家系に薄毛の人が多い場合、AGAを発症するリスクが高まることが分かっています。
生活習慣
- ストレス:慢性的なストレスは、ホルモンバランスを乱し、毛髪の成長を妨げる可能性があります。
- 食生活:栄養不足、特に亜鉛や鉄分、タンパク質の不足は髪の健康を損なう要因になります。
- 喫煙と飲酒:喫煙は血行を悪化させ、髪の成長に必要な栄養素の供給を妨げます。また、過度の飲酒もホルモンバランスに影響を与え、薄毛を進行させる可能性があります。
- 睡眠不足:成長ホルモンの分泌が減少し、毛髪の成長が阻害される可能性があります。
- 頭皮環境の悪化:皮脂の過剰分泌や洗髪不足により、毛穴が詰まり、髪の成長が妨げられることがあります。
年齢による影響
加齢に伴い、毛根の働きが弱くなり、つむじ部分の髪の毛が細くなっていくことがあります。これにより、全体的に薄毛が目立ちやすくなります。
3. つむじ部分の植毛とは?
植毛の仕組み
つむじ部分の植毛は、自分の健康な毛髪を薄毛部分に移植する治療法です。通常、後頭部や側頭部の髪の毛をドナーとして採取し、薄毛が進行しているつむじ部分に移植します。
植毛の種類
植毛には主に以下の2種類の方法があります。
4つむじ植毛の施術の流れ
1. カウンセリング
まず、植毛を希望する方は医師とカウンセリングを行います。この段階で、薄毛の状態や植毛の希望部分、予算、治療の方法について相談します。また、つむじ部分の髪の流れや密度を再現するために、どのようなデザインが最適かを決めます。
2. デザイン設計
つむじ部分は放射状に髪が生えているため、移植する毛髪の向きや角度、密度などを慎重にデザインします。この作業は、自然な仕上がりを実現するために非常に重要です。医師は、どのように髪を植えるかの設計図を作成します。
3. ドナー部位の毛髪の採取
植毛のために必要な毛髪は、後頭部や側頭部などの健康な部分から採取されます。この部分の髪はAGAの影響を受けにくいため、植毛後に安定して成長することが期待できます。採取方法には以下の2つの主要な方法があります:
- FUT法(ストリップ法):後頭部の皮膚を帯状に切り取って、その中から毛髪を採取します。大量に毛髪を採取することが可能ですが、傷跡が残ります。
- FUE法(切らない植毛):毛髪を1本ずつ採取し、つむじ部分に移植します。傷跡が小さく、回復が早いのが特徴です。
4. グラフトの作成
採取した毛髪を細かく分けて、移植に適したサイズ(グラフト)に加工します。この作業は、毛根の取り扱いが重要で、毛髪が生着するために必要な準備です。
5. 移植
設計に基づき、つむじ部分に毛髪を移植します。毛髪を自然に生えさせるため、髪の向きや角度に十分注意しながら移植します。この段階で、髪が放射状に整うように工夫されます。

6. 術後のケアとフォローアップ
手術後は、頭皮が傷ついているため、適切なアフターケアが必要です。医師からの指示に従い、傷の回復を促進するための薬剤やシャンプーが処方されることがあります。また、術後の経過を定期的に診察し、必要に応じて追加の治療を行うことがあります。
7. 定着と回復
移植後の毛髪は、最初は一時的に抜け落ちることがありますが、数ヶ月以内に新しい毛髪が成長を始めます。通常、6ヶ月から1年程度で最終的な結果が見えるようになります。再生された髪は通常、他の髪と同様に成長を繰り返します。
4. つむじ部分の植毛のメリット
自然な仕上がり
髪の流れや密度を細かく調整することで、つむじ部分の自然なヘアスタイルを再現できます。デザインの自由度が高いため、個人の髪の流れや生え方に合わせた施術が可能です。
永続的な効果
移植された毛髪は、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の髪を使用するため、長期間にわたり維持されます。一度生着した毛髪は通常、抜け落ちることなく成長を続けます。
高い生着率
最新の植毛技術により、生着率が向上し、移植した毛髪がしっかりと定着し成長します。適切な術後ケアを行うことで、80〜90%以上の生着率を期待できます。
メンテナンスの手間が少ない
自分の髪として成長するため、特別なメンテナンスは不要です。通常の洗髪やヘアケアが可能であり、ウィッグや増毛処置のような手間がかかりません。
自然なヘアサイクルの維持
移植した毛髪は、通常のヘアサイクルに従って成長し、抜け落ちることを繰り返します。これは、自分の髪と変わらない自然な状態を保つため、大きなメリットとなります。
自信の回復
見た目の改善により、対人関係や社会生活において自信が向上します。薄毛によるストレスやコンプレックスが軽減され、精神的な安定にもつながります。
5. つむじ部分の植毛のリスクと注意点
ショックロス
移植手術後、一時的に移植した毛髪や周囲の既存毛が抜け落ちる「ショックロス」が発生することがあります。通常、数ヶ月で回復し、新しい毛髪が生えてきますが、一時的な薄毛が気になる方もいるため、事前に理解しておくことが重要です。
感染症のリスク
植毛手術では、頭皮に小さな切開を加えるため、感染症のリスクがゼロではありません。施術後の適切なアフターケアを怠ると、頭皮が赤く腫れたり、膿が出ることもあります。医師の指示に従い、清潔な状態を維持することが重要です。
期待する効果が得られない場合
生着率には個人差があり、移植した毛髪が十分に定着しないケースもあります。特に、生活習慣や体質、術後のケアの影響を受けやすく、期待通りの密度が得られないことがあります。
傷跡が残る可能性
FUT法(ストリップ法)を選択した場合、後頭部に線状の傷跡が残ることがあります。一方、FUE法では傷跡が目立ちにくいものの、施術範囲が広がると複数の小さな傷が残る可能性があります。短髪にする方は傷跡の目立ちやすさを考慮する必要があります。
施術後の腫れやかゆみ
施術後、頭皮が一時的に腫れることがあります。特に、前頭部まで腫れが広がるケースもありますが、通常は1週間程度で治まります。また、治癒過程でかゆみを感じることがありますが、無理に掻かないよう注意が必要です。
施術費用が高額
植毛は自由診療のため、健康保険が適用されません。そのため、施術費用は数十万円から数百万円に及ぶことがあります。クリニックによって料金が異なるため、事前にカウンセリングで確認し、費用の見積もりを取ることが重要です。
術後のダウンタイム
植毛後は、一時的に赤みや腫れが出るため、1週間程度のダウンタイムが必要となる場合があります。仕事や日常生活に影響を与えたくない方は、スケジュール調整をしておくことをおすすめします。
定期的なメンテナンス
移植した髪自体はAGAの影響を受けにくいですが、周囲の既存毛は脱毛が進行する可能性があります。そのため、フィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)などのAGA治療薬を継続的に服用し、既存毛を維持することが望ましいとされています。
6. まとめ
つむじ部分の薄毛に悩む方にとって、部分植毛は有力な選択肢の一つです。自然な仕上がりで長期的な効果を得ることができるため、AGAや遺伝による薄毛に悩む方におすすめです。しかし、施術にはリスクも伴うため、事前に専門医としっかり相談し、自分に適した治療法を選ぶことが大切です。